閑話 とあるプレイヤーのリアル
閑話 とあるプレイヤーのリアル
「あ~………。風邪引いた………。」
俺はベッドから起き上がれないでいた。
ハロウィンイベントが終わってから、少し喉に違和感があるなと思ったらこれだよ……。
今年は、急に寒くなったからなぁ……。
ピンポーン…………
ガチャガチャ……
ガチャガチャ…
たったったっ……
「謙ちゃん大丈夫?!」
どうやら助っ人が来てくれたみたいだ。
「急に呼び出し済まなかったな……。風邪引いて起き上がれなくてな……。」
「ううん……、こんな時にしか頼ってくれないんだから……。もっと普段頼ってくれてもいいんだよ?」
そんなこと言われてもなあ。
「お前は仕事が忙しいじゃないか。遺産食いつぶして生活している半隠居な俺の都合に付き合わせる訳にもいかんだろ。」
「私たち恋人だよ?そんなこと気にしないのに……。」
俺が気にするんだけどな。
おっと、俺がヒモだと思った奴!俺はヒモじゃないからな!
両親が事故で亡くなって莫大な遺産が俺に転がり込んだんだ。
元は爺さんの遺産だったらしいが爺さんの遺産を相続した後も両親は共働きで馬車馬のように働き続け遺産は膨がり続けたわけだ。
相続税?それをさっ引いても俺が死ぬまで遊んで暮らせる程の金はある。
俺が働きもせずMMOゲームにのめり込めるのはこういう事情だからだ。
俺の恋人は結婚したいらしいが向こうの両親があまりいい顔をしないらしく、ずるずる恋人状態のまま続けている。
「あっ!そうだ!そろそろ仕事が落ち着くから謙ちゃんのやっているMMOゲーム一緒に出来るかも!」
おっ?それは朗報だな。
「おっ。そうなのか!出来るようになったら連絡くれよ。1から教えてやるからな。」
「何、言ってるの謙ちゃん。元々謙ちゃんと出会ったのだってあのゲームのオフ会でしょ。」
そういえばそうだったな。こいつも元ゲーマーだったか。
「でも、最近は仕事でゲームやれないんだろ?ブランクとか大丈夫か?第一VRゲームは普通のゲームとはだいぶ違うぞ。」
「むう。またそんなことを言う。謙ちゃん風邪なんだからおとなしくしていてください。これから食事作るから、出来るまで寝ててね。」
そう言うと、キッチンの方に行ってしまった。
そういえばあいつと付き合い始めてもう10年か……
クリスマスにギルドメンバーにゲーム内イベントに誘われて
クリスマスはか○じょと……っていったら全然信じてもらえなかったなぁ。
他にも正月はか○じょと……やバレンタインはか○じょと……もある。
あの頃は彼女は学生で、しかも遠恋だったせいかゲーム内でしかデート出来なかったっけ……。
彼女が社会人になってからいきなりこっちに引っ越して来たときは驚いたなぁ。
とか、なんとか昔を思い出していると……。
~♪
「謙ちゃん~出来たよ~。」
どうやら、飯が出来たようだ。
メニューは……何かの雑炊と柚子かけ玉子豆腐とヨーグルトみたいだな。
「謙ちゃんはそのままにしてて。食べさせてあげるから。」
おお。看病でして欲しいシチュエーション上位。ふ~ふ~からのパクリか。
「よいしょっと。ふ~ふ~ふ~……。はい。」
ぱくっ。
「おお……河豚雑炊か。これ好きなんだよなぁ。」
「ふ~ふ~……はい。」
ぱくっ。
こうして、全ての料理を食べ終わるまで俺は雛鳥のように食べさせてもらい続けたのだった。
「じゃあ次はこれ、薬だよ。」
薬を飲まされ、おでこに手を当てられる。
「う~ん。やっぱり熱があるね。これ持ってきて正解だったよ。」
次に取り出したのは冷えピタか。
冷えピタをおでこに貼られる。
冷たくて気持ちいい……。
「薬も飲んだし、冷えピタも貼ったし……。謙ちゃん他にして欲しい事は無い?」
うん、まあして欲しい事はあるんだがそれをここで言うとノクタでやれ言われるから我慢我慢。
「ああ、特にないよ。お前がいて本当に助かった。ありがとう。」
「謙ちゃん……。」
潤んだ眼で見つめてくる。
これはヤバい。
「ゴホゴホ!ゲホゲホ!」
俺が、無理やりひり出した咳に彼女ははっと我に返ったようだ。
「じゃ、じゃあ明日の朝ご飯も冷蔵庫に入れてあるから食べてね。」
慌てたように言いつくろってきた。
「ああ、わかったよ。ありがとう。じゃあ少し寝るよ。おやすみ。」
「おやすみ……謙ちゃん。また明日来るね。」
そのような言葉を聞きながら俺は闇の中に落ちて行ったのだった。
と、言うわけでまさかのヒロイン登場。
リアルでも恋人だったというオチでした。
ゲーム内で出てくるのはもう少し後ですが。
オフ会で出会って付き合うパターンは結構多いらしいですよ?




