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7 夢見る45歳

戦争の無い世界と言うのは、何だか素晴らしい気もする。

でも魔物や魔獣がいるとなると、天秤はどちらに傾くのやら。

考えつつ魔力試験場をシエルと教授と後にする。戻ってきたのはさっきの着替えた部屋だ。

「シエルさん、正直に答えて下さい。私はこの世界で生活できるのでしょうか」

「え?こっちに聞くってことは戦いでもする気ですか?」

弱い敵なら倒せるかもしれない、と淡い期待をしてみる。

「ん~、加藤さんの剣術はそこそこで対人戦闘なら結構いけるかもですけど、魔獣と戦うとなると、話が変わってきますね、正直」

「魔獣?魔物とどう違うんですか?」

「魔獣は基本的に魔力を持つものを捕食する動物。魔物は魔力と知性を持っていて会話も出来ますし、魔法や魔術を使って襲ってきます。一般的には纏めてモンスターと言う人もいますけど」

シエルの言うことは正しい。人間以外と立ち会ったことなど無い。それに魔力は持ってても魔法が使えない、魔獣に捕食対象とされるのがオチだろう。

「聞いてばっかりで申し訳無いんですけど、魔法と魔術ってどう違うんですか?」

「それは私から。魔法は火水風土の四代元素。魔術はそれらを複合的に組み合わせて行使するものなんです」

「まぁ、でも加藤さんは会計士なんでしょ?仕組みは多少違うかもしれませんけど、ちょっと勉強すればそれでやっていけるんじゃないですか?」

再勉強か、それも悪くない気もする。でも街でばったり魔獣と遭遇ともなれば…生きているのか?

「街中って安全何ですか?」

「あ、もしかして街に魔獣がいるとか思ってます?いませんよ?魔獣、魔物がいる地域は結界魔術で封印してありますから、漏れ出てくることはありません」

結界魔術か。そんなものもあるのか。そこで活躍しているのが、冒険者とかそう言う存在だろうか。もう少し若ければそんな道も迷わず進めたかもしれない。魔法使えないけど。

シエルや教授は20代で若く、それぞれの道を歩いている。魔法も使える。

中年男、異世界に転移してもマンガみたく活躍する機会は無さそうだ。

「加藤さんはこの世界においてはイレギュラーですからね。新しい身分証を発行しましょう。混乱を避けるためにも研究所から簡単に外出は出来ませんが」

そりゃそうなるよね。

突然、教授の手元、手首の時計から電子音が鳴った。スマートウォッチ?

「失礼」

スマートウォッチに触れると女性のホログラムが出現した。

魔法もあれば、科学技術も高いのか。

『教授、第3研究室の錬成培養装置の数値が規定に達しましたので、ご確認を』

「行きます」

「いってら~」

教授はシエルに厳しい目線を向けて部屋を出て行く。やはり教授なんだな。

「時に加藤さん」

シエルがテーブルに手を付き前のめりに話しかけてくる。

「この世界での普通の人間の寿命は大体90~100とされています。加藤さんは今45。残りは少なく見積もっても45。人生の折り返し地点です。でもこの世界で生きて行くのに必要な学習をしていたら、残りの人生はどんどん少なくなりますよね?」

「な、何を言いたいんでしょうか…」

シエルは不気味な笑みを見せる。

「転移してきて早々ですが、転生してみませんか?」

転生?生まれ変わるってことか?そんなことが可能なのか?

「転生すると、どうなるんですか?」

「今の能力を維持したまま生まれ変われるんですよ。運の良いことに、ここは再生医療の研究所です。知識の宝庫でもある、ここで育てば良いんですよ」

おぉ!そんなことが可能なのか?!

「何か良いことばっかりっぽいですけど。悪い面とか無いんですか?」

メリット、デメリット。

「悪い面?う~ん、消費魔力が半端無いってところですかね」

「魔法で転生ですか、でも、魔法使えないんですよね」

「加藤さんに魔力回路があっても魔力総量的に足りないんで、まず無理ですね」

「誰かにやって貰うってことですか?」

「そうです、わたくしめにお任せを!保有魔力はこれでも日本一、世界でも数少ない大規模魔術が使えます」

軽い雰囲気だが、シエルって実は凄い人?

でも、45歳にして人生に光が差している気がする。

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