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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第十五章 謎に包まれた狙撃手
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第五部 テルルの旅立ち

 「またやったのか!ツーハ!テルル!」

フウワの怒鳴り声が聞こえ、ドタドタと走る音がする。気になったので、着替えて様子を見に行くと、割れた花瓶と、その近くのボールが目に入った。どうやら、キャッチボールでもして花瓶にボールをぶつけたようだ。犯人たちは、空高く飛んで地上のフウワを見下ろしている。

「降りてきて下さい、ツーハさん!テルルさん!」

「やーだね!」

イネイさんが言っても、この調子である。どうしたものかと見ていると、甘い香りが漂ってきた。なんだろうと香りのする方を向くと、いつのまにかやって来たギーヨ様が、こちらにやって来た。

「こんにちは。これ、お土産です」

ギーヨ様はキャラメルの香りのする紙袋を見せた。ツーハとテルルは目を輝かせ、すんなり降りて来て、なんだろうと紙袋を見ていた。

「素直に謝ったら、見せてやるよ」

「はあい、ごめんなさい。フウワさん。だいじな花びんわって」

「ごめんなさい」

ギーヨ様が笑って紙袋の中身を見せると、ツーハはさらに目を輝かせ、テルルは不思議そうにそれを見ていた。そう、キャラメルポップコーンだ。ツーハは何度か食べたことがあるだろうが、テルルは知らなかったようだ。さらに、それに反応してやって来た人物がいた。

「何かと思えば、ポップコーンだ!」

フェルクは、かなりの甘い物好きで、特にポップコーンは大好物だったはずだ。さっき目覚めたばかりだというのに、子供のようにはしゃいでいる。

「あ、起きたんや、フェル君」

スインとアインもやって来たが、フェルクはスインを見て喜びの踊りをやめ、目を逸らした。

「勝手にあだ名つけないでよ」

「ポップコーンや。なんか、久しぶりやなあ」

フェルクの言葉を完全に無視して、スインはポップコーンへ目を向けた。フェルクは何か言いたげだったが、

「お茶にしましょう」

というイネイさんの言葉に目を光らせ、どこか知らないのに食卓に行こうとしたのか逆方向に行って、

「ごはん食べるとここっち」

とツーハに言われ、バツが悪そうにしていた。

「思ったより、早い回復だったな」

「それは、多分私が急所をわざと外して攻撃したからやと思う」

「スインって、すごいよな」

「どういうこと?」

「いや、なんでもない」

そして、みんなでポップコーンを食べ(実際の所ツーハとフェルクがほとんどを)、その時に話をしていた。

「準備はできていますか?」

「はい」

実は、ギーヨ様に来てもらったのには訳がある。

「じゃあ、今日は送別会をするか」

ツーハはしゅんとした。テルルの新しい家族となってくれる家庭が見つかったのだ。明日、行くことになっている。だから、玄関にはテルルの小さな荷物がまとめてある。

「ねえ、スインさん、ピーピーいれた?」

「もちろん、入っとるで。ピーピーと一緒に頑張るんやで」

ピーピーとは、スインがテルルに買ったひよこのぬいぐるみだ。相変わらず、子供には甘いスインである。

「ツーハ、出会いもあれば、別れもあるさ。それに、お隣の猫の国だから、すぐに会いに行けるさ」

「うん」

「確か、お姉さんがいるって言ってたよね」

「はい、今年で10歳のセレンという女の子だそうです」

その後、ツーハとテルルは仲良く遊び、夕飯になったが、ツーハはあまり食べなかった。

「珍しいな、ツーハ。しっかり食べないと、元気にお見送りできないぞ?」

「うん」

ツーハはご飯を一気に食べて、食器を下げ、どこかに行こうとしたので、慌てて付いて行くと、自分の部屋で泣いているのを見つけた。

「ツーハ…」

別れが近づいて、寂しくなったのだろう。とりあえず、そっとしておくことにした。食卓が騒がしいと思ったら、テルルも泣いていた。やがて、2人は泣き疲れて眠った。


 翌朝。ツーハとテルルは、向かい合って、

「バイバイ」

「バイバイ」

と言い合った。

「2人とも、こういう時は『またね』って言うんだぜ。また会えると信じて」

兄者らしい発言だ。

「うん、わかった。またね、テルル」

「またね、ツーハ」

「さあ、行きましょう、テルルさん」

ギーヨ様に手を引かれて、テルルは新たな家族の元へ旅立った。


 フォニックスの本拠地が温かい雰囲気に包まれている中、とある研究所ではピリッとした雰囲気に包まれていた。

「ボス。6番は、操作を解除する不思議な能力があるのですか?絶対に解けないはずの操作が、跡形もなく消え去っています」

「我々は6番を侮りすぎていたようだ。まさか、その能力を持っているとは。厄介だな。さらに強い操作の開発を急げ」

「了解致しました」


 テルルとセレン。この2人の出会いは、偶然ではなかった。だが、その話は、また別の話。ギーヨは移動の最中、すっぽかして来た仕事のことと怒っているキョウの顔を思い出し、1人苦笑したが、血のつながりのない姉妹はどう関わって行くのか、楽しみでもあった。

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