第三部 本気の力
「どこ行ったんだか」
それから、しばらく探したが、なかなか見つからなかった。そんな時、空から、
「みつけたよーっ!」
という声がしたので振り返ってみると、ツーハだった。
「おお。ツーハ、でかしたぞ!」
ツーハの特殊能力は“飛行”。空を自由自在に飛べるらしい。
「むこうにこやあった!」
「案内してくれ!」
ツーハはすとんと降りて、
「こっちにある」
と森の方を指差した。
森を歩いている時。
「おにいさん、さっきのすごかった!つるだしたから…」
「“草狐”だよ。あと、ソウマでいいよ」
草狐とは、草を操ったり、傷を治したり出来る狐のことだ。
「じゃあ、ソウマさん。どうやってやったの?」
「それは…内緒だなー」
「なんでーっ!ずるいーっ!」
「まあまあ。そろそろやないの?」
「あ」
ようやく野菜泥棒の小屋に到着した。明かりがついているので、中にいることが分かった。周りをみんなで囲んで、俺だけ入ることになった。ドアを蹴り飛ばして中に入った。
「観念しろ!野菜泥棒!」
「居場所バレちゃったか。まあ、いいけど」
コウは笑みを浮かべたと思うと、今までとは比べ物にならない程に妖気を上げた。次の瞬間、俺は胸倉を掴まれていた。
「ははは。観念するのはそっちの方だと思わないか?」
「くっ…」
まさかこんなに強いとは思っていなかった。コウが俺に攻撃しようとしたその時、何かがコウにぶつかり、俺は地面に叩きつけられた。目を開けた瞬間、目に入ってきたのはコウを睨み付けるアインだった。
「褒められたことじゃないのはあなたが1番分かってるはず」
「でも、不意打ちも卑怯だと思うけどな」
「…仕方ないか」
とだけいうと、2人はお互い相手を蹴り合っていた。しかし、コウの足が凍り付いてきた。
「ふう。なるべく使いたくなかったんだけどな」
コウは指をパチンと鳴らした。すると、アインの足元からつるが生えてきて、アインを締め上げた。俺は技を繰り出そうとしたが、コウに蹴り飛ばされた。激しい痛みを感じながら、
「同じ草狐として恥ずかしいよ」
というソウマの声の声を聞いた。しかし、その声は怒りを帯びていた。近くの木の幹にぶつかり、ゆっくり目を開けると、ハエトリソウをそのまま大きくしたような植物の口のような所にコウが入れられていた。
「スインさん、警察呼んでんもらえないかな?」
「分かった」
スインは携帯を取り出し、電話をしていた。
その後、コウは警察に連行され、俺は擦り傷ながらも一応病院で処置を受けた。俺はソウマと話していた。




