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票ではなく誓いを~偽りの番契約~  作者: 相田ゆき


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13/14

13-後日譚1・記者堀江の告白

政治家・柏木冬馬、元俳優・天城遥と番契約を経て――

「契約ではなく、本物だった」と語った男の真実。


かつて天城遥は、芸能界から姿を消した。

四年前、未成年とのスキャンダルが報じられ、所属事務所は事実関係を認めず沈黙し、

彼の口から“釈明”はついに出なかった。


そして現在。

その「元スキャンダルΩ」が、次期当選確実と言われた政治家の番として再登場したことは、

一部でセンセーショナルに扱われた。


私が本記事を執筆しているのは、その“炎”に薪をくべるためではない。

むしろ――あの夜に消された“火”を、いま一度、灯すためだ。


□ 天城遥という人間

私は、天城遥に一度だけ直接取材を申し込んだ。

結果は断られたが、返ってきたのは一通の直筆の手紙だった。


「もしあなたが真実に触れたいなら、“名前”ではなく“行為”を見てください。

私は誰かの未来を壊すためにここに戻ったのではありません」


筆跡は揺れていたが、語調は迷いなく、静かだった。

その手紙を読んだとき、私は初めて「この男は逃げたのではなく、守るために沈黙したのだ」と理解した。


□ 柏木冬馬の選択

最も驚くべきは、記者会見での柏木冬馬自身の言葉だ。


「私は彼の過去を知った上で、彼を番として選んだ。

 私の身を守るために口を閉ざしたΩを、

 今度は私が守る番だと思ったんです」


そう語ったときの彼の目には、恐れも言い訳もなかった。

“票”を失うかもしれない状況下で、それでも本名と職位を掲げて語った男の言葉を、

私は一記者として、そして一人の読者として、信じることにした。


□ 記者の結論

この仕事をしていると、人の嘘ばかりを嗅ぎ分ける鼻になる。

けれどときどき、その鼻をくすぐるのは、まぎれもない真実の匂いだ。


柏木と天城の関係に何があったのか。

それは私たちの想像の域を超えない。


だが、たったひとつ言えるのは――


この国に“番”という制度が残っているのなら、

それは“選ばれた者同士の誇り”として残るべきだ。


この言葉を最後に、私はペンを置く。

ふたりが歩む道に、これ以上の暴露は必要ない。


本文末尾:

筆者・堀江翔一は本記事をもって、週刊タイムリーを退職します。

有り難うございました。

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