13 魔力の再測定
「やぁ、カレンさん」
「おやカレンさん、その人が教授の親戚の?」
「もう歩けるとは、さすが教授の研究成果ですね」
部屋を出て通路を歩くのは、転生前以来か。他の白衣の研究者達は気軽に話し掛けてくる。勿論、カレンにだ。実ににこやかな表情ばかりだ。
難病と言うのはどうやら悪性腫瘍が脊髄に出来たものらしい。場所が場所だけに、手術が難しいのだろう。でも、そういう事になっているだけで、実際はピンピンしているのだ。カレンからはあまり普通に歩かないで、と言われた。再生したとは言え普通に歩いていては疑われるのかもしれない。
だからと言ってカレンに手を取られ歩くというのは中々にハードルが高い。自慢ではないが、学生時代の運動会で定番のダンスでも女と手を触れたことは無いのだ。今更ながら見事な回避術だ。
「あの、カレンさん。行きたいところがあるんですけど」
「どこですか?施設外でなければ案内しますよ」
研究所内はどこも風景が似たり寄ったりで、現在地がよく分からないのだ。行きたいのは魔力量を計測した部屋だ。
「魔力計測をした部屋ですか?う~ん、魔力の計測器を置いた部屋は結構あるんですけど」
さすが研究所だ。1ヵ所しか無いなんてことは無いのか。
「何か小さい台で手を置くパネルと、大きな姿見サイズのがある部屋でした」
「特別病室の横かなぁ。まぁ行ってみて違ったら、他の部屋をしらみ潰しに行きましょう」
特別病室と言うのは転移後に居た部屋だろうか。方向は全く分からないが、カレンに付いて行こう。当然の様にカレンは手を取って歩き出す。
到着した部屋は見覚えのある部屋だった。ここだ。この部屋でパネルが割れて、大きいパネルに胸を押し当てた。今の自分はどうなっているのだろうか。
「この台に置かれたパネルは普通の測定器なんですか?」
「そうですね、世界的に警察組織や冒険者ギルドって言う組合などが導入しているものですね」
冒険者ギルド、なんと甘美な響き。いやいや、今はその時じゃない。台に置かれたパネルは普通規格、ならこっちの大きいパネルはどうだろうか。
「こっちは?」
「ここみたいな研究所や軍が導入しているものですね」
上位とか大型規格だろう。以前は青く光った。今度は何色になるのだろうか。意を決して触れてみる。
赤く光った。
「赤は青よりも高いってことになるんですか?」
「高いは高いんですけど、この赤は変質者の色ですね」
変質者とな?!不審人物認定?!
「その、どの程度高いんですか?」
「前は青かったと聞いてますが、悪魔並みってことでしたよね。悪魔にも階級がありまして、青はまぁ、悪魔の底辺的な存在ですね。でも人間と比べるまでもないですけど」
「では赤では、悪魔でいうところのどの位の階級なんですか?」
「う~ん、魔力総量だけで言えば中間位ですかね」
悪魔の存在は魔力総量が多いのは予想通りだけど、やはり人間で悪魔の中で中間位の魔力を持っていると言うのは隠さなければ。あれ?鑑定偽装のユニークスキルを獲得したけど、どうやって使うんだろう。
「間違っても悪魔と戦おうとしないで下さいよ?今の一さんでは勝てませんから」
いきなりそんなことはしないけど、あっさり言われると挑戦の文字が浮かんでしまう。まぁ、魔力総量が多くとも魔法はまだ使えない。キューブを錬成する位にしか魔力を使っていない。
「悪魔は特別知性が高く、様々な魔法、魔術を使って戦います。魔力が低くても高度な魔術を巧みに扱いますので、複数の冒険者で相手しても、勝てることはあまりありません」
今後の為にも、研究所のデータベースに魔力で繋がり、魔法の勉強でもするかな。




