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AIアオキ

深夜の徘徊はほんの序章に過ぎなかった。

青木老人は想定の斜め上をいくキャラだった。


穏やかな朝日が病棟を包む。

昨夜の襲撃でかなり楽しんだ私は、満足した気分で朝のバイタル測定に臨む。


血圧 上84 下61

体温 35.3


オーケー何も問題はない。

いつもの通り植物っぽい値だ。

植物でも水は欲しい。

今日あたりから水飲んでいいよって言われないかな。


ほどなくして朝食の配膳車が廊下の向こうからやってくる音が聞こえてきた。

これから各部屋で朝の宴が催されるのだ。

羨ましい。

私が参加できるのはいつになるのだろう。

胃がなくても、めっちゃ腹は減るってちょっと驚きですよね。


私の部屋は、ナースステーションの斜め前にある。

看護師さん達の会話や動きが筒抜けなので、

わりに飽きずに過ごせ、煩いが正直ちょびっと楽しい。


やがて宴は終わり、

それぞれ膳を納めるべく廊下を行きかう患者の姿が見える。


と、


・・・「あめ」・・・

「あめが」・・・


ん?雨降ってないよ?


看護師 「青木さんなぁに?」


(アオキだと?さては昨夜のアイツだな)


青木 「アメが食べたい」


看護師 「今、朝ごはん食べたばっかりでしょ?」


青木 「でもアメ舐めたい」


看護師 「ダメなの。勝手にそういうもの食べちゃ」


青木 「だめなのかぁ」


看護師 「青木さん血糖値高いんだから、先生に叱られますよ」


青木 「そうかよ・・・」


青木、うなだれ 一旦退席。


一時間後


青 「看護師さぁーん。」


看 「はい、なんですか?」


青 「お金を貸してください」


看 「何するんですか?」


青 「売店に行ってアメ買ってくるから」


惜しい!

詰めが甘いぞ青木。

ばらしちゃダメだろう。


作戦失敗


更に一時間後


青木またまたナースセンターに特攻


青 「すみませーん。10円貸してくださぁーい」


ん?10円?

10円じゃアメ買えないぞ青木。

チロルチョコだって消費税入るから無理だ。

やっぱ老人だな、フッ・・・


看 「10円なにするんですか?」


青 「家に電話かけます」


看 「電話してどうするんですか?」


青 「お金を持ってきてもらいます」


おぉーーー!

凄いぞ青木。

学習している。進化している。


てか、何故にそこまでアメが欲しい。

あんたは飴買い幽霊か。

ベットの下で赤子でも飼っているのか?

恐るべし青木の執念。


その後三日間に亘り、キャンディ青木と看護師のアメを巡る攻防は続いた。

(と言うか殆ど禅問答のようなやり取り 笑)

医師という大きな後ろ盾がある看護師の勝利かと思われたこの戦いだったが

青木は4日目に突然、思い切った反撃に出た。


恥ずかしながら、自分の心配そっちのけ

もう青木老人の虜になっておりました。

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