41話 公式イベント ハロウィンパーティー その3
41話 公式イベント ハロウィンパーティー その3
『公式イベント後半開始5分前になりました。ジャックの前に集合してください。』
お、もう5分前か。さっそくジャックの前に行くかな。
ジャックの前にはそこそこプレーヤー達が集まり始めていた。
おっ?チラノに追いかけられてた奴らもいるじゃないか。
やはりこの街を拠点にしてたのか。
「はい!注目~!ハロウィンパーティー後半が始まるよ~!これから、みんなを順番に特別フィールドに飛ばすからもう少し待ってね。」
ジャックが集まったプレーヤー達ひとりひとりを順番に飛ばしていく。
「じゃあ、あんたたちで最後だね~。じゃあね~頑張ってね~。」
シュワ~ン
「ここは……。」
どうやら無事バトルフィールドに飛ばされたようだ。
目の前には巨大なカボチャ頭のてるてる坊主のようなモンスターが佇んでいる。
バトルフィールドは、巨大なファンタジー風の田舎の家のようなたたずまいで天井からは巨大なカンテラが釣り下がっており、てるてる坊主の後ろには火の付いてないかまどがあった。
カンテラの光が家の中をぼやっと照らし夕飯時の雰囲気をかもし出している。
「ようこそようこそ、オイラの家に。ようこそようこそ、食材さん。今日は楽しいハロウィンパーティー。おまえら全員料理して、地獄の悪魔にプレゼント。晴れてオイラは地獄行き。長い長い流浪の旅も、これでおわるよ。ハッピーハッピー。」
巨大てるてる坊主が歌うように物騒な台詞を吐く。
「おい、ふざけんな。」
「えっ?これがレイド戦?」
「おれ、おしゃれ装備だよ……。」
ざわざわ……
ざわざわ……
プレーヤー達が騒ぎ出している。
中には納得したような顔をしているプレイヤーもいるな。
「お~い、騒ぐのは良いがこのままだと戦闘準備する前にカボチャ頭に襲いかかられるぞ?」
らちがあかないので、呼びかけてみる。
「ドラキュラ伯爵だ……。」
「ああ…ドラキュラ伯爵だな。」
「おお、すげえ。映画で見たまんまだな。」
なんと、俺は顔までドラキュラ伯爵っぽくされているらしい。
顔バレしなくて良くなった事を運営に感謝すればいいのか……
著作権大丈夫なのか心配すればいいのか……
「うん、吾輩の事はどうでもいい。このまま時間をかければカボチャ頭に先制攻撃されるぞ?」
まあ、勘違いしているみたいだし、ドラキュラ伯爵のロールプレイでもしてみるか。バレない特定されなければ好きなように振る舞える!せっかくのイベントだし楽しまないとな。
「そうだ!ドラキュラさんの言うとおりだ!カボチャが動き出す前に準備を整えるんだ!」
「みんな~集まって!強化魔法かけるよ!」
「アイテム使えるようにショートカットできるようにしておこう。」
なんとかみんな準備を始めたみたいだな。
そして律儀に待ってくれているカボチャ頭……。
ひょっとして近づかないと動き出さないタイプのボスか?
