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43 ゴブリン村再訪問

ビーの単独調査と分かれてからは、ゴブリンの村へと向かった。

以前は強引にオーガの縄張りを突っ切るように林を直進したが、今回は最高時速が違うので、無理せず迂回して向かうことになった。

「それにしてもオーガの縄張りにはどれ位いるんだ?」

シエルが片手運転でゴブリンロードに質問する。

「我らが力では1体でも倒せないので、把握する気にもなれなかったのである」

絶対に倒せない相手の集団に戦力偵察をするほど無謀ではないと言うところだろう。

迂回途中に池があった。

水路もある。これがシエルが作ったと言っていたやつだろう。現状はきれいなものだ。

ゴブリンの村に着いて違和感はすぐ感じた。

「犬がいますね」

ハジメちゃん、あれはホワイトウルフだよ」

「魔獣ですか?」

「そうだよ」

村の入口に番犬の如く居座っているのは、どうやら狼のようだ。

こちらを警戒して唸り、別のホワイトウルフが遠吠えを上げる。

簡易城壁からクロスボウを構えたゴブリンイエーガーが指笛を鳴らすと、ホワイトウルフは唸りを止めた。

「ロードの帰還なのだー」

わいわいと簡易城門からゴブリン達が出てくる。

なんだ?ホワイトウルフに跨っているゴブリンもいる。

慌てて自分を鑑定してみる。

しかし、従魔の数は変わっていなかった。

ゴブリンはカウントされてもホワイトウルフはカウントされていないようだ。

「どうしてホワイトウルフがいるのか、説明するのである」

車を降りたロードはホワイトウルフに騎乗しているゴブリンに質問している。

「最初は飢えた小さな群れに餌を分けたのだー」

「そうしたら、遠吠えで他の群れも来たのだー」

「だからみんな保護したのだー」

ゴブリンが勝手に飼いならしたと言うことか。しかもこの短期間で。

「いやはや、それにしても、この村にこの数。ゴブリンライダーまで加わるとなると、いよいよ村とは呼べないな」

「集落とか、村の定義ってあるんですか?」

「人間社会と違って明確なものは無いけど、冒険者的には目安を決めないとね。さすがにこの数と質のゴブリンは脅威だよ。野良でこれだけなら討伐要請が出て大勢駆り出されるだろうね」

認識票はまだ完成していないから、無駄な戦闘が起こってもおかしく無い。早めにロードを帰還させて防衛力の向上を図るのが得策だろう。


と思ったが、城壁の中に入るとゴブリン達は既に防備を固めていた。

城壁内中央部には松明や炊事の火が集中しており、城壁内側、その側面には雨避けとも矢避けともとれる小屋が軒を連ねていた。

ゴブリンの住処は基本的に洞窟内になっており、交代の見張りが外の小屋で生活しており、扉の無い小屋ではホワイトウルフが寝ている。

どうやらゴブリンキングやゴブリンリーダーが中心となって突貫工事が行われたようだ。

ホワイトウルフは進化型の魔獣であるらしく、毛の色で進化状態が判別されるようだ。ホワイト、グレー、ブラック。ブラックよりも上位種は存在するらしいが、基本的に迷宮内にしか生息していない模様。

ゴブリン村に初めて来たときに置いて行った、ボアの生肉は消費され、干し肉へと加工された。

その備蓄も減ってきていることが、キングからロードに報告された。

取り急ぎ小型の魔獣肉の確保が優先され、ゴブリンイエーガーがクロスボウで武装し、ホワイトウルフに騎乗して、食料調達班が編成された。

第1、第2と少数の班が出撃し、それを見送ると、シエルが何やら、アイテムボックスから出している。

短い槍?

ゴブリン的には丁度良さそうだが、数本出し、木材と合わせて話し込んでいる。

「何ですか、その槍は?」

「冒険者的には投擲用の槍だよ。ゴブリンライダーには丁度いいでしょ」

シエルはまたゴブリン達に武器供与をしているようだ。確かにホワイトウルフの速度なら獲物を捕らえるのに十分だが、攻撃がナイフや短剣では攻撃に難が出てくるだろう。槍ならば、突進だけですれ違い様に刺して離脱することも出来るだろう。重くは無さそうだし、複数本携帯することも可能だろう。

