9話 ジョブ習得クエストその1(武器編)
バトル回です。
9話 ジョブ習得クエストその1(武器編)
階段を下りるとそこは訓練施設のような所だった。
施設の真ん中あたりには3人のおっさんが立っていた。
「よく来たなひよっこ。おれが武器訓練官のゴースだ。」
「ワシが魔法訓練官のトトじゃ。」
「私がスキル訓練官のサニスです。」
どうやらチュートリアルバトルが始まるくさいな…。
「ここに来たということはジョブを習得しに来たんだな?」
「残念じゃがただでジョブを授ける訳にはいかんのじゃ」
「私たちと戦い力を示して下さい。」
『チュートリアルバトルを開始します。よろしいですか?』
やはりチュートリアルバトルか…。
「はい。」
俺が答えると周りの景色が歪み始める。
バトルフィールドに入ったか…。
おっさん達を見るとトトとサニスは後ろに下がり中央にはゴースだけが立っていた。
「ほらこれを使え。」
ゴースが剣を投げ渡してくる。
パシッ
『鉄の剣を手に入れた。鉄の剣を装備した。』
あっ!防具装備してないじゃん!
俺は慌てて防具を装備した。
『ダークサークレットを装備した。』
『ダークマントを装備した。』
『ダークレギンスを装備した。』
『ダークグローブを装備した。』
『ダークブーツを装備した。』
『装備適正レベルではないので装備の性能に制限がかかります。』
やはり制限がかかったか…まあどう考えても高レベルの装備だしなあ…。
どれだけ制限がかかったか確認したいがもうバトルは始まっている。むしろ防具を装備するのを待ってくれたゴースが親切過ぎる気がする。
「準備出来たか?では行くぞっ!」
ゴースが斬りかかって来た。
う~む。ヌルゲーだ…。
ゴースが連撃を繰り出してくるのだが全ての攻撃が《見える》のだ。
攻撃予測線と言うのだろうか、攻撃してくる場所に青い線のようなものが現れゴースの攻撃はその線をなぞって繰り出される。
つまりその線を避けるように動けば全く当たらないしスキを見つけてカウンターも入れれるのだ。
ダーク装備の恩恵かはたまたスキル魔眼の副産物か…。
スキル説明にはそのような事は書いてなかったのだが。
ああ…スキル説明には夜間の効果のみが書いてあったか…。
ということは常時発動する効果はまだ見てなかったな。
これは後でじっくり確認する必要がありそうだ。
しかしゴース硬いな…。向こうの攻撃は全く当たらなくこちらの攻撃をカウンター気味に当てまくっているのだがHPがまだまだ残っている。
こんな所で真祖のデメリットが出たか…。
まあ普通の吸血鬼は日中活動することもままならないらしいし贅沢言える立場ではないが…。
「らちがあかないな…。」
俺は魔法のダークフィールドを使う事にした。
『このバトルでは魔法、スキルの使用は禁止されています。』
システムメッセージさんの無慈悲な声が響いた…。
……
やっぱりかああああ!!!
いや分かってたよ!思わせぶりに魔法担当とスキル担当が後ろで待機してる時点でな!
つまり魔法担当のバトルでは武器とスキル禁止
スキル担当のバトルでは武器と魔法禁止と言うことだろう。
これ普通の初心者が倒せるのか?俺はチートじみた攻撃予測でノーダメなので時間がかかるが倒せそうだけど普通のプレイヤーだとかなり厳しそうだぞ…。
そうしてゴースの攻撃を避けまくりちまちま攻撃をして俺がゴースを倒したのは30分以上経ってからだった。
ノーダメだけどどっと疲れたぞ…。
「まさかおれが負けるとはな!」
ゴースが驚いた顔をして言ってくる。
ああ…。負けイベントだったのか。どおりで硬いわけだ。
「おれに勝ったお前にはこれをやろう。好きなのを選んでくれ」
『ボーナス!好きな武器を選んで下さい。』
・ミスリルソード
・ミスリルレイピア
・ミスリルダガー
・ミスリルクレイモア
見事に剣ばかりだな…。
俺はとりあえずミスリルレイピアを貰うことにした。
ほら吸血鬼とレイピアってベストマッチじゃん?
他はしっくりこないんだよな…。
思わぬ所で良い武器が手に入ったぞ!
あっ…でもミスリルって聖銀って言われてたような…。
俺が装備して大丈夫か…?
ミスリルレイピアを手に持って装備してみる…
特に変わった事は無いな…。レベル制限掛かる以外は。
『吸血鬼(真祖)が、装備できないのは銀の武器のみです。ミスリルは関係ありません。』
あ、別物扱いなのね…。よかった。