まあ、イベント戦だしいやらしいボスは出さないか。
「ドラキュラさん!準備出来ました!」
準備出来たみたいだな。
「うむ、それでは行こうか。まずは、釣り役がカボチャをフィールドの端に移動させるのだ。理由は、ボスが範囲攻撃をしてきたとき避難しやすくするためだ。そして盾役は壁を背にボスを壁の方に向かせて維持するのだ。アタッカーは、ボスの斜め後方に位置取り攻撃。回復役は盾役に魔法がぎりぎり届く位置でボスの攻撃が当たらない位置に陣取るのだ。吾輩は空を飛べるので遊撃手として立ち回ろう。」
「わかりました!」
「頑張ります!」
「回復役だよ……緊張する~。」
「それではいくぞ!」
戦闘が始まった。
戦闘は順調に進んでいる。ボスのHPも半分を切った……
結局この火種はなんだったのだろう……着けようとしても
『まだそのときではありません。火は着かなかった。』
の一点張りだ。
ボスの攻撃は鎌なぎ払い、カボチャを範囲に降らす、パンプキンヘッドを召喚するの3つだ。
パンプキンヘッドは例のごとくファイアーボールで倒さないと自爆するので、俺の仕事はこいつらを処理することに費やされている。
本気で、てるてるカボチャを攻撃してあっさり倒したら興ざめだし、下手に少しHP残って発狂されたら他のプレイヤー達がやばい。
なので、こうしてパンプキンヘッドを淡々と処理していた。
「トリックオアトリート。」
唐突に、てるてるカボチャが呟いた。
次の瞬間
プレイヤー達は、吹き飛ばされスタンし、HPがレッドゾーンになっていた。
俺は飛んでいたので、無事だったが。
どうやら地面に立っているプレイヤーに対してなんらかのフィールド全体攻撃を仕掛けたらしい。
遂に発狂状態になったか!ということは!
俺は全力で飛びかまどに近づく。
『かまどにかまどの火種を使いますか?』
「はい!」
『かまどから聖なる炎の渦が湧き起こる。』
システムメッセージさんの言うとおり、かまどからまばゆい炎の渦が飛び出し、てるてるカボチャを拘束し始めた。
「う、動けない……おのれおのれ……もう少しだったのに……。」
てるてるカボチャが恨み言の台詞を吐いた。
しかし、こいつどうしようか?みんなスタン中だしスタン解けるまで、待っててこいつが動きだしたら目も当てられないし倒してしまうか。
MVP欲しいしな。
俺がジュワユースをカボチャ頭に突き刺すとてるてる坊カボチャは光となり消えたのだった……。
パパラパ~~~~~~パッ!
『おめでとうございます!ハロウィンパーティークリアーです!インスタンスエリアに移動します。お待ちください。』
俺やプレイヤー達は光に包まれ……。
気がついた時には俺は一人白い部屋に立っていたのだった。
「やあやあ、イベントクリアーおめでとう!どうだった?公式サイトにアンケート調査あるからぜひ書き込んでね!お礼に粗品進呈するからさ。」
目の前には例の公式イベントキャラクタージャックが立っていた。
「おい、ボスはお前って設定じゃないのか?なんで倒されたのにこんな所にいるんだよ?」
「ジャックの悪しき心はみんなのおかげで浄化され、ここにいるのは綺麗になったジャックでした。めでたしめでたし…。って感じかな?」
自分で言うなよ………。
「いや~、何はともあれ無事に公式イベント終わって良かったよ。あ、そうそう……最速クリアーおめでとう!全サバで君の所が一番最初にボス倒したみたいだよ!まあ、詳しくは公式サイト見てね。あ、無事MVPも取れたみたいだしご褒美あげないとね。ご褒美は~これだっ!」
『真鑑定眼にモンスター知識図鑑が追加された。これより、モンスターを鑑定したとき、モンスターのランク、モンスターの詳細情報を読みあげます。』
ん?要するに、ポ○モン図鑑みたいに解説してくれるって事か?
まあ、無くてもいいけどオンリーワンな特別感もあるし持ってても全員から嫉妬されてさらされる程のものではないか。
中にはこういうの好きな奴もいそうだけどな。
「じゃあ、これでキミともお別れだ!まあ、また公式イベントがあったら再会する気もするけど。それでは、まったね~~~~」
だんだん周りの景色が白んで行き。
気がつけば、俺は冒険者ギルドの前に立っていたのだった。
おっ?さっきまでいなかったメアリーとアルビダもいるな。
「強制的にしゃれこうべに戻されておったのじゃ……」
「私も要石に戻されておりました……。」
なるほど……、特定なエリアには存在できないのか……。
まだまだこのゲームには俺の知らない事がたくさんありそうだな。
これにてハロウィンイベントは終わりです。




