53 往復終了
魔導図書館に行って蔵書を少し読む。
疲れる。
一晩寝る。
研究所のトラックで結界都市に連れて行って貰う。
従魔ギルドに管理目的での入場許可を貰う。
キャリホースを借りてゴブリン城に向かう。
街道整備の進捗をゴブリンロードと共に視察する。
ゴブリン城には何故か人間サイズの客間があり、そこで一晩寝る。
朝、ゴブリン達に見送られて結界を出る。
研究所行きのトラックに飛び乗り、研究所まで送ってもらう。
再び魔導図書館に行って蔵書を少し読む。
この繰り返し。
遂に、読める蔵書は読破した。
「教授!読める範囲の本は全部読んできました!」
「案外早かったわね。こちらも見付ける物は見付けたわよ」
教授がデスクに出してきたのは、白い蛇柄のポシェットだった。
「これが錬成具なんですか?」
「ホワイトサーペント逸品よ。さらに錬成具として空間魔法を応用したアイテムボックス能力を付与してあるわ」
見た感じでは深さより幅が広い感じだ。
「スマホと財布とちょっとしか入らなさそうですけど」
「私の付与術式と他の研究員の魔力を最大限に込めて容量を膨らませてあるから、一ちゃんの考える以上に収納力があるわよ」
ポシェットを開き、手を入れてみる。
あれ?
手がすっぽり入る。
見た感じの深さ以上に手が入る。
いやいや、肘まで入る。
もっと入りそうだ。
「ね?」
驚いていると教授が笑った。
「え?これが空間魔法の成せる業ってことですか?え?どれ位の容量なんですか?!」
「そうねぇ。1つの種類、例えば液体に限定して言えば100立方メートルよ」
え?100立方メートルって…
液体と仮定するなら…
え?何リットルなの?!
「ポシェットに液体が入れられるんですか?」
「ポシェット自体は空間魔術の付与魔術外装だから。開いて沈めればそもの分だけ入るわよ。でも空間魔法の付与術式内には時間概念と重力概念が無いから、入れた液体は手の平で拾える範囲だけよ」
つまり液体を入れるのは簡単だが、出すのは大変だと言うことだろうか。
「容量は区切ればその分だけ入るってことですよね。さすがにポシェットの幅以上の物は出し入れ出来ないんですか?」
「拡大吸入出に関しても付与してあるから、多少は大きくても入るわよ」
「良かった~。これで防具一式持ち歩けるってことですよね。これで、シエルさんみたいに車とかバイクとかも出し入れ出来ますか?」
「あ~、ごめんなさい。アイツ程の空間能力は備わって無いから、それは無理よ。まぁ、討伐したボア位の魔獣なら入ると思うわ」
シエルのあれはアイテムボックスではなく、アイテムガレージだ。
研究所の自室に戻るとビーが床で寝ていたが、近付くとすぐに目を覚ました。
「ハジメはここ最近、忙しそうだが、まだ続くのか?」
「図書館はもう区切りが付いたので一旦は終わりですね」
「そう言えば魔導図書館に通っていたんだったな」
あまりにも作業的に日々を過ごしていたからか、ビーには忘れられていたのだろう。
「ハジメ。魔術も良いが、近接もこなせないと冒険者としては半人前だと言うことを忘れるなよ」
「そうですね、肝に銘じておきます。そう言えば、双剣も丸盾もあまり振るっていないですよね。でも教授からポシェット型のアイテムボックスを貰ったので、これからはきちんと携帯できます」
さっそく腰に装備したポシェットを叩いて見せる。
「そんなもの貰わないでも、歩く倉庫に任せれば良いだろう」
歩く倉庫って、確かにシエルは歩く倉庫だ。
「頼りっぱなしなのもいけないかなぁ、と」
「ハジメは確かに実力はあるかもしれないが、圧倒的に経験値が足りていない。迷うこともあれば、無駄なことも多い。経験を積むための手助けは受けられるなら、受けておいた方が得だぞ」
ビーに損得勘定があるのは少し意外だった。
そしてビーに実力をある程度は認められたのは、意外だったが、悪い気はしない。
でも確かに冒険者としては知識だけで体験を通しての経験が無いのは確かだ。
翌日、ビーと共に研究所の正面玄関から出る。
「第2防衛線を維持せよ!崩壊した防衛線の確保準備!」
警官隊、軍隊の共同戦線は未だに続いていた様だ。
シエル1人にここまで続いているとは思わなかったが。
体高10メートルはありそうなロボットはよく見ると何やら刻印が入っている。
カレンに見せて貰った魔導銃の様に魔術的刻印で装甲の一部に影響を与えているのだろうか。
「敵戦力の撤退を確認!防衛線の拡大を開始せよ!」
遠巻きに見える範囲でシエルは半円形状に包囲されているが、今は宅配ピザを受け取っている最中だった。
宅配ピザの配達人は相当ビビっている。
当然だろう。
金を支払ったのか、配達員は逃げ去り、シエルはピザを立ち食いしている。
共同戦線側は防衛用の柵が立て直されている。
疲労した警察官や軍人が交代している。
相手、1人なのに…。
これは…関わらないでおこう。
「ビーさん。やっぱ裏から出ましょうか」
読んで下さり有難う御座います。
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今後とも宜しくお願い致します。




