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第一部 第二章 間違い続き

「都知事、首相官邸から連絡が入っています。 あの東京湾の中央にそびえたっているものはなんだと。 何かのイベントの建物か何かと。」

「総理、お電話代りました。 我々も今現在あれがなんであるのか調査中です。 いえ、あれは決して都のイベントの飾りとか建物とかそういったものではありません。 え? 米軍が照会を求めてきている? いや、でも米軍は関係ないでしょう。 いくら聞かれたってわからないものはわからない。 ですから、わかり次第ご連絡差し上げます。 私どもで手が余るようでしたら、政府の応援を要請いたしますので、今しばらくお時間を。 ああ、どうも官邸は勝手がいかないわね。 こっちだってまだあれが何かわからないっていうのに。 どうしたの? 消防のヘリを飛ばしたんでしょ? まだ何か連絡はないの?」

「各テレビ局、新聞、報道関係者各位にも協力をお願いしましたが、いまだに何のビジュアルも・・・・」

「どうしてマスコミなんかに?」

「こちらの協力要請以前にもうそれぞれ勝手に取材と言って飛び立ってしまっていて。」

「まあ、いいわ。 誰でもいいから何か判断できる情報が必要なのよ。 第一、羽田空港はどうなっているの? あんなもんが目の前にあったら飛行機なんか着陸できるの?」

「日本国内線および羽田離着陸予定の国際線も含めましてすべてキャンセルまたは空路を変えている最中だとのことです。」

「で、大体の位置はわかっているの?」

「はい、あの東京湾の両端を結ぶ道路、東京ベイロードの中間地点になる建設中の東京ベイセントラルパークの埋め立て地が中心になっている模様です。」

「あそこはまだ第三次工期が終わって、作業員も数日前に現場を離れているはずじゃないの?」

「確かにそうなんですが。」

「監視のカメラとか?」

「いえ、あるはずなんですが、本日未明より動作が確認できておりません。」

「あれ、あれは? テレビ局があるでしょ? あそこの天気予報、確か東京湾の中心をいつも背景に撮ってなかった?」

「はい、確認してみます。」

「本当に何なのかしら、暗いだけで全くその全貌がわからないなんて。」

「画像あるそうです。」

「まさかもうニュースで流したとか?」

「いえ、原因不明の電波障害で東京近辺のテレビ局、ラジオ曲等、本日未明から放送が行われていません。」

「あ、そうだったわね。 で、画像は?」

「唯一、これが今送ることができるものだそうです。」

「スマフォのメールの写真だけ? なにこれ?」

「おそらく巨大な木かと。」

「巨大な木?」

「はい。」

「そんな木がある訳ないでしょう。 考えてもごらんなさい。 昨日なかった木が一晩で東京湾全体を覆うくらいの大きさになる訳ないでしょう、どう考えたって。」

「もちろん、それはそうなんですが。 あ、消防局のヘリからメールと写真が来ました。」

「どれ? 『木です。 木にしか見えません。』 なによ、これは。 そんな訳ないって。」

「でもこの写真は木の幹、そしてそこから伸びている枝、葉っぱ、どうみてもこれは・・・」

「わかってるわよ、そんなこと! 私が言いたいのはこんなことは起きるはずがないって言ってるの? わかる? 常識で考えなさい、常識で。 米国も知らないっていうんだから、国内の活動家? 中国? ロシア? どこのだれかはわからないけど、誰かがこんないたずらみたいなことをして、東京、いえ、日本国家の平和を脅かそうとしてるのよ。 そんなこともわからないんじゃ・・・」

 そこまで言い切ると都知事は突然糸が切れたように倒れた。

「知事? 知事? 誰か? えっと、救急車・・・ ダメだ、出ない。 何でまったくあんなもんが東京湾のど真ん中に生えたんだ。 いや、本当に生えているのか? 映像とかじゃないのか? でも、映像なら太陽を隠すほど暗闇をもたらさないだろう。 何なんだ一体!」


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