表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
票ではなく誓いを~偽りの番契約~  作者: 相田ゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/14

3-契約の家-中編-

 冬馬の自宅――選挙戦用に用意された白亜の邸宅は、豪奢な空間だった。

リビングで対面するふたりは、これから三ヶ月の"恋人"を演じなければならない。


「今日から、ここで暮らしてもらう。

 報道対応もあるし、外出は俺の許可を得てからにしてくれ」


「うん。形式だけの番だから、期待しないで」


遥は淡々と言いながら、カバンを置いた。

その所作が美しかった。

俳優という肩書きはもうないというのに、全身から“見られる”ことを知る者の雰囲気がにじんでいる。


「ひとつ、確認しておきたい」

冬馬はゆっくりと口を開いた。


「──君と、どこかで会ったことは?」


沈黙が落ちた。


「……いいや。俺は、あなたとは初対面のつもりで来たよ」


遥の返答は、柔らかくも冷たかった。

まるで“嘘を嘘で上塗りする”ことに慣れた者の声だった。


その夜、冬馬は眠れなかった。

遥の香りが、何かを引きずり出そうとしていた。

ひどく甘く、切なく、そしてどこか懐かしい匂い。


だが彼の記憶には、確かな形では何も残っていない。


「……ただの番役、だ。思い違いだろう」


自分に言い聞かせるようにして、目を閉じた。


だが、知らぬ間に――

遥の方では、すでに名前もない一夜を覚えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