27 人類
スキル:会計士、錬金術士、
剣聖術1、剣術10
短剣聖術1、短剣術10
双剣聖術1、双剣術10
聖体術1、体術10
ぎ、偽装は…。これで良かっただろうか。
トイレから帰って改めてプレートに触れた。
研究所では魔力総量しか図らなかった。教授もシエルも鑑定眼を持っているから、危なかった。
「その年齢で、会計士と錬金術士をお持ちとは。大学は飛び級でもされたのですか?」
「だ、大学生です」
苦しい。確かに公認会計士は在学中に取得したが、錬金術士はそもそもの分野の方向が全然違うだろう。
「しかも、武にも優れていらっしゃる」
かなり苦しい。武は賢者と鑑定眼の影響もあるだろうし、シエルに短期間で詰め込まれたものだ。
「て、適度な鍛錬も、重要だと考えています…」
苦し過ぎる。
シエルは笑いを堪えている風だ。ビーは何やら白い眼を向けてくる。確か、ビーは鑑定眼を持っていないはずだ。
でも違和感の様なものを感じ取られたのだろうか、それともシエルに事前にある程度聞いていたとかか?
「手続きは以上となります。只今より特急でギルドカードを刻印いたします。30分程お時間を頂けますでしょうか」
受付の2人が部屋を出て行く。
「ハジメ、お前は偽装持ちか?」
「は、はい」
怒ってる?
「何故偽装する必要がある。自分の力を正しく示せ。頭の悪い有象無象に集られるだけだぞ」
そうかも知れないが、不自然なのは困る。
「一ちゃんはそう言うの丁寧に潰していけば、自ずと有象無象が近寄らなくなる」
丁寧に潰すのか…。そう言えば闘技大会とかがあるとか言っていた。それで解決してやれと言うことか。
「ハジメは防具は持っていないのか?」
防具。持ってないな。
そう言えば靴は魔法装備だったはずだ。
「シエルさんに貰ったこの靴くらいです」
「それは調査職の人間がフィールドワークに使う程度の物だけどね」
やはり防具は持っていなかった様だ。
「登録記念にプレゼントしても良いんだけど、ちょっと仰々しいのしか持ってないなぁ」
仰々しいって、成金みたいな姿にされてしまうのか。
「ケチケチすんなよ、やれよ」
ビーが呆れている。ヤレヤレと言った感じでシエルはアイテムボックスから何かを取り出す。
「ミスリル合金製フルプレートが魔法防御も高いし、物理防御も強いかな」
輝いてる!片手剣と同じ素材か。七色に光り輝いている。
「派手過ぎるし、重そうなんで無理です…」
高そう、と言うのが本音である。
「じゃあ、スカイドラゴンの革で出来たこれなら軽いよ。魔法防御力は下がるけど動きやすい」
これなら…と思ったが、ドラゴン素材の防具って…。
「さっきの鑑定に相応しい装備は…」
「無いな」
きっぱり言われてしまった。
「初戦で盾だけってのも危なっかしいだろ」
「じゃあ買いに行くか」
シエルは諦めたのか、立ち上がり、部屋を出て行く。
受付に声を掛けてギルドの建物から3人で出掛ける。
「工房に行くのか?」
「いや、既製品にするから防具屋に行こうかな」
工房と言う場所は素材を持ち込めば特注してくれる様なところだろうか。
歩き始めた2人に付いて行くと、防具屋らしき一軒家に着いた。扉を開けると奥から男性が出て来た。
「うちは安くないぞ」
早々に対応が悪い。下から上へと観察されてのことだ。防具を装備していないからか、冒険者として認識されていないのだろうか。
店内を見渡してみると、壁一面の棚に数々の防具が並べられている。
頭用、胴用、腕用、腰用、脚用、この5点が基本の様だ。
「お兄ちゃん、若いけど、ど…こ…の…会社?」
シエルを見て、ビーを見て、ビーの姿を見て態度が変わった。
「会社によって安くしてくれるの?」
シエルがギルドカードを見せる。
「え、エス?…ちょっとうちでは…工房の方で…」
「今日はこの子の初期装備を探しててね」
シエルに背中を押される。
鑑定眼で店内を再度見渡す。安そうなのは皮装備の一式だろうか。手にしてみると、柔らかく軽い。ただ、防御力とかと言うことを考えると、無いのに等しいのではないだろうか。
「一ちゃん、それは調査職向けだ。戦闘職は最低でも硬革装備にしなきゃ」
「軽量合金とかも良いんじゃないか?」
シエルとビーとの話し合いの結果。軽量合金と関節部は革で出来た複合装備になった。確かにこれなら防御を持ち、軽快さを両立できそうだ。
「ところで、この頭装備は何で頭頂部に穴が開いてるんですか?」
シエルとビーが話し合っている最中にうろついて見た中で気になったのだ。
「それは獣人の方で耳を出したい方用です」
じゅ、獣人だと…。もしかして知らない間にすれ違っていたりするのか?そもそもこの世界には人間以外の人類がいると言うことか。
「彩から教わらなかった?」
「え、えぇ」
「まぁ、ここじゃ何だし、防具買って、ギルドカード手にしてから教えるな」
シエルは耳打ちして会計を済ませる。
一式25万円。
「祝いにしては安いな」
「祝いはもう片手剣2本と盾を出してんだよ!」
買って貰って早々に、椅子を借りて脚から装備していく。こういう時、胴から装備してしまうと脚が付けられないと言うことがある。前の世界で剣道の防具で脚に手が伸びにくいと言うことがあった。
でも杞憂だった。各所関節部は革製だから普通に届いた。
冒険者ギルドに戻ると受付の男性がカウンターから丁度出て来た所だった。
男性からギルドカードを手渡される。
『加藤一:Gランク冒険者』
「あら、Gなんだ」
シエルが意外そうな顔をする。
「ギルド共通の規定ですので…」
困った表情をしている。
「昇格制度は昔と変わってる?」
「各ランク3つのクエストを完了して頂く形は変わっておりません。ただ、DランクとBランクには5年前からギルド試験が新設されております」
GEFランクは主にダンジョン周辺地域における薬草や鉱物の採取採掘がメイン。
DCランクは主にダンジョン周辺地域における魔物や魔獣の討伐がメイン。
BAランクは主にダンジョン内での、魔物や魔獣の討伐、高位の薬草や鉱物の採取採掘がメイン。
最高位はSとされるが、これはAであり、アルティメットスキルである何らかの加護が条件であるようだ。
あれ?ビーは、大剣神の加護があるのに、何故Sランクではないのだろうか。
あまりここでも聞くことは出来なさそうな雰囲気ではない。
シエルは大きな掲示板に向かい、何枚かのクエスト発注書を取ってきた。
「じゃあ、結界内に行きますか」
冒険者ギルドを出て、再度車に乗る。ちょっと走っただけで検問所らしき場所に着いた。
「冒険者か?」
検問所に居たのは兵士だった。
「初戦冒険者とその一行で入る」
シエルはギルドカードとクエスト発注書を見せる。ビーも見せている。中に入るには冒険者でなければ、ギルドカードが無ければ入れないのだろう。
「初戦冒険者で、車両付きとは良い身分だな」
兵士は鼻で笑って手を上げる。詰所の別の兵士が検問の進入禁止バーを上げる操作をする。
結界が半径5メートル程度無くなり、シエルはアクセルを踏み込む。
おぉ、肌で分かる。外と比べて特段に魔力が濃い。
これが結界内か。




