ふたりの秘密
第3話です
今回は内容についてはここで書きません
楽しみに読んでください
誤字脱字などありましたら教えてください
それでは第3話をどうぞ!
フェイと別れた二人は宿に向かって歩いていた。練兵場から町の方へ15分ほど歩くと十字路に差し掛かった。
「えーっと、この通りは…あった、ここだ。となるとこの十字路は…こっちだな」
地図を見てジュードが進路を決め、進もうとすると、
「ジュードさん、武器や防具の調達はしなくていいんですか?」
サーシャが声をかけてきた。
「あー、そーいえば行ってなかったっけ、俺、自分で作れるからいらないんだよ」
「何ですかそれ!全然聞いてないですよ!」
「今地図を見ながらインゴット、金属の塊の事な。それを売ってる店に寄ろうと思ってるんだ」
「作ってるとこ見てみたいです!」
「別に構わないが…」
「やったー!早く行きましょう!」
サーシャは歓喜の声を上げるとジュードの手を引っ張って歩き出した。
「おい、店はこっちだぞ」
「すみません…」
やはり方向音痴なサーシャであった。
十字路を進み、突き当たりまで行くと目的の店にたどり着いた。
店に入ると、
「いらっしゃいませ…お前、ジュードか?大きくなったな!」
店主がいきなり親しそうに声をかけてきた。
「誰だよ、アンタ」
「そっかそっか、最後にあったのはお前が2歳の時だったもんな。知らなくても仕方ない。俺はラッシュ。お前のオヤジさん、グレンの親友兼ライバルさ」
「オヤジの?ライバルって事はアンタも剣を?」
「いやいや、そうじゃねぇ。製作魔法の、だよ。あいつに教えたのは俺だからな。まぁ、あっという間に追い越されてしまったがな、ガッハッハッハ!」
豪快に笑うラッシュに若干引きつつ、インゴットについて尋ねた。
「銅と銀、鉄、亜鉛ならあるがどれが欲しい?」
「銅50と銀20、鉄は100で頼む」
「あいよ、ちょっと待ってな」
そう言って店の奥に消えたラッシュを待つ事10分。
「ほらよ、注文の品だ。これでいいか?」
「ああ、いくらだ?」
「いや、今回は再会を祝してタダにしといてやるよ」
「すまない、助かる」
「またこいよ!サービスしてやっから!」
ラッシュに見送られ、二人は店を後にしようとした。
さて、ここで問題が発生。買ったはいいが重くて動かない。銅はまだいいとしても鉄が動かない。すると、「やっぱりな、こいつをやるから乗せて帰れよ」
そう言って渡されたのは手押し車だった。
「何から何まですまない。恩にきる」
「いいって事よ!またな!」
今度こそ二人は店を後にし、宿に向かって歩き始めた。
宿に着くと一部屋しか空いてなく、一緒に寝る事になった。
「俺はソファで寝るからお前はベットで寝ろ」
「いいんですか?ありがとです!」
部屋に着くと早速ジュードは武器作りを始めた。サーシャも食い入るように見入っている。
まず、銅のインゴットをテーブルに敷いた専用の板の上に置き、
『熔かせ(ディソルヴ)』
銅が溶けた。すかさず
『変形』
溶けた銅はだんだん形を成していく。
その形は剣の柄だった。
『冷却』
熱を取り除き、形を固定化した。
『強化』
簡単に壊れたり、錆びたりしないよう強化される。
「これで柄は完成だ」
つぎにジュードは銀と鉄を取り出し、
『融合』
なんと二つの金属を融合させてしまった。
「ふぇ〜!すごいです!二つの金属が一つになっちゃいました!」
サーシャも驚きを隠せず、目を輝かせていた。
先ほどと同じ工程を繰り返し、剣の刀身ができた。
「最後に『合体』」
柄と刀身を組み合わせて完成したのは白銀の輝きを放つ剣であった。
「わぁ〜、綺麗です〜」
サーシャも見とれてしまっていた。
同じ要領でサーシャの杖と自分の防具を作った。二人はは腹が減ったようで、食堂に向かおうとしていた。
すると、ノックの音がして、二人は食堂に行くのを諦め、ドアを開けた。
「夜分に申し訳ありません。どうしても伝えなければならない事があり、参りました」
「お姉ちゃん…どうしてここに?」
そこにはサーシャが姉と呼ぶ謎の女性が立っていた。
謎の女性が訪ねてくる少し前。
騎士試験受付本部では。
「将軍、この二人をお願いします」
将軍と呼ばれた男はフェイから紙を受け取り、目を見張った。
「このジュードとかいうガキ、もしや、ロドスフィアの…いや、まさかな。わかった、登録しておこう」
「ありがとうございます」
仕事を終えたフェイはサーシャに報告をするため、宿を目指していた。
すると
「すみません、サーシャという女の子を探しているのですが、どこにいるか知りませんか?」
と尋ねられた。
見るとそこにはフードを女性が立っていた。
「失礼ですが、どのようなご関係で?」
