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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第十六章 狭間の世界とは
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第五部 ツーハとイネイさん

 時同じくして、ツーハはイネイと一緒に渋々宿題をしていた。

「こくごむずい!かわりに九九やっちゃだめ?」

「だめですよ、ツーハさん。得意なものを極めるのも大切ですが、苦手なものをできるようになるのはとても大切なことです。それに、算数の文章題だって国語を勉強しないと意味がわからなくて解けませんよ?」

「はあい」

ツーハさんは、30分かけて宿題を終わらせたのだった。

「つかれたー。べんきょうの時イネイさんおにになる」

「鬼とは何ですか!」

「ツーハ嬢、イネイさん、お茶飲むか?」

「いただきます。コウさん、ツーハさんのことツーハ嬢って呼ぶんですか?」

「知らなかったか?…じゃなくて、なかったんですか?ツーハ嬢が呼び捨てするなって言うけど様とかさんとかは嫌だったから嬢になった…んですよ」

「無理して敬語使わなくていいのに」

「ねえ、イネイさん、ツーハは光を星にできるし、そのまま動かせるし、よう気にもできるけど、これってどうして?」

ツーハさんは、冷たいお茶を飲みながら、子供らしい当たり前のことに対する質問をしてきた。

「どうして、ですか…。妖力の粒子論なんて説明してもよくわからないだろうし…」

その時、コップの氷が溶けてカランと音を立てた。

「そうです!お水と同じです!冷やせば氷として固まり、そのままの水だと動き、温めると水蒸気となって空気と一体化します」

「なるほど!よう力はお水かあ」

「まあ、ツーハさんやライトさん、エントさん、スインさんはお水、アインさんとソウマさんは氷、フウワさんは水蒸気が元の形で、そこから変えていくんですね」

「フウワさん、ぼっち」

「確かに、水蒸気タイプの属性は少ないです。1番多いのが氷、2番目がお水です」

「でも、ここらへん火の人多い」

「それはこの辺りの話であって、犬の国はほとんどが地属性や岩属性です」

「属性って、いっぱいある!」

「ツーハさんって、国語の話を聞いていた時は全然聞いている気がしなかったのに、こういう話はすごくきちんと聞いてくれますね。属性に興味があるなら、色々な属性が載った本があるので、興味があったら買ってみるといいかもしれませんね」

「それより、見て!ツーハのひっさつわざ!」

ツーハさんは、そのまま中庭に出て行き、それをイネイが追いかけた。

「行くよ!シャイニングスター!」

光で星を器用に作り、的に飛ばした所、見事に命中した。

「わあ、すごいです!威力もありますしね!」

「なんと、これはアインさんを救ったわざなのだ!」

「ただ、妖力の消費量がすこ多めなので、連発はできませんね」

「うぎっ」

ツーハさんは今度は図書室に向かって走り出した。

「ツーハさん!待ってください!」

私は、また全力で走る羽目になった。イネイが図書室に入ると、既に中に入っていたツーハさんが本を選んでいたので、一見微笑ましい風景に見えたが、その裏表紙には『絶望の光逆戦争〜なぜ戦争は起こるのか〜』『資料から読み解く草狐虐殺の裏側』など、この世界の絶対に7歳が読むものではないし、かなり過激な内容の本ばかりだ。こうなった責任の一端は私にもある。ツーハさんは元々歴史に興味があるらしく、歴史に関する特番を度々見ていた。ある日、私がこういった類の本を読んでいた時に、ツーハさんは寄ってきて、歴史の本だったら読み聞かせしてと頼んできた。私は教育的にいいのか一瞬迷ったが、私と同じものに興味を持ってくれたのが嬉しかったのと、こういうことを学ぶのも大切だと思い、読み聞かせをしたところ、すっかりハマってしまい、今では毎日読み聞かせをしている。しかし、他の時間はアニメかゲーム、特訓という名のキャッチボールをしているので、ツーハさんが特別変わった少女というわけではない。それに、本の内容を理解している割合は3割くらいだ。

「今日はこれ!」

ツーハさんが持ってきた本の表紙には、『狭間の世界1〜創造編〜』と書かれていた。見たことのない本だったが、ツーハさんのキラキラとした目に、すぐに読み聞かせを開始したが、ノンフィクションの小説のような内容だった。ツーハさんは“もう1つのの世界”や“不思議な力を持った少年”といった単語に目を輝かせ、一冊を一気に読み切ろうとしていた。ツーハさんの集中力が切れてきたようだと思って止めようとすると、ツーハさんが嫌がるというのを繰り返し、一冊を読み終わった。

「ツーハ、この本すき。明日はこれの2にする」

「でも、次からは半分ずつにしましょう。それは約束です」

「わかった!」

ツーハさんの集中力もそうだが、長時間声を出し続けるので、こちらがキツくなってくる。ツーハさんはさすがに疲れたようで、リビングのソファでまどろみ始めた。

「今寝ると、夜眠れなくなりますよ」

「…わかってる」

これは、嵐の前の、平和な午後だということは、この時誰も知らなかった。

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