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他にもっとあっただろう-3


「それで?」


ミケは俺の言ったことの意味があまり理解できていないようだった。


「昔話はもういい、今現在の魔法使いのことについて教えてくれ」

「理解が早いのね、坂上君」


俺はこの世界に必ず『そんな社会』があると信じていた。魔法を目の当たりにし、今の話を聞いて疑うつもりは毛頭ない。


「なんで現代社会に魔法は浸透していない?」


この力は生まれてきた人間なら誰もが欲するようなものだろう。


「話のスムーズな子は先生好きよ」

「その後賢皇さまはどうなったんだ?」


俺はその言葉をスルーした


「魔王の力を封じ、永遠の眠りについたといわれているわ。和解したといっても、その力はやはり放っておけるものではなかったのね。」

「魔法使いたちはどうなった?待てよ…六百年前…?」


俺には一つの考えが浮かぶ。


「もしかして、魔女狩りか?」


そこでミケは今までの冷静な顔と全く違う驚きの表情で、目を見開いた。


「すごいわね、そんなことまで知ってるの?」

「あれは事実だったのか…」

「細かく言うと、その事態が起こったことについて、詳しく記述されている書物はないの。年代もそれぞれ全く違っているし、どのようなことが行われたのかもはっきりとしない。まあ、歴史ってそんなものだけれどもね」


ミケはなんとなく話に乗ってきたのか、すらすらと続ける。


「とにかく、賢皇さまの死後、魔社会…魔法使いにおける社会のことね、どんどん衰退していったわ」

「なぜだ?そんな力、どんな時代だろうが、誰だってほしがるに決まっているだろう」

「そう、でも誰もが使えるわけではなかったの。というか、賢皇さまという存在が魔法を使える力を広めていったといわれる説まであるわ。ただ、彼や魔王と同等の力をもつものは現れず、その力を畏怖し始めた一般の市民たちは迫害し、政府もその波に乗っていった」


いつの世も強大な力を持つ者がたどる運命は同じか…


「そこで大々的に行われた政策が魔女狩り、魔社会は急激に規模を縮め、社会の裏に隠れるようになっていったの」

「日本では何があったんだ?この学校に、隠れ蓑を作るなんて相当力を持つ人間じゃないとできないだろう」

「君、本当に賢いのね」


フン…当然の疑問だろう


「うーん、そこまで話しちゃうとだいぶ長くなっちゃうからな…魔社会史の授業もあるし、そこで学びなさい」


俺は少し考えて、ずっと気になっていたことを口に出した。


「じゃあ、二、三点だけいいか?」

「いいよ、答えられることなら」


聞きたくもない、思い出したくもない記憶ではあったが、聞かずにはいられなかった


「その…俺が使った魔法のことはコロから聞いてるんだよな…」

「うん、聞いたよ」

「…俺は何をしたんだ?」

「何をって?」

「襲ってきた男たちに俺は何をしてああなった?」


ミケは少し考えて、俺の言葉の意味に気が付いたようだ。


「それについては、私たちも特に気になってるの。よければ今度もっと大々的なところで見せてもらいたいんだけど」

「見せる?もう一度あれを?」

「もちろん、それまでは決してその魔法を使わないで、コロちゃんからも聞いてると思うけど」



コロからはあの騒動があった後、次に会う日の約束と、魔法を使うなという意味の言葉だけ言われて別れた。そんなこと言われるまでもなく、俺はあの時唱えた呪文をもう一度使うつもりはなかった、というよりもう二度とできることなら使いたくはない。


「正直私でも、いや、それこそどんな書物にも人をおう吐させる魔法なんて載ってないし、聞いたこともない。上にも報告を挙げたけど、誰も信じなかったわ。コロちゃんが嘘をつくような子じゃないことがわかってる私でも、半信半疑だもの」


俺だって嘘だと信じたい…生まれて初めて使った魔法が…あんなものだなんて


「オリジナル…ということになるのだろうか…」

「それが本当だとしたら、そういうことになるわね。でも、オリジナルといっても、火、水、風、土に分類できないだけで、大体は前例のあるものなのよ。例えば箒魔法なんかそうね」





もし俺の前の現象に名前が付けられるとしたら、本当にあれが俺の力だとするなら、ゲロ魔法ということになるのだろうか…



えええ…


















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