外伝1〈最後の仙術〉
外伝1です(^_^)/思いっきり恋愛要素なのでどうでもいいYo!
苦手な方はバックでどうぞ
なんていうか本編より酷いです。すいません
ーーやっぱ甘くできなかった(´・ω・`)
大通りには鮮魚店や米屋、果物野菜など様々な店が並び活気に溢れていた。ごった返す人々を縫うようにして小柄な凛は歩いていた。嬉しそうに目を輝かせながら。
最近は罪人として追われる日々が続いているためーーというか、好んでそうなった気がするがーー中々街には近づく事など出来なかったがこの間、国境を越えて『六』に入ったお陰でようやく一息つくことが出来た。
久しぶりの買い物。ただ、一つだけ意識をして見ないようにしている店がある事に俺が気付いていないと思っているのだろうか。
鮮やかな衣服に目を向けないようにしている。似合うと思うのだけれど。
「いったいなんの遠慮かーー」
と俺の言葉を遮るようにして声が耳元で響いた。
『で、ぶっちゃけて聞くけど』
「なんの用だ? 相変わらず突然出てくんな。項弦」
見るとそこには見慣れた大柄な青年が立っていた。誰も彼の姿など見えていないのだろう。皆が皆、俺の横を不審者を見る様な顔で通り過ぎていく。
不快そうに言う俺に彼は『相変わらず』と苦笑を浮かべた。
『いやなぁーーお前何か機能不全なの?』
一瞬なんの話か不明だったが、理解すると俺は我知らずブツブツと呪文を発していた。おそらくは『魂さえも消せたらいいな』という感じの仙術だ。
項弦はそれに気付いて微かに顔を引き攣らせた。
「覚悟はいいか?」
『よくないから。ーーっうか、お前ら何も変わらないし。全く持って何一つ変わらないし、気になるでしょ? 普通、親代わりの俺としては』
いいや。ただ知りたいだけだ。この男は。楽しそうな笑顔が物語っている。殺意を向けたままそう思う。
『でも、二百年前はまとも……』
言いかけて口を噤んだ。二百年前。封印前の話だ。凛には言っていないが雪華は昔、少しだけ付き合っていた。俺はまだガキだったけれどあいつは大人で、まぁそう言う事なのだが。
しかし。
「なぜしってる?」
『あ。俺は国王だ。当時のことで知らない話は無い』
開き直った。彼は大きく胸を張ったが、そんな事まで知る必要は無いだろう。と心底思う。
とにかく、この会話から離れたい。頭痛がするようだ。凛がいなくてよかった。とつくづく思う。
「まあ、いい。とにかく、俺らはこれで良いんだよ。もともと、俺達『仙』には子を成す能力は無いし。意味はない。もしかしたらこの先ーー」
人の元に下るかも知れない。俺はそれを止められないから。なるべく絆などは残さない方がいいのだ。
凛が幸せそうな顔でここにいるだけでいい。俺はそれだけで良い。
「もういいだろ?」
項弦は呆れたように顔を宙に向けた。
『……そういえば、凛に聞いたけど、雪華がかけた最後の仙術って何か知ってるか?』
確か、凛がそんな事を言っていた気がするが詳しくは分からない。彼女の残した何かがあればわかるだろうが今はもう知るすべが無かった。ただ、毒々しい物は感じない。第一、本来のあいつはそんなに酷いやつではないのだ。
俺は光に溶けるようにして消えていった雪華を思い出していた。手に未だ温もりが残っているような気がする。
とにかく放置しても問題は無いだろう。
「いいやーーお前は知っているのか?」
知っていたら知っていたで何故。という気分になるのだが。幽霊の特権なのだろうか?
項弦は肩を竦め近くにあった果物屋に目を向けた。赤いリンゴが瑞々しく輝いている。それを取ろうとしたが取れない事に彼は少しだけ寂しげな笑顔を浮かべた。
『ーー御礼だとよ。消える前に言ってた。お前と嬢ちゃんに』
「なんの?」
『さぁ、案外すぐ分かることだ。ただ、お前が未だそんなことにこだわっているならーー』
その声を遮るようにして、凛が後ろに立っていた。
「風雅、どうしたの? なんか険しい顔だけど。あ、項弦。久しぶりだねぇ」
ヒラヒラと手を振る。
あの日からーー村が消えて雪華が死んだ日から一年以上が経過していた。たったの一年。だと言うのに彼女は以前よりも大人びて美しく成長していた。誰もが振り返るほどに。
誰にも渡したくないと思うのはきっと下らないことだ。
『そういえば嬢ちゃん。何歳になったんだ?』
「18歳だけど」
何かがある。そう思ったのだろう。凛は警戒するように項弦を見た。
『もう、そんなにか。なっーー子供、欲しい?』
凍り付いた空気。ストレートすぎる質問に凛は口をパクパクさせていた。どう言っていいのか分からない。と云う様子で。最後には顔を真っ赤にさせている。
なにか、項弦が思いついた新手の嫌がらせなのだろうか。
「項弦!」
俺は叫んでいた。だが彼は動じない。それ以上に邪魔と言わんばかりに俺を一瞥してみせた。
『残念だがお前らの間に子供はできないらしい。風雅いわく。だから子供が欲しいならとっとと見限ったほうがいいと思う。その為に奴もお前に手出しが出来ないみたいだしーーどうする?凛』
「やめーー項弦!」
『黙れ、風雅。俺は凛に聴いている。お前に聞いてはいない』
それは王者の風格だった。意を唱える事など許されない。そんな雰囲気に俺は飲まれてしまう。ただ、項弦だから俺は飲まれるのであってそれ以外は恐らく無いだろう。
俺はぐっと唇を結んだ。
「ど、どうする? って、私は子供が欲しいから一緒にいるわけではないから。同じお墓に入りたいとか、そんな事望んでないよ」
彼女はクルリと項弦から身体を逸らして俺をまっすぐに見た。視線が逸らすことができない。まるで絡め取られたようだった。
「いたいから一緒にいる、それだけだよ? 何も望んでない、私は幸せなの」
彼女は俺の腕に軽く自分の腕を絡ませた。嬉しそうに。なんとなくとくんどくんと心臓の音が聞こえないか心配してしまう。
項弦は軽く声を上げて笑った。
『愛されてんなぁ、風雅。お前は、嬢ちゃんになにを返すんだ?』
「何ってーー俺は」
ずっと与えられている。この世界に立った時から凛に何もかも与えられているような気がした。それに何を返せばいいのだろう。
側にいる。とても嬉しい言葉なのに。俺はどう返せるだろう?
『くどくど考えるから答えはいつだって見えない。風雅。思った事を言えばいいんじゃね?』
そうなのかもしれない。それで良いのかも知れない。
「ーー凛」
ポツリととつぶやく言葉に彼女は顔を上げた。
「有難うーーずっと居てくれるか?」
驚いたようにおおきな目が更に大きく見開かれている。かすかに潤んだ双眸は宝石の様に綺麗だ。
吸い込まれそうなほどだった。
「愛していると言っても?」
震える唇から言葉がちいさく漏れるようだった。『うん』と。
ーー愛している。呟いて俺は彼女の唇に触れた。
あと、2、3個外伝が有ります。たぶん。
にしても人混みで迷惑な人達です^_^




