ひとりぼっちはさみしいよ
ジャンルをホラーと迷ったのは内緒。絶望していってね!
珍しく恋愛です。恋愛ですってば。
記憶の最後は、夜。
月も星もない雨夜に、声を押し殺して泣いている、私。
そして、後ろから閃光が走り、衝撃、暗転、沈黙。
実に禄でもない人生でしたね、と担当の人には言われた。
「両親にはできのいい兄妹と比べられ兄には無視され妹に恋人を盗られその前の初めての恋人は親友と浮気。上司に不倫を迫られその妻は恩のある先輩で?必死に断ったらリストラされて行き暮れて飲んだ暮れて絶望的な気分で泣いていたら信号無視のトラックが突っ込んできて見るも無残に死亡。しかもそれまでの人生でそれなりに善行を積んでいるにも関わらず報われたことはなし。前世以前には問題なしで今世に転生する際にも大きすぎる要望は出していませんので反動でもありません。あなた、不運ですねえ」
「・・・はあ」
「成績だって仕事だって並よりは上にこなしていますし顔や性格が然程悪かったわけでなし・・・お気の毒ですが、本当に運にさえ恵まれていれば幸福でしたでしょうに」
「・・・はあ」
「まあ、その代わりに前世と前々世ボーナスということで今回の転生で選べるボーナスが大幅に増えましたので、ご確認ください」
そんなこと言われたって、と思いつつボーナス一覧と書かれた長ったらしい紙を見る。
チート?いらない。内政だろうと武勇だろうと過ぎたるは及ばざるがごとしでしょ。
逆ハー補正?妹を見てると気持ち悪かったので却下。
記憶保持・・・うーん。
最強とか、普通にいらない。兄がどんだけ面倒ごとに巻き込まれていたことか。
なんか、前世で何も選ばなかった理由がわか・・・うん?あ、これ・・・新規追加か。うん、うん、いんじゃない?というか、これを選ばずにどれを選ぶんだ、という。
ええとこれを活かすにはあれとこれを選んで・・・ん、完璧。
「すみませーん、決まりましたー」
さて、私が選んだのはなんだったのかというと。
一つ、記憶の保持。
二つ、真っ当に私を愛してくれる家族。
三つ、記憶回復時期の指定。
自分を一途に愛してくれる人ってのもあったけど、それはその、嫌な予感がして選ばなかった。ヤンデレ?ヤンデレへの伏線ってか?
あ、今のでわかったと思うけども私オタクだったんで。現実が辛くて二次元に逃げ込んだ口です。
だって二次元は優しいんだよドジっても仕方ないなで終わるし頑張ったら褒めてもらえるしお兄ちゃんは甘いし妹に慕われるしおかあさんもおとうさんも頭を撫でて褒めてお祝いしてくれて努力は全部報われて好きって言ったら好きって返してもらえてみんなしあわせでこうりゃくどうりにしたらちゃんとはっぴーえんどにたどりつけてじかんさえかければみんなふりむいてくれてともだちもいっぱいできてなんでわたしさんじげんでこんなつらいめあってんのとかかんがえてしにたくなってでもがめんむこうのえがおにすくわれてがんばってがっこいってしごといっておこられてけなされてくらべられてねえわたしがんばってるよまだはいったばっかりだしならったばっかりだししらないこといっぱいなのになんでさいしょからできないといけないのねえねえねえねえねえねえあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
・・・ちょっと錯乱した。反省。
まあつまり、家族に愛されていることを幸福だと思うために引き継いで不審に思われないためにちょっとずつ思い出してただいま花の17歳。父母兄姉に囲まれて真っ当な生活を満喫していま”した”。
うん、もう、なんて言うかね。ここまで祟るもんですか?前世って。
ファンタジー世界に生まれたのは別に良い。転生先の指定なんかしなかったもの。
財産持ち貴族なのも別に良い。家族に真っ当に愛されるために財産が必要なのは知ってる。
一人娘でないのも別に良い。ちゃんと優しくしてもらえるなら、何の問題もない。
でもさ、勇者召喚って何?なんで前の兄さんと妹が来るの?なんで?なんで?なんで?なんで?
どっちも勇者で、魔王を倒しに行くの?どうして私が?なんにもできないの、知ってるでしょ?ねえ王様なんで?
「そうしないと魔王を倒してあげないって言ったのよ、お姉ちゃん」
なんで姉だってわかるの?顔も違うのに。大体姉だなんて呼んだことなかったくせに。
「んなの簡単だろ。魂はそうそう変われないからな」
どうして私なの、なんで私なの?
「だってお姉ちゃん、私のこと褒めてくれなかったから・・・でもでも、違うんだね。お姉ちゃんに褒めてもらうためにあんな小さいことで満足しちゃいけなかったんだね」
「ずっと昔はお兄ちゃんお兄ちゃんって着いてきたのにな、なんで駄目になったのか考えたんだ」
「そうだよね、お兄ちゃんはもっと凄いことしてたんだもん。世界を救うぐらいしなきゃ」
「母さんと父さんが比べるからだったよな。それから周りの目を気にして・・・んなことしなくても、俺が守ったのに」
「ごめんなさいお姉ちゃん、今度はちゃんとするからいっぱい褒めてね。そのために何回も何回も何回も生まれ変わってるんだもの。今回は覚えててくれて嬉しい」
「ごめんな、目を離すから怖い目に遭うんだよな。もう大丈夫。今度こそ俺が護るから」
「「今度こそ、ずっと一緒だよ」」
これ、なんて悪夢?
やめたげてよぉ!な話が書きたかった。定期的にヤンデレを書きたくなる病ですごめんなさい。




