13-後日譚1・記者堀江の告白
政治家・柏木冬馬、元俳優・天城遥と番契約を経て――
「契約ではなく、本物だった」と語った男の真実。
かつて天城遥は、芸能界から姿を消した。
四年前、未成年とのスキャンダルが報じられ、所属事務所は事実関係を認めず沈黙し、
彼の口から“釈明”はついに出なかった。
そして現在。
その「元スキャンダルΩ」が、次期当選確実と言われた政治家の番として再登場したことは、
一部でセンセーショナルに扱われた。
私が本記事を執筆しているのは、その“炎”に薪をくべるためではない。
むしろ――あの夜に消された“火”を、いま一度、灯すためだ。
□ 天城遥という人間
私は、天城遥に一度だけ直接取材を申し込んだ。
結果は断られたが、返ってきたのは一通の直筆の手紙だった。
「もしあなたが真実に触れたいなら、“名前”ではなく“行為”を見てください。
私は誰かの未来を壊すためにここに戻ったのではありません」
筆跡は揺れていたが、語調は迷いなく、静かだった。
その手紙を読んだとき、私は初めて「この男は逃げたのではなく、守るために沈黙したのだ」と理解した。
□ 柏木冬馬の選択
最も驚くべきは、記者会見での柏木冬馬自身の言葉だ。
「私は彼の過去を知った上で、彼を番として選んだ。
私の身を守るために口を閉ざしたΩを、
今度は私が守る番だと思ったんです」
そう語ったときの彼の目には、恐れも言い訳もなかった。
“票”を失うかもしれない状況下で、それでも本名と職位を掲げて語った男の言葉を、
私は一記者として、そして一人の読者として、信じることにした。
□ 記者の結論
この仕事をしていると、人の嘘ばかりを嗅ぎ分ける鼻になる。
けれどときどき、その鼻をくすぐるのは、まぎれもない真実の匂いだ。
柏木と天城の関係に何があったのか。
それは私たちの想像の域を超えない。
だが、たったひとつ言えるのは――
この国に“番”という制度が残っているのなら、
それは“選ばれた者同士の誇り”として残るべきだ。
この言葉を最後に、私はペンを置く。
ふたりが歩む道に、これ以上の暴露は必要ない。
本文末尾:
筆者・堀江翔一は本記事をもって、週刊タイムリーを退職します。
有り難うございました。




