破壊と再生
仮住まいでの生活は色々と不自由な事でしたが、それはそれで新鮮なものでした。
めちゃくちゃになった“もの”を再び組み直す作業が始まる、そんな想いでの生活。
忙しく過ごす日々はやりきれない想いを紛らわせてくれ、そして元気一杯なチャコやゆきの姿はまるで私達にも生きる力を分け与えてくれている様でした。
ケージの場所がテレビ台の近くになったのを良い事に、リードを一杯に引っ張りながらその有り余るパワーをテレビにぶつけるゆき。
特に天気予報がお気に入りで、画面がペラっと捲れる表現や予報士さんが持って地域を指す棒がたまらなく好きらしい。
番組が始まっても気が付かない事が多いので抱き上げて見せたりして「あっ!」という表情になればスイッチオン。台の上に飛び乗るとテレビに向けて容赦の無い猫パンチが繰り出されます。
激しい攻撃でいつもテレビのメーカーロゴが外れてしまうのでその都度付け直していましたが最後には面倒臭くなって諦め、ロゴ無しの通称“メーカー不明テレビ”が誕生しました。
こんな仮住まいを楽しんでいる猫達とは逆に、人間の方には幾つかの問題が発生していました。
自宅すぐ前のお宅が空き家になっていたので敷地ごと買い戻したのもその一つ。
他に欲しがっている人が居たので先手を打った訳ですが、これがもし先に買われてしまったなら自宅の玄関先を押さえられてしまう所でした。
こんな変則的な立地だったのは、かつて一つだったこの土地と建物を小さく分割して二軒にしたからなのですが。
解体作業は以前私がバイトで入っていた便利屋に頼み、私自身も作業に参加しました。
自宅前のお宅は更地にして、自宅は骨組み状態まで解体して行きます。
たまに想い出も一緒に壊している様な気持ちにもなりましたが、この際だからと盛大にぶち壊したのは半ばヤケクソだったからでしょうか?
自宅も自宅前のお宅にも沢山の想い出が詰まった場所なので解体とリフォームには複雑な心境です。
これに猫はどう感じるのでしょう?チャコもゆきもここで暮し育った場所だし…自宅前のお宅には、あのチャコと仲良しだった犬ちゃんの小屋も残されたままでした。
事務所帰りにゆきを解体された自宅に連れて行ってみると、キョトンとしてただ不思議そうに辺りを見ているだけ。
ゆきがこの状況を理解しているのか?していないのか?それともそんな事はどうでも良いのか?残念ながら私には解りませんでした。




