14話 採掘ギルド
14話 採掘ギルド
採掘ギルドの中はプレイヤー達が溢れかえっておりギルド職員だろうか?ヘルメットを付けたワーモール(モグラ男)達が忙しく走り回っている。
「ギルドマスターは、と…」
奥の方にプレイヤー達で長蛇の列が出来ている場所があった。
あそこだろうなぁ…。
列に並んでいるとヘルメットを被りつるはしを持ったドワーフのプレイヤーが話しかけてきた。
「よう!あんちゃん。あんちゃんも採掘ギルドに入りに来たのかい?」
入るとはギルドに所属することだ。
「ああ。まあ」
どこから見ても土木工事のおっさんだな…。白いシャツに腹巻きを巻いてだぼっとしたズボンを履いている。
「やっぱりギルドは採掘だよな!あんちゃん分かってるな!」
ドワーフのおっさん…ああ…もうおっさんでいいや。は、ガハハと笑いながらバシバシ太もも辺りを叩いてくる。
おっさんの背丈は俺の腰辺り迄しか無いのでそこしか叩けないのだ。
「採掘で、一獲千金!鉱石マラソン!いやあ、男の夢だよな!あんちゃん!」
鉱石マラソンとは鉱石を売るために鞄いっぱいに掘った鉱石を詰めてギルドまで走り、売ったらまた鉱山に走り戻って行くさまからつけられた隠語だ。
採掘ポイントには限りがあるのでプレイヤー達は見つけた採掘ポイントを離れた時に取られないか戦々恐々なのだ。
こんな話がある。
とあるゲームで初期の頃ミスリルの砂利と言う採掘で取れるアイテムがかなり良い値段で売れたらしい…。
その結果どうなったか…
プレイヤー達は一日中その砂利求めて鉱山と店を行ったり来たりし続けたらしい…
これが後世に伝わる伝説のミスリルマラソンである。
さすがに事態を重く見た運営により買い取り値段が下げられてからはするプレイヤーは減ったらしいが。
つまり何を言いたいかというと…
ゲームが始まったばかりの時は色々おいしい事があるということだ。
しばらくすると修正されてしまう可能性もあるのでスタートダッシュが肝心だと俺は思う。
「お~い。あんちゃん!?あんちゃんの順番来たぜ?」
おっと…考え事をしていたら順番が来てしまったらしい。
「良く来たモグ。採掘ギルドに入りたいモグか?」
モグって…。モグラ男だからって安易すぎだろ…。
『採掘ギルドに、入りますか?』
「はい。」
『所属:採掘ギルドになった。』
「それじゃあ、あそこでつるはしかマトックとヘルメットを買うモグ。買わないと鉱山に入れないモグ。気を付けるモグ。さあ、後ろがつまってるモグ。さっさと行くモグ。」
モグラマスターに追い立てられる…
「さあ、こっちだぜ!」
おっさんが販売所の前で手招きしている…。
「いらっしゃいモグ。何を買うモグか?」
・つるはし 100G
・マトック 300G
・安全ヘルメット(ライト付き) 1000G
「おっさん、つるはしとマトックってどう違うんだ?」
マトックはつるはしの3倍もする
「おいおい!あんちゃん!俺はゴンベエって名前があるぜ!そういえばあんちゃんの名前も聞いてなかったな!」
「そういえばそうだったな。俺はダークだ。よろしく。」
しかしゴンベエか…。まんまだな…
「あ~、つるはしとマトックの違いか?簡単にいやあマトックは岩を壊せるがつるはしは壊せねえな。あと丈夫さも違うマトックの方がだいぶ長持ちするぜ。」
ほう、岩を壊せるのか…。なら決まりだな
「マトックを3つ、ヘルメットを1つくれ。」
「1900Gモグ。」
『マトック×3、安全ヘルメット×1。合計額1900Gです。購入しますか?』
「はい。」
チャリ~ン…
『マトック×3、安全ヘルメット×1を手に入れた!装備しますか?なお、マトックはサブウェポンとなりますのでメインウェポンに影響はありません。』
「はい。」
『マトックを装備した!安全ヘルメットを装備した!』
「おう、準備出来たようだな!似合ってるぜ!」
ゴンベエが近づいてくる。鉱山の経験者ぽいしあの事聞いてみるか…
「ゴンベエ、ひとつ聞きたい事があるんだがいいか?」
「おう!答えられる事なら何でも答えるぜ!」
ゴンベエはドンと胸を叩いて言った。
「ゴンベエ、鉱山にゴーストやゾンビ、スケルトンはいるか?」
「なんだ?変なことを聞く奴だな。もちろんいるぜ。しかも、この横のツエエルルン鉱山の奥の突き当たりにはバンシーっていうえれえ強え女のゴーストがいるぜ。よく欲に駆られた馬鹿が奥に行って見つかって逃げて入り口まで引っ張って来るんだよ…。そんなときは地獄絵図だぜ…。いくら奥にはプラチナ鉱が出るっていうポイントがあるっていっても行かない方が身のためだぜ。」
ほう…。良いこと聞いたな。
「おいおい悪い顔してるぜ?勘弁してくれよ?いくらプラチナ鉱が出るからってあんなとこ行くと経験値がいくらあっても足りないぜ。」
まあ、俺の目当てはプラチナ鉱じゃなくてバンシーなんだけどな。
「いろいろ教えてくれてありがとうな。俺はこれからツエエルルン鉱山に行ってみるよ」
俺はゴンベエに手を差し出す。
「おう!頑張ってな!そうだ!俺とフレンドになってくれねえか?実は鍛冶屋もやっててな鉱石を手に入れたら売って欲しいのよ。」
ゴンベエも手を差し出しガッチリ握手を交わした。
『ゴンベエからフレンド申請が来ています。フレンドになりますか?』
「はい。」
『ゴンベエとフレンドになった!』
「それじゃあな!ダーク!」
「ああ、またな。」
こうしてゴンベエとフレンドになった俺はゴンベエと別れツエエルルン鉱山に向かうのだった。
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