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消滅

惜別~また会う日まで


だが しかし。

ここにきて私は僅かな違和感を覚えていた。

そしてこの騒動が終わってしまう嫌な予感めいたものも。


それが何なのか解るまでに二日を要した。


これを読んでくれている、賢明な読者諸氏もお気づきでしょう。

そう。

台詞が無い事に。


エロウジンになってからの青木老人は

日に日に言葉を発しなくなったのである。

もはや人を越えたものに進化してしまったのかもしれない。

それともアメ合戦への腹いせに

ボケたふりをしているのだろうか。


いったいどんな形で決着がつくのか、

各病室の健康な?患者達の期待はますます高まった。


見知らぬ患者同士がトイレや休憩室で、ひそひそと青木老人の噂をし

新たな情報を交換し合った。


言い方はアレだが、青木老人のお陰で

第二病棟の患者の間に妙な一体感が醸成されたのである。


ところが事態はまたまた急展開。


ある日の午後 突然に、青木老人の気配が無くなってしまったのである。

病棟の奥から漂ってきていた、ただならぬ気配は消え失せ

何故か爽やかとも思える空気に満ちている。

若手の看護師たちの顏も晴れ晴れと明るい。


な、なんという事だ!

青木老人は人知れず退院してしまったのだ。


いや もしかすると隔離?

更にもしかすると転院?

ひょっとすると追放?


小説と現実は違う。

現実はいつもこんなものだ。

皆が納得できるような‘オチ’などある筈がない。


第二病棟には若干のガッカリ感が漂い、

そしていつもの静けさが戻った。


以上が森村中央メディカルセンターで起こった

じじぃウォーズの全容である。


最後に、後日私の担当になった看護師の激白をここに記す。


「泉さん、おはようございます。

きょうから私が担当になります。宜しくお願いしますねー♪


(いえ、こちらこそヨロシクです)


わぁ、このお部屋なんかイイ匂いするぅ、何の匂いだろう。


(あ、お高級ボディクリームざます。

病から目出度く生還し、入浴許可がおりたので自分へのお祝いに)


あのねー泉さぁん、私ずっと泉さんを希望していたんですよ。

でもね先輩達に回してもらえなかったんですぅ。

やっと願いが叶って嬉しいっ!

もう少しだけ居て良いですか?癒されるんだもん」


その声・・・

そうか貴女だったのか。

青木老人と‘サシ’で勝負していたのは。


申し訳ない、、、

お陰で自分の病気などそっちのけで、楽しませて貰いました。

深刻な状況に悩む事無く過ごせたお陰か、回復も順調でしたよ。


いいよ いいよ、今は存分に休んでいきなさい。


青木はこれから何人も何人も現れるだろうから。


おっしまい

2週間に亘り、くだらない日記を読んでくださっていた皆様、

本当にありがとうございました。

私は この5年後に再入院&オペすることになり、

更に貴重な体験を重ねる事になってしまいました。

また機会があれば、もう少し小説らしい形で

ご報告できればと思っております。

皆様もどうぞお体大切に。

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