第四部 真相と覚悟
気づいたら、ギルドがやって来た。
「お疲れ様です」
「ありがとうございます。ギルド様って警察だったんですね」
「はい。コウの動機が分かったので、伝えに来ました」
コウは元々は普通の家に生まれ、平穏に暮らしていた。しかし、父親の死によって、生活が苦しくなり、止むを得ず野菜を盗んでいたそうだ。そう聞くと可哀相にも思えてくるが、
「それでも野菜泥棒はしてはいけないこと。他の方法もあったはずです」
とギルド様がピシャリと言い放ったのには絶句した。その時、「エント君。僕決めたよ」
とソウマが言った。
「コウを僕の部下にします」
「それでいいのか?」
「うん。任務と家事の両立は難しいだろうし」
「ソウマさんが良いのなら、それでもいいですよ」
この世界は、罪人の罰は退治した人が決めることになっている。戦いに強い者が有利になるのだ。
「それでは、私はこれで」
ギルド様はその場を離れて行った。
「やっぱり、すごいよソウマ!」
「そんなにすごいことじゃないよ。あの技でほとんど妖力使っちゃったし」
「でもすごいよ!特に分身を見抜くやつ!俺にも教えてくれ!」
「いいよ。またやろう」
その頃、スインとアインとツーハは公園のベンチに座っていた。姉さんが腕を回しているのを見て、
「姉さん、肩痛めたの?」
「いやあ、変な角度で技出したら肩痛めてしもた」
ツーハちゃんはもぐもぐとおやつを食べていた。
「おねえさんたち、すごかったー!」
「いやいや、ソウマさんの方がすごかったよ」
「でもおねえさんのおかげでやさいどろぼうみつかった!」
「そう言ってくれるなら嬉しいわ」
「きめた」
「えっ?」
「ツーハ10さいになったらフォニックスはいる!」
「さすがにそれは…」
「きめたものはきめた!ライにいとエンにい、スインさん、アインさん、ソウマさんとたたかってあくをたおーす!」
「可愛いなあ。じゃあ、それまでにいっぱい練習しやなあかんで」
「姉さん…」
「うん!するする!いっぱいして、ちょーつよくなって、いちげきでたおしてやるー!」
まさか、この言葉が現実のものになるなんて、この頃は考えもつかなかった。
それは、小さな2つの約束が交わされた平和な午後だった。




