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第二十一話

 どんなに振り払おうとしても、遙香、勇一、祥太郎、亜沙美の四人の顔が、頭の中から出ていくことはなかった。

 始まるたびに、永遠に続くと思っていた、小学生時代の夏休み。

 放課後のたまり場となっていた――今はもうない――横町の駄菓子屋。

 学校帰りに遊ぶ回数が減ったことで、大人になったような誇らしさと、少しの寂しさを味わった中学生時代の放課後。

 みんなで野木鐘高校に入学するため、成績面で他の四人に一歩――いや数歩――劣る祥太郎を鍛えた、三年生冬休みの勉強合宿。

 五人全員が合格したことを祝い、奮発して入った少し豪華な中華料理店。

 修学旅行で買ったおそろいの根付け。みんな自分のスマートフォンに提げていたが、遙香が機種変更をしたとき、その新型のスマートフォンから根付けは消えていた。それがきっかけだったのだろうか。誰かが機種変更をするたびに――していなくても――徐々に自分たちのスマートフォンから根付けは姿を消した。最後まで提げていたのは自分だったのだが、ひとりだけ付けているのが何だか気恥ずかしくなって、とうとう外してしまった。あの根付けは机の引き出しの中に大事にしまわれている。みんなは、どうしたんだろう……もう、捨ててしまっただろうか……。

 下げていた視線を上げる。ここは星がたくさん見えるんだな。気付かなかった。

 ときおり、夜風が強く吹き付ける。あのときとはまったく違う……。

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