などと考察しつつも、シエルにアイテムボックスから腰布と石鹸を出してもらう。

まずはゴブリン達の身体洗いからだ。ゴブリンの汚れのせいなのか、界面活性剤的なものが入っていないからか、最初の内は泡立ちが悪かった。

しかし、途中から川ではなく、魔法でお湯を出すことによって、問題はすんなり解決した。

石鹸の消費も思ったより少なく済んでいる。

身綺麗になったゴブリン達に順番に新しい腰布を支給していく。

ゴブリン全てを身綺麗にした所で、食料調達班が帰ってきた。それぞれ兎の魔獣、ホーンラビットだ。狩りに出たイエーガー曰く、ホーンラビットの角は加工して矢じりに出来る様だ。

確か、ホーンラビットの肉も研究所で食べたことがあったはずだ。貴重な食料になってくれるだろう。

身綺麗になったイエーガーが狩りを交代し、再び食料調達班は出撃した。

イエーガーは1匹でホーンラビットを大体5匹程狩ってくる。時間としては1時間。なかなかに優秀な猟師イエーガーだ。

すると突然、林の中からホワイトウルフに騎乗したイエーガーが姿を現し、城壁のイエーガーに声を発する。

「一斉射なのだー」

ホワイトウルフに続いて林から飛び出してきたのは緑の大猪だった。鑑定上、グリーンボアだ。

しかし、体格はレッドボアの倍はある。

一斉に放たれた矢はグリーンボアの頭部に集中し、弾かれること無く、確実に突き刺さる。

転倒したグリーンボアはゴブリンチャンピオンの鉄の両手剣によって、首を落とされ、絶命する。

大歓声が沸き起こる。

「レッドボアじゃないのだー」

「グリーンボアを倒せたのだー」

「宴なのだー」

そう言えば前はレッドボアにやられていたなぁ。それが今となってはその倍の魔獣、グリーンボアを倒せたのだ。喜びもするだろう。

「それにしてもよくここまで誘導出来たね?」

誘導してきたイエーガーに質問してみると、矢筒が空だった。

「倒しきれなかったのだー。それに倒せても運ぶのが大変だと判断したのだー」

矢だけではさすがにこの巨体は倒せないだろう。最終的に集団戦に持ち込む、ゴブリンに勝敗が上がったと言うところだろう。

すぐさま解体が始まり、どんどんと肉が切り出されていく。皮は干してなめされている。

牙は外すのかと思ったが、そうではなく、頭部丸ごと火に放り込まれ、牙付きの頭蓋として、城壁外に掲げられた。象徴的なものか、討伐の証としてか、権威的なものとして扱われるのだろう。

ゴブリンライダーの槍武装が本格化されれば、この村の戦力は益々上がるだろう。

この調子なら、ホワイトウルフもすぐに進化しそうだ。


ゴブリンの宴が始まってしばらくして、ビーからの通信、トランシーバーが鳴った。

「マップを虱潰しに埋めて回ってるが、サイクロプスがいるぞ」

一つ目の巨人か?

「奴は群れないだろう。何かと戦闘中か?」

「いや、結界に向かって歩いているだけだ」

シエルは車に向かって走り出す。何事かと思い、慌てて追いかけ、助手席に乗り込む。

急発進したシエルは嬉々としている。

とりあえずロードに、無理はしないようにと叫び残す。

「何でそんなに急ぐんですか?!」

シエルはオーガの縄張りの林を突っ切る。激しく揺れる車体に飛ばされないように堪えながらシエルを見る。

「緊急討伐だよ、緊急討伐!軍が出張ってくる!その鼻先を抑えて、対象を討伐すれば昇格案件だ!」

林を抜けて、シエルは更に速度を上げる。揺れる、飛ぶ、路面お構いなしに爆走する。

すると前方に緑の車両が見えてくる。

車両じゃない、戦車だ!

「日本陸軍の主力戦車だ!まだ展開してない!間に合うぞ~ハジメちゃんの大勝負だ!」

え?戦車が出てくるような相手に僕をぶつけようと?

戦車の前に強引に停車し、戦車を急停車させる。運転席から戦車の上部から上半身を出している人の胸倉を掴む。

「な、なんだ?!冒険者か!?貴様!」

怒鳴られるシエル。ポケットから身分証を取り出しシエルは怒鳴り返す。

「読めるか?!内閣官房国家安全保障局戦略級指揮官様だ!全隊指揮権を貰い受ける!徹甲弾装填!脚部を狙え、砲撃は指示を出すまで、待て!!!」

シエルは戦車の上に居た人、兵士の場所に収まり、スピーカーで指示を出している。

「えー、それではハジメちゃん。サイクロプスは魔法耐性も高く、外皮は硬い。それでも魔術は有効だ。特に雷がいい。まだ距離はある!ありったけの魔力を雷撃変換してぶっ放せぇい!」


えー。

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