表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

5-ヒートの兆し-前編-

 ――――――数日後。

二人の同居は、世間の“視線”の中では順調に見えた。


夕方、事務所での仕事を終えた冬馬は、邸宅に戻ると、

リビングの奥から小さな音楽と、ほのかな香りが漂ってくるのに気づいた。


「……アロマ?」


部屋の空気が甘く、微かに温かい。

この香りは、どこか馴染みがある。


ソファには、読書をしていた遥の姿。

だが彼は、明らかに顔色が悪かった。


「大丈夫か?」


「……ちょっと、熱っぽいだけ。疲れだよ」


だが、冬馬は知っている。

これは、ただの“疲れ”ではない。


発情期の前兆――“ヒートの兆し”だ。


    *


深夜、寝室のドアの向こうから、微かに熱っぽい吐息が聞こえる。

ドアノブに手をかけたが、すぐに離した。


(契約には触れないとあった。だが……)


身体の奥に、微かな疼きがあった。

αとしての本能が、香りに反応している。


「……制御できる」


言い聞かせるように、冬馬は冷水で手を洗い、眠りについた。


けれど、眠りは浅く、夢の中でまた――

あの夜の甘い香りが、記憶の奥を引き裂いた。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