俺、宮廷楽師になる
初投稿作品です。感想あると嬉しいです。豆腐メンタルなのでお手やわらかに……マジでお手やわらかに……。次回話投稿日時は未定です。
広間に、甘く切ないトランペットの音色が響き渡る。
麗しい容姿の青年は、その長い睫毛を伏し目がちにしながらトランペットを吹き上げる。
演奏が終わると、パチパチと拍手がなった。
「素晴らしい……まさかこれほどの腕とは」
「素敵ですわ!」
拍手の主は、この国の王と妃。
広間には護衛と宮廷楽師楽師一行しかいない小さな響きの悪い部屋だったが、それでも素晴らしい腕前だ。
王達はお抱え宮廷楽師の長ラルゴから良いトランペット吹きがいると聞き、彼を城へ来させ演奏させたのだ。
「セドリック・ラグタム。お前を宮廷楽師に迎え入れよう」
王が厳かにそう言うと、爽やかな笑みを浮かべた青年は言った。
「あ、マジっすか!あざーす!!」
バコン。長のラルゴがセドリックの頭を殴る。
「言葉遣い!!」
「うす……」
バコン。
「はい、だろ!!」
「はぁい」
「申し訳ございません、こいつは今まで街の広場で演奏をしていたため、礼儀作法と言うものがなってませんで……」
「ははは、良い良い。後でしっかりと作法を教えてやれ。宮廷楽師は人前に出る職業柄、そのような言葉遣いのままだと流石にまずい」
「はっ」
ラルゴとの会話を終えた王は、セドリックに視線をやる。
「セドリック」
「はい?」
「お前にトランペットを教えてやって欲しい子がいるのだ。受けてはくれまいか」
「あ、ハイ喜んで」
「では、演奏の仕事の合間にでも教えてやってくれ。下がって良い」
「がってんしょうちですー」
バコン。
「言葉遣い!!」
「いてぇっすラルゴさん……」
*
護衛さんたちに教えて貰って、その俺にトランペットを習いたい子がいるらしい子のいるところにまでやって来た。今日は特になにも予定無いし、さっそく教えちゃろ。俺的に、王様の隠し子かなんかだと思うんだけどどうだろう。
塔のてっぺんという如何にもな部屋にたどり着き、ゴンゴンとノックをする。
「さーせーん!!トランペット教えにきましたぁー」
「……はい」
小さく聞こえた声。砂糖菓子みたく甘い声だ。
女の子だと!!女の子だと!!!!女の子だと!!!!!!大事なことなので3回以上言います。女の子だと!!!!!!!!!!!!
「しっつれーしまーす」
ワクワクと扉を開く。……すると。
「………は?」
天使がいた。
いや、比喩的なアレじゃなくて、いや比喩的に言っても当てはまるくらいな美少女なんだけど、そうじゃなくて。
羽が生えとる。背中から。
「初めまして。私はセヴン。世界を破滅へと導く天使の七番目です。宜しく」