腹ぺこの唄
とある昼間の事。母の布団で寝ていたゆき、突然パッと目覚めるやいなや外を気にする様にふにゃあふにゃあと鳴き出しました。まるで歌でも唄っているかの様に。
何かと思って窓を開けてみると、外猫三匹がお揃いで待機中。不思議な事にゆきは外に誰かが来ると判るらしい。
耳がまるで聴こえないゆきには、いくら外で音を立てようが鳴き声がしようが無意味な筈です。
でも、もしかしたら外の気配や臭いで察知しているのかも知れません。
私が仕事で出掛けている平日の昼間にこれを毎日経験している母に言わせると、何かテレパシーの様な物で会話をしている感じがするのだとか。
昔からよく動物には何か不思議な力があると言われていますしヘミシンク、動物と話そう等でも肉体を超越した力についての話があり…。
些か眉唾物ではありますが人間にも第六感や突然の閃きがありますし、何か生物が本来持っている力というのはあるのかも知れません。
もう一つ不思議なのは、ゆきがちゃんと鳴いて意思表示をするという事。
この時は人間の家族を呼んで外猫が来た事を知らせていますし、それ以外でも嬉しかったり不満があれば普通の猫と同様に鳴いたり鳥を見ればクラッキングまで行います。
それこそテレパシーでゆきと会話が出来れば何がどうなっているか全て解決するのですが、そう上手くはいきません。
でもとりあえず「外の子が来たからご飯出してあげて!」と言っている事だけは理解出来ました。
不思議な力はさておき、より現実的にゆきの感覚の鋭さはどうなのでしょう?
良く食べ良く動き、でもお腹はたぷんたぷん。
平衡感覚にはやや欠けるものの、本気で走ると意外と速く、視力もバッチリ問題無し。
そしてこれはたまたま気が付いた事なのですが、振動には敏感に反応するらしい。
例えばゆきから少し離れた所で床をコンコンと叩くとその振動が伝わって、振り向いたり寄って来るといった感じ。
音自体が空気の振動で伝わる物なので、足の裏や体を耳の代わりにしているのかも?いやそれでも大きな振動しか判らないので、あくまで呼びたい時に床を叩く程度でしか使えません。
では嗅覚はどうでしょう?
柵で買ってきたマグロの刺し身の余った切れ端を、寝でいるゆきの鼻先に…1、2、3秒。
パッと目を開けるやいなやマグロはゆきの口の中。
うん3秒の早業はなかなかのもの。嗅覚はとても良い!というか食い意地が凄いよね。
ゆきの大食らいは子猫の時からですが、食べられるのなら何でも良いという訳でも無いらしい。
缶詰等ではたまに全く食べない事もあり、まるで「これぇー違ぁうぅーーー!違うよぉ〜!!」と言っている様な感じで不満の声を上げる事もありました。
色々与えている内、刺し身はマグロも白身も好きな事や蒸し鶏は特に好きで食欲が落ちた時でも食べる等分かってきました。
キャットフードについてはドライならどれも良く食べ、缶詰は白身系の物、パウチはスープ仕立てが好き。
…でもパウチのスープだけ飲んで大きな具を残すのは止めて頂きたい。
チャコが居なくなってからのゆきは家中何処にでも行けるのだけれど寝る時は以前と同じ、いつも必ず二階の部屋で私と一緒です。
そして部屋に上がるその時にパウチを一つ開けて持って行くのが決まり。もちろん、ゆきの夜食です。
うたた寝している私をよそに腹ごしらえをしたゆきはベッドのど真ん中にゴロン。
そして、すやすや寝ているゆきに気が付いた私が「寝かせて下さい、寝かせて下さい。」とベッドのゆきをそっと動かし布団に潜り込む毎日です。
しんと静まり返った真夜中に、突如としてその静寂を破る異音が!?
カランカランカランカラン…カランカラン…。
「あーまたか…。」
異音の発生源は誰あろうゆき。夜食のお代わりの要求で器を転がしての催促です。
「うっせーなぁ…放っておこう。」
とはいかないのが人情といいますか、やはり腹ぺこなのは辛いだろうしハイハイとパウチを取りに行く私。
あげなければあげないで、ずっとカランカランやり続けるだろうしなぁ…でも、お手柔らかに頼みますよ。
深夜の異音は腹ぺこの唄。




