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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第二十章 天地の笑顔
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第二部 天と地

 何度も出てくる土の壁に苛立ち、思い切って凍らせた。すると、小さな悲鳴と共に、地面から狐の子が出てきた。しかし、特殊能力はモグラのようだ。

「ちょっと、なんで出て来たの!バレちゃったじゃない!ハス!」

「だって、そこのお姉さんが地面を凍らせて来て、寒かったんだもん!カリ姉ちゃん!」

姉弟げんかもそこそこに、2人はこちらを見た。

「お前ら、本当にこんなことしてていいのか?もっとできることあるだろ」

「だって、これをしないと…」

「ハス!誰かに言わないって言われてるでしょ?」

どうやら、向こうは向こうで色々あるみたいだ。だが、これをやめてもらわないと困る。私たちはどうしようかと顔を見合わせた。しかし、彼らの意向は変わらなかった。

「私たち、これが仕事だから。やめられないから、あなたたちは倒さなきゃならない。だから、本気で行く。手加減したら後悔するよ」

そう言って、2人で頷き、見事なコンビネーションで私たちを翻弄した。こんなに息が合うのは、やはり姉弟だからだろうか。

「仕方ない、やるしかないようだ。なら、お前らの言う通り本気で行かせてもらうぞ!ウインドラッシュ!」

フウワさんの思い切った攻撃により、心苦しいけれど私たちの反撃が始まった。特に、姉さんは嫌々という感じがしていた。申し訳ないが、やむを得ない。私たち6人を相手にするのは流石に厳しかったのか、押され気味の2人だったが、少しも困った表情を浮かべず、またまっすぐに前と互いだけを見て攻撃を続けていた。突然、2人が手を合わせ、くるくる回り出した。何回も回る内に、回転速度が上がっていき、中心にとてつもないエネルギーを感じた。このままではまずいぞと防御体勢に入った私たちだったが、耐え切れるかどうかはわからない。そのエネルギーが球体となって一気に放たれた時、ゴオオオッとすごい音がして、地面を削りながらこちらへやって来た。張ったガードもあえなく破壊され、私たちは技を受けてしまった。


 どうなったのだろう。体の痛みはあったが、うっすらと目を開け、辺りを見回した。すると、削り取られた地面、吹き飛ばされた街路樹に住宅も破損し、住人が起き出してしまった。それよりも、今は仲間のことが気がかりだった。体を起こし、近くを探すと、兄者を見つけた。声をかけようとしたが、様子がおかしいことに気づいた。どうやら、毒を浴びたようだ。俺の特殊毛はそういったものを無効にするが、他のメンバーはそれがない。おそらく、無事だったのは自分だけだろう。とにかく、あの2人組を探そうと思い、再び歩き出そうとすると、背後に気配を感じた。

「だから、手加減はなしって言ったのに。案の定、あっさり毒を浴びた」

「でも、君は平気だったみたいだね。なんでだろ?それよりも、早くしないとみんなが危ないよ。毒を抜いてもらいに行かなくていいの?当然、逃しはしないけど」

「だったら、お前らを倒して抜いてもらうぞ」

「できるものなら、やってみれば?」

「フレアバード!」

しかし、炎の鳥はカリによって打ち消された。

「だったら!」

俺は地面を熱した。とりあえずハスを出すことには成功したものの、こんな不利な状況で勝てる望みは薄い。しかも、モタモタしていると仲間が危ない。でも、自分には戦うしか方法はない。

「炎の舞!そしてファイアアロー!」

攻撃は当たったものの、決定打にはなっていない。まだまだ、向こうには余裕がある。カリが翼を広げ、こちらに空中から突進して来たその時、叫び声が聞こえた。

「グラスヒール!」

ソウマがやってくれたようだ。しかし、範囲が以前より広く、消費妖力が心配になった。俺はたまらず声の方へ走り出した。2人は、未知の技に困惑しているようだ。闇夜に光が灯り、植物が生え始めた。これなら、みんなの毒も抜けるだろう。

「ソウマ!やっぱすげえよお前!」

「いや、でも妖力ほとんど使っちゃったし。僕はこれくらいしか有効なことできないしね。僕よりも、ライト君を見て来たら?」

「いや、兄者はいい。勝手に行くだろ」

ソウマと一緒に戻ると、全員揃っており、2人は困惑した。

「姉ちゃん、こんなことが出来る技って聞いたことある?」

「ううん。何これ。こんなんじゃあ、こっちがピンチ」

その時、謎の声が響いた。

『この役立たず。不測の事態に備えて、もっと多様な戦術を使うべきだった。もういい。お前らを強化してやる』

2人が苦しみ出し、妖力がどこからか2人に強制的に注ぎ込まれでいるのを感じた。2人は妖力を限界まで注ぎ込まれたせいか、大爆発を起こし、冷酷な妖気を纏っていた。爆発が収まり、視界が開けると、折れた翼を持つカリと地面に潜るための爪を一部失ったハスが、どう見ても暴走という形で、私たちに攻撃を仕掛けようとして来た。もはや、先ほどまでの2人ではない。何が起こったのか、まだ理解が追いついていない。

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