「申し遅れました。私、サーシャの姉のノエルと申します」
「お姉さん!?これは失礼いたしました。私はフェイと申します。サーシャの友人です。
サーシャは今は街にある宿にいると思います。街中の宿は一つしかありませんからすぐわかると思います」
「ありがとうございます。これからも妹と仲良くしてやってください。それでは」
そう言うと女性は宿に向かって歩き去ってしまった。
「サーシャに姉がいたとは…」
驚きを隠せず、フェイはその場で考え込んでしまった。
時間は戻ってサーシャとジュードの部屋。
サーシャは暗い顔をしたまましゃべらなくなってしまった。
「単刀直入に言います。サーシャとのコンビ、解消してください」
「何故それをアンタに決められなければならないんだ?俺たちは二人で試験を突破するって決めたんだ。突然現れてコンビ解消しろ?ふざけるな!だいたい、なんの権限があってそん…」
「あなたは何も知らない」
ジュードの言葉を遮り、ノエルが放った一言でサーシャの様子が激変した。
「やめて…もうこれ以上私を壊さないで!近づかないで!」
震えの止まらない声を振り絞ってサーシャは叫んだ。サーシャを見ると声だけではなく身体も震えが止まらなくなっていた。
「そうはいかないわ。あなたの身勝手で見ず知らずの人を死なせるわけにはいかない。あなたはそれがよくわかっているから里を抜けたんじゃないの?」
しかし、ノエルの返答は非情なものだった。
「それは…」
「あなたの力は人を傷つける。あなたの意思とは関係なくね」
「それは違う」
言い返せなくなったサーシャを見かねて、ジュードが言い放つ。
「何が違うのかしら?」
「サーシャの力は人を傷つけることはない。俺といる限り、な」
「何を根拠に…」
「≪魔力消去≫(ディスペル)」
「…っ!?そんなことできるわけ…」
「できる。俺の力を使えば可能だ。今からそれを証明してやる」
外に出た三人は周りに人がいないことを確認した。
「サーシャ!」
「は、はいっ!」
「俺に向けて全魔力を込めてお前の打てる最も強い魔法を放て!3.2.1の合図で行くぞ!安心しろ。必ず打ち消せる」
「そんな!私には無理です!」
「いいからやれ!俺を信じろ!」
「…わかりました。では、行きます!古の契約の元、サーシャが命ずる!力の象徴は月光、依代はペンダント!されば汝、我が求めに応じ、ここに降臨せよ!ー召喚!極寒の氷獄より舞い降りし皇姫!極氷姫レティシア!」
「こい!サーシャ!3.2.1」
「我に仇なす敵を永遠の氷獄へと幽閉せよ!」
「絶対零度の弾丸!」
「魔力消去!」
サーシャの周りに百はあろうかという氷の槍が現れる。と同時にジュードめがけて飛んできた。ジュードを襲うと見えた、たくさんの氷の槍はジュードに当たる直前で一瞬にして消えてしまった。
「そんなっ…!?本当に消しとばした!?」
「サーシャ、これが俺がお前に言えなかった秘密の一つだ。すまなかったな、怖い思いをさせ…ぐぇっ!?」
喜びと驚きと恐怖とが入り混じり、抑えきれなくなったサーシャがとびついてきた。鳩尾めがけて。
「怖かったです!死んじゃうかと思ったです!でもよかった…ありがとです!ジュード!」
「おい、呼び捨てかよ。やっとできるようになったじゃないか。それでいい。俺たちの間に敬語はいらない。そうだろ?」
「…はいっ!」
盛り上がる二人をよそに、ノエルは驚きのあまり力が抜け、地面にへたり込んでしまった。
「そんな…本当にあるなんて…」
「どうだ?これでもまだコンビ解消なんてつまらないこというつもりか?」
「…いえ、私からもお願いします。妹をどうか守ってやってください」
「…っお姉ちゃん…ありがどう!私、頑張る!立派な魔導士になって里に戻るから!」
「ふふ、楽しみに待ってるわ、サーシャ」
姉の公認を受け、コンビとしての絆を深めた二人は近いの拳を重ね、へやにもどろうとした。その時、グー〜〜。
「…飯食いに行くか」
「そうだね、お腹すいてたの忘れてた…あはは…」
「私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。いいよな?」
「もちろん!三人で食べよ!」
三人はつい先ほどまでのいざこざがなかったかのように仲良く食事して眠りについた。
ちなみに余談だが、食堂でサーシャが食べる量が尋常じゃなく、ジュードと料理長は真っ青になり、ノエルは真っ赤になってしまったことはいい思い出かもしれない。
謎の女性はサーシャの姉でした。
二人の新しい能力も出てきて、だんだん面白くなってきました
次回も乞うご期待!
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