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京都丹後弁。だっちゃ恋愛物語。  作者: 刹那による京都城主(藤安)
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 深雪が退院して最初に言った言葉が、これだっちゃ。


「文化祭、全力で暴れるっちゃ!」

「暴れないでください!」

 僕――はるとは、即座に止めた。

 峰山高校・文化祭初日。

 一年一組の出し物はメイド喫茶。

 なぜこうなったのか、誰も覚えていない。

 ただ一つ確かなのは――

「深雪がメイドは、校則的にアウトじゃない?」

「逆に見たい!」

「いや、執事だろ!」

 議論の結果。

 深雪=執事(男装)

 はると=給仕係(女装)

「女装はぜーーーったいにいやだっちゃ!!」

「完璧な采配だね」

「クラスの暴走です」

 深雪は白シャツにベスト、蝶ネクタイ。

 完全にイケメン。

 そして、開場五分で、事件は起きた。

「きゃーー!!」

「執事さま!!」

「写真いいですか!?」

 一年一組、大行列。

「おかしい……メイド喫茶だよね?」

「執事喫茶に変更だね」

「勝手に変えないでください!」

 深雪は余裕で接客していた。

「いらっしゃいませ、お嬢様」

 低めの声。

 完璧な所作。

 女子が次々に倒れていく(比喩)。

「……はると」

「はい」

「紅茶2つ、お願い」

「了解です!」

 完全に主従。

 その様子を見たクラスメイトが囁く。

「え、あれって恋人関係じゃない?」

「距離感バグってない?」

「もう公式でよくない?」

「違います!!」

 昼過ぎ。

「深雪、ちょっと裏来て」

 担任に呼ばれた。

(怒られる……)

 しかし戻ってきた深雪は、なぜか女装メイド姿に変身していた。

「……説明してください」

「執事人気が想定外で、女子に交代」

「担任判断おかしい!」

 でも。

 メイド姿の深雪は、さっきまでの執事姿からのギャップもあり破壊力がすごすぎた。

「……似合いすぎです」

「今さら?」

「今さらです!」

 結果。

 一年一組、来場者数トップ。

 夕方。

 片付けの合間、深雪が少し息をついた。

「……さすがに疲れたっちゃ」

「無理しました?」

「ちょっとだけ」

 人気のない校舎裏。

「でも、楽しかった」

「よかったです」

「病院にいると、忘れそうになるんだ」

「何をですか」

「こういう、騒がしいの」

 少しだけ、真面目な声。

「はるとがいたから、安心して無双できたっちゃ」

「……それ、俺の役目じゃないですか」

「でしょ」

 夕焼け。

 校舎に貼られたポスターが、風に揺れる。

「ねえ、はると」

「はい」

「今日だけはさ」

 一歩近づいて、

「仮、やめない?」

 心臓が跳ねた。

「……それ、文化祭マジックです」

「じゃあさ、マジック信じる?」

 笑顔。

 でも目は真剣。

「……少しだけ」

「少し?」

「片付け終わるまで」

「短っ」

「その先は、また考えます」

 深雪は吹き出した。

「ほんと慎重」

「受験生だったんで」

「じゃあ合格」

 そう言って、頭を軽く叩かれた。

 校庭に花火が上がる。

 歓声。

 その中で。

 手が、そっと触れた。

 繋がない。

 でも、離れない。

 文化祭は終わった。

 でも、二人の関係は――

 まだ、無双の途中だったっちゃ。

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