15 賢者の効果
カレンに魔法の練習指導を受けることになった。この研究所では、魔力試験場はあまり使われていないみたいだ。
魔力試験場の内壁は魔力障壁があり、魔力が吸収され傷付けられないらしい。魔術で物理障壁もあるらしく、壊せないようにもなっているみたいだ。
カレンは隅に的のような物を設置している。
「賢者で魔力支配なんて持ってるんですから、イメージ次第で何とかなると思うですよねー」
まぁ、キューブの錬成もイメージで実践したんだし、同じなのか?
「カレンも一通り魔法は使えますけど、魔術適性はあまり高くないんですよ。とりあえず、手に魔力を収束して、それを触媒に火を付けるっと、こんなイメージですかね」
カレンの手に火の玉が出現する。やってみる、火の玉が出現した。キューブの錬成よりも簡単だ。水も風も土も、カレンの見本を鑑定持続して見続けていたので、案外簡単に習得出来た。
「じゃあ、今度はその魔法の発生から射出をイメージして、的に当ててみて下さい」
今度は射出制御か。投げるイメージでも良いのだろうか。
当たらない。案外、ノーコンな気がしてきた。
「一さん、本当に投げる動作をしてたら、敵さん丸分かりで避けちゃいますよ」
ごもっとも。手を上にではなく的に向ける。肘から手に掛けて魔力を打ち出すイメージではどうだろう。
外れた。でも射出速度も問題ない。魔力障壁にぶつかり、波打っている。威力は良いとして、的に当てるのが問題だ。
また外れた。くそぅ、結構外れるもんだな。補正するにしてもどうしたものかな。魔力を収束させて照準点を作る。それに沿って射出してみる。
当たった!
「教授の言う通り、補正も器用ですねー。もうそこまで到達しましたか」
カレンは驚いている風を装うが、多分これは初心者に教える項目なのだろう。
でもこれなら多少の手のズレがあっても命中補正されるようだ。それに照準点を強く意識すれば明後日の方向に射出しても、的に当たるようにもなった。
四代元素全てで威力、射出速度共に向上した。変化球の要領で照準点に強い意識を向けなくても当てられるようになった。
「ちなみにこの的は上級用なんです。この的を各魔法で壊せれば、初級、中級、飛ばして上級です!」
おぅ?!また順序を飛ばして練習していたのか!でも威力の問題なら、積み重ねだし、いいか。
魔力試験場に入って2時間と言った位だろうか。
もうしばらく続けてみようかな。
とは言ったものの、中々厄介だった。あれから更に2時間位だろうか。的は一向に壊れる気配が無い。土は簡単なのだ。質量があるのだから。問題は火、水、風だ。質量が無いのだから。当然的に押し付けて軸ごと力押しも試した。魔法の練習なのだから、魔力の力押しではダメな仕組みのようだ。
何か良いイメージに変更しなければいけないのは分かる。
火は、燃焼温度を上げれば溶かせるか?水は圧縮して硬度を上げれば…、風なら空気の回転数を上げれば…。とにかく実践するしかない。
火は、溶かした。
水は、貫通させた。
風は、切断させた。
うむ、やはりイメージ力が大事なようだ。これも賢者と魔力支配様様なのだろうか。
「お見事ですー!これで晴れて上級魔法士ですね。あ、でも賢者だからスキルには載るのかなぁ」
「魔法士ってのは賢者と何か関係があるんですか?」
「ありますよー、序列です。魔法使い、魔法士、魔術士、魔導士、賢者、大賢者なんですよ」
賢者がユニークスキルだから大賢者はエクストラ。逆に言うと魔導士はレアスキルで、魔術士は普通のスキルになるのだろうか。魔術士になるには今の四代元素を複合的に魔術を行使すれば、獲得できるってことになるだろう。
今後の鑑定偽装のことを考えると獲得しておいた方が良いだろう。




