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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

きままに読み流し短編集

衛生兵なのにやたら腕っ節のいいおっさんの逸話

作者: 菊華 伴

『残酷な描写あり』は念のためです。

続かない、と言った筈なのにネタがわいちゃった……。

 はいどーも。

 私は衛生兵隊の副兵長、フォーネリア・クロウと申します。あぁ、フォーネリアって言いづらいんでフォッグってお呼びください。


 今日は私が所属する『銀月華キャロラ騎士団』(通称:銀華騎士団)の衛生兵隊を束ねる兵長、ヴィオトオプ・グレマンについてお話しようと思います。

 現在48歳になるグレマン兵長ですが、ちょうど30年前に衛生兵として騎士団に入隊し、そこから戦場で敵味方関係なく的確な治療を施しある意味伝説ともいえる人だったりします。……普段は声がでかくてちょっと強面で愉快なおっさんなんですけどねー。ああ見えて医療技術はぴか一で知識も豊富なんですよね。まぁ、家事が苦手で下戸な上、実は犬が苦手という弱点ありますけど。御歳70歳のお母さんに頭が上がらず時折尻叩かれていたりしますけど。

 で、このおっさ……失礼、兵長ですけど事あるごとに拳で解決していたりします。それが医術の腕より有名になっちゃっていたりするんですよねぇ……。


 たとえばまだ入隊して2年ぐらいしか経っていない頃。即位間近の皇太子(現国王)が家出した事があったんだそうですよ。自分じゃまだ即位しても駄目だ~とか悩んだらしくて。青春ですね。そんでもって侍女やら兵士が探してたけど見つからなくて。たまたま非番だった兵長が見つけたそうなんです。

 ところが皇太子は城に戻らない、もう少し考える時間をくれ、だのぐだぐだ言っていたらしく、その姿にぷっつんした兵長が一発拳をかましたそうなんですよね。

 そして一言「男なら腹括って玉座に上がれ。王ってのは国の父親みたいなもんだろ!」と一喝……。本来なら不敬罪でしょっぴかれるところをこれで目を覚ましたそうなんですよ、皇太子。


 それだけじゃありません。戦争時、野戦病院を襲った狼をみんなぶん殴ったりして追い出したり、将軍の暗殺に来た敵国の兵を見つけて揉み合いの末生け捕りにしたり、結構やらかしてますね、兵長。

 そーいやぁ、この人。前に戦争中に竜の巣に入り込んでしまった人たちを衛生兵隊とか兵士率いて避難させた上で竜とタイマンはって生きて帰ってきたとか噂に聞きます。左腕が実は義手だったりするんですがその時にもっていかれたんでしょうかねぇ。本人、何も言わないので判らないのですけど。


 これがホントがウソかはさておき。私が実際に目的したのといえばまぁ、私事なんですけどね。実を言うと、私、バツイチなんですよね。ここに来る前の時点で。いやぁ、商人の娘だったんですけど、借金こさえた両親が40も年の離れた貴族のおっさんの後妻として14歳の私を送りやがったんですよ。いくらお金のためとはいえ、一人娘を幼女趣味のおっさんに売り渡すかね父上。お陰で知らなくて良い世界を知りましたよ。トラウマもんですよ。詳しく書いたら多分ノクターンノベル行きですよ。

 嫌で仕方なくて命がけで屋敷を飛び出したら、偶然近くを演習所へ向かう騎士団の一行と出くわしまして。そこで保護してくれたのが兵長でした。私の話を聞いた兵長は「辛かったな。でも、もう大丈夫だ」と私の頭を撫でてくださいました。そして……次の瞬間には上官に何かを報告し、獰猛な獣を髣髴とさせる気を纏い、屋敷へと馬を走らせました。

 なにをしたかというと単純明快。私の夫(元)をおもいっきり殴り飛ばしていたんです。相手は腐っても侯爵。そんな事をしたら死刑が普通ですけどまぁ、横領とか児童虐待などの証拠とかをがっつり見つけてきていました。でも一体どうやって見つけたんだろ……。

 私はその後療養期間を経て騎士団へ衛生兵として入りました。兵長は私をしっかりと教育してくださり、お陰さまで今の私があるんです。ここで働けたから今の私があります。

 世間は私のような人間に冷たくも、ここの騎士団……とりわけ、グレマン兵長率いる衛生兵隊のみんなは心優しくて、本当に感謝しています。


 あぁ、閑人閑話。

 ともかく、兵長は結構豪快で、頼れる人って事です。つい最近も皇太子に婚約を破棄された令嬢の話を聞いて義憤に駆られ、令嬢のお父様や陛下といっしょに盆暗王子たちを(拳で)教育しなおしたらしいですし。このまま行くとこまでいってしまえばいいとおもっています。


(終)


 

ここまで読んでいただき有難うございました。

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[一言] こういうノリ、だいっすきです! 続きをお待ちしております!
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