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見習い冒険者キャロと魔法銃のエヴァ  作者: ノア(断頭台)
10/22

価値

「ごめんなさい……お姉さん」


とぼとぼと、街道を歩きながらお姉さんに謝ります


「いいのいいの。元々、最初は駄目にする前提だったんだから。それに、ホントなら、大けがするかなぁ、くらいで思ってたんだよ?大丈夫。十分上手だよ」


結局あの後、雷の強さをうまく調整することはできずに、手のひらが、真っ黒になってしまいました。

手のひらからは、血の焼ける鉄のような臭いが、染みついています。


そして、今はお買い物中です。

新しいナイフに、今日の夕飯、其れに修行中につかうためのポーション。


そうしていると、ふっと、目に入ってくるのは値段が目に入ってきます。


ナイフの値段は、銀貨30枚。ポーションは、銅貨50枚。

普段のご飯は銅貨10枚。


人の命は、少し昼ご飯を抜けば、簡単に助かる……んでしょうか。


「なーに?考え事?」


ずしん、っと、頭の上に身体を。

というよりもおっぱいを載せてきます。

やわらかいです・・・・ほんとに・・・・じゃなくて・・・・・!


「命の値段、って、安いんですかね」


「あー。うん、たしかに考えとしては間違ってない。

ポーションを使うことで、助かる命があるって考えたら、たしかに安い。けど、ポーションだって、絶対なものじゃないんだよ?」


「そ、そうなんですか?」


すくなくとも、スクロールを読んでた時、口から苦い煙が出ていた。

だから、おなかの中身も、雷で焦げる程のダメージを受けてたはずなのに、昨日はすぐに修行に移れた。


「うん、ポーションは、身体を一気に再生させるけど、その分、ものすごく痛かったりするし、今は弱いから、このポーションで肉体を回復させることができるけれど、例えば私なんかだと、この、・・・・・だいたい、銀貨になって、2,3倍しないと、体が回復しない」


「ど、どうしてですか?!お、おんなじなんですよね効果は」


「うん、効果はね。でも、私たちが違うの」


私たちが?


「えっと、例えば、お姉さんは人間じゃない、とかです?」


「っぷ・・・・っふふふ。ちがう、ちがう。冒険者は続けていると、肉体を魔力である程度構築するようになる。……正確に言うと、身体の内側に魔力がどんどん練りこまれていくんだ。

いわゆる、レベルアップ、なんていうのは、こういう、体の魔力の質が、言われたりするね。まぁ、結局は目安でしかないんだけれどね。・・・・・・それで、ポーションでは、その、魔力のなじんだ体を治すのは難しいんだ。なんでだと思う?」


「えっと‥‥‥」


どういうことだろう。

魔力が練りこまれた体を、ポーションが上手く再生できない?


怪我が普通に治るのとは違う。

魔法の力‥‥‥って聞いたことは、あるけれど。


身体をすごい速さで治してるわけじゃない・・・・・?



「あ、わかりました!ポーションは薬効で傷口をいやしてるわけじゃなくって、魔法の力で体に影響を与えて治してるからです!」


「正解。要するに、魔法で体を治そうとしているのを、自分の体の魔力への対抗をしようと、体に練りこまれた魔力が、邪魔をしちゃうんだよ。だから、鍛えた冒険者になればなるほどより強いポーションを使わないといけないんだ。かつて、完全に鍛え上げられた冒険者の死因は、自身の練り上げられた魔力で、病を治すポーションを無効化した。なんて、話まであるくらいさ」


なるほど。……です。


「そうなると、お姉さんみたいな冒険者さんは、どうやって治すんですか?」


「んー。そうだなぁ。まず、普通に、ポーション。高いけど便利なのは代わりにないし。

次に、自然治癒。かすり傷とかはこれだね。で、最後が、治癒系魔法の使い手か、似たスキルの人に頼む、だね」


「え……で、でも、ポーションは効かないんですよね?」


それだと、同じ理由で治癒魔法の人も、はじいてしまうのではないでしょうか


「ん、まぁそうなんだけど、直接魔力を注ぐからか、効きがいい。まぁ、これも個人差はあるんだけれど」


ほへぇ……。


そう思いながら、良さそうなリンゴを取ると、銅貨3枚。

……たかいです。


「お金は気にしなくても大丈夫だって‥・・・、うん。でも、その金銭感覚は、ちゃんと持ち続けなさい。

絶対大事だから……ね?」


「は、はい!」


「あ、あと、あくまでポーションは、冒険者用のものだからね。普通の人には効果がききすぎて、死にそうになっちゃったりするよ」


……命は、高いです……。あれ?


「だから、だすのです!」


「や、宿で、だれか、騒いで‥‥‥ますね。おじさん、詰め寄られてます」


見ると、そこにいたのは、金髪碧眼の、私と同じくらいの背丈の少女が、宿屋のおじさんにつかみかかっています。

背が足りないのでつま先立ちですが、おじさんは、なんだか、ものすごく対応に困っています。

普段なら、すぐに振り払うかして、事情を聴こうとするはずなのですが


「お姉さまを出してください!わたくしは!お姉さまに」


「何をやってるの、アリス」


「お、おねえさま!?い、いつ帰って来たのですか?!」


掴みかかっていた少女の前にお姉さんは出ていきます。


お姉さま?


「え、エヴァお姉さんの、妹、さん?」


「えぇ、わたくしはアリス・メガロス。……冒険都市メガロを治める王。メガロの第三子ですわ!」


お嬢様を通り越して、王女様が、登場したのでした

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