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18 きほん、の、き

魔力障壁が基本だったのには、脱帽だ。

「今日からは俺が教える。部屋も用意してもらう。文句は言わせないぞ、彩」

「カレンは更迭ですかー!」

シエルは戦闘経験が高いだろう。剣道初段はステータススキル剣術5に変換されているが、立ち会いで自分のそれでは敵わないのは痛いほど分かっている。

魔術のことや、今後のことも、シエルなら頼りにしてよいだろう。

研究所での生活に新たにシエルが加わった。


ところが蓋を開けてみると、その生活は教授によっていささか歪められていた。

「なんで俺の部屋が物置なんだ!」

「仮眠室が嫌だって言うから仕方ないじゃない!」

「ベッドも運び込めない入口の物置で生活しろってのか!」

「約束の!何部屋であろうとも、部屋なんだから、これ以上文句は受け付けないからね!」

「もういい!」

ヘソを曲げたシエルは荷物の全てを魔力試験場に持ち込んだ。衝立も使わずにベッドを置いて生活する気か?シエルの荷物を運んでいて気付いたことがある。ベッドと服しか持っていない。後、数ある研究室から勝手に棚を持ち出した。何を並べるというのか。

一通りの生活様式が整ったところで、シエルは手をかざし、黒い穴を出現させる。穴に手を突っ込み、様々な道具を引っ張り出して並べていく。

「それなんて魔法ですか?!」

「ん?空間魔術の応用でね、アイテムボックスってところかな」

何と便利な魔術だろうか。高位魔術、絶対に教えてもらわねば。その為にもまずは既存の魔術を教えてもらわなければ。

「あ、そうだそうだ。戦闘の基本的なところから教えていくから、魔法や魔術以外にも覚えてもらうことは沢山あるからねぇ」

「戦闘、ですか?」

「そんな超戦闘向きな身体しといて今更嫌とは言わせないよぉ~。ハジメちゃんは冒険者か軍かどちらかには属してもらうから」

冒険者か、軍かって、どちらも危険な立場じゃないか。いや、しかしまぁ、冒険者と言う響きには憧れるものがある。でも戦闘って…やっぱ怖いな。

どちらにしろ、これまで研究所からは一歩も出たことが無いのだ。積める経験はここで積むべきだろう。絶対に実戦形式の戦闘訓練とかで連れ出されるだろうし。

「ところで今更なんだけど、ハジメちゃんは魔法、魔術が使える訳だから、武器は剣で良いよね」

後衛の援護職は選択肢に無いようだ。それに前に聞いた、斧やら槍やらは触ったことすらないのだから、選択肢には絶対に入らない。

「訓練では対人戦闘も視野に入れるから、斧とかと立ち会ってももらうからね。とりあえずは…日本刀、で練習する?」

シエルはアイテムボックスから日本刀を引っ張り出し、投げて渡してくる。真剣か?本物を手にするのは初めてだ。鞘から抜いてみると、美しかった。輝いて見える。これが波紋と言うものか。

「それは新品の魔鉱石を芯にして作られたものだよ。使用者の魔力伝導を癖に合わせてくれるから、使用者の扱いに合わせて徐々に変形し、馴染んでくれる」

もっと下位の金属製のものでもよかった。更にその説明を聞いただけで高価な香りしかして来ない。値段は聞かないでおこう。渡されたのだから、これを使うしかないだろう。向いてないと判断されたら別のを渡してきそうだ。

「実は俺も日本刀使いでね、やっぱり男は黙って日本刀でしょう!」

なんだかシエルが言うと外見的には問題無いが、ただ日本刀に魅入られている外国人にしか見えない。

そして今日は剣術の訓練をするとのことだ。シエルはアイテムボックスからホイホイと巻き藁を出し、立てていく。

「まぁ、最初だし、思い切り好きに1本斬ってみてよ」

え?手本とか無しに?

シエルはそう言って巻き藁を適当な感じに並べている。本当にお試しみたいだ。沢山並んだ巻き藁の1つを目の前にし、構える。

まぁ、テレビで観たことがあるような感じで、上から斜めに?いくのが正当なのだろう。うん、やってみるしかない。


スパ。…ストン。


斬れた。簡単に斬れた。これはもはや、巻き藁が斬れ易いものだからなのか、この日本刀が斬れ過ぎる一品なのか、分からない。

もう1回、同じ巻き藁に対して、今度は水平に斬ってみる。


スパ。…ストン。


うーん。良いのか悪いのか、分からん。

「シエルさん、斬れたは斬れましたけど、ここから何を学べばいいんでしょう」

「簡単さ、ハジメちゃんは包丁で食材を切ったこと位はあるでしょ?それと同じ位扱えるようになるまで斬る、それだけ~」

簡単に言ってくれる。そもそも包丁とは重さも長さも違う。力の入れ方からして違うのだ。

シエルは巻き藁を並べ続け、巻き藁だらけになった。そのまま正面の巻き藁の囲いに入って行った。

「まぁ、扱いも慣れると…」

シエルは自身の日本刀を手に、巻き藁の中心で腰を屈め、左足を引いた。左手の親指が鍔を押す音だけが聞こえた。

「ここまでとは言わないから安心して~」

何かしたのか?

「あれ?見てなかった?ダメだよ、基本的に俺の動作は鑑定し続けないと。ってあれ?鑑定じゃだめか。これを見るには天眼が要るか。風よ、舞え」

シエルを中心に風が吹き、舞い上がる。そしてシエルの周りに立ててあった巻き藁が無数の輪切りになって飛んでいく。

シエルの日本刀の刀身も見えなかった。聞こえたのは鍔に触れた時の金属音だけ。

それだけで巻き藁を何度も斬ったということ?全方位の?

これは基本のき、とか言うレベルではない。日本語の授業からだ。

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