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京都丹後弁。だっちゃ恋愛物語。  作者: 刹那による京都城主(藤安)
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 文化祭が終わって


文化祭が終わってからクラスの中で、僕と深雪を見るみんなの目が変わった。

「からかい」から「確信」に変わったのだ。

「もう言えよ」

「早く付き合え」

「公式発表まだ?」

「うるさいっちゃ!」

 深雪は、笑って受け流していた。

 でも、ある日の放課後。

「はると」

 いつもより静かな声で呼ばれた。

「少し、話そ」

 場所は、屋上だった。

 風が冷たくなり始めた季節。

 夕方の空は、薄いオレンジ色。

「……改まってどうしたんですか」

「逃げないで聞いてほしい」

 その言葉だけで、心臓が速くなる。

 深雪はフェンスの前に立ち、こちらを見た。

「私ね」

 一拍。

「はるとのこと。好き」

 飾り気のない、まっすぐな言葉。

 頭が、真っ白になる。

「仮とか、噂とか、文化祭マジックとか」

「……」

「全部なしにしても。好き」

 胸が苦しいほど鳴る。

「でも、、、」

 深雪は、少しだけ視線を落とした。

「私、心臓のこともあるし、

 入院もするし、

 約束、守れない日もきっとある」

 知っている。

 だからこそ――

「それでも」

 こちらを見る。

「一緒に、そばにいてほしい」

 逃げ場はなかった。

 僕は一歩、前に出た。

「……先輩」

「なに」

「好きです」

 声が、震えた。

「最初に会った日から」

「寝てた日?」

「それは忘れてください!」

 くすっと笑う。

「でも、ずっと」

 続ける。

「強くて、弱くて、格好よくて、ちゃんと女の子で」

 深雪の目が、少し潤んだ。

「……それ、反則」

「お互い様です」

 沈黙。

 風の音だけが、通り抜ける。

「じゃあ」

 深雪が言った。

「今日から」

 一歩、距離が縮まる。

「仮じゃない?」

「……はい」

「彼氏?」

「……はい」

 小さく、深雪が息を吐いた。

「よかった」

 そう言って、

 初めて、こちらから手を伸ばした。

 指先が触れる。

 繋ぐ。

 でも、強くない。

 でも、離れない。

「はると」

「はい」

「ゆっくりでいい」

「はい」

「倒れたら、受け止めてね」

「はい」

「絶対です」

 夕焼けの中で、

 二人は、何も急がなかった。

 キスは、しなかった。

 その代わり、

 繋いだ手が、全部を語っていた。

 正式交際、開始。

 クラスには、まだ言っていない。

 でも。

 明日には、きっと――

 全員が知る。

 なぜか。そんな予感が、心地よかったっちゃ。

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