第二部 不思議な技
二時間後。ようやく俺たちは目的地に着いた。
「ふう。ついたー!」
とツーハが疲れたように言ったが、実際は俺がずっとおんぶしていったのだ。
「誰かさんのせいで二倍疲れたよ」
「いいじゃない、エンにい」
「まあいいけど」
「それにしてもええ街やね」
辺り一面田んぼが広がっていて、子供達が走り回っていた。
「本当に野菜泥棒なんて来るのか?」
「ほんと!」
「じゃあ、しばらく様子を見てみるか」
一時間後。昼ご飯を食べていると、なんだかわずかに妖気を感じた。それに反応して、スインがそのあたりに水の弾丸を打ち込んだ。
「うおっ!?」
と茂みから声が聞こえたかと思うと、何かが出て来た。
「誰だ!」
茂みの中から出て来たのは、すらっとした男だった。
「我が名はコウ。何の用だ」
「野菜泥棒はお前か?」
「その通り。私はここの畑から野菜を拝借している」
「そんなことしちゃダメ!」
「止めたいなら力でねじ伏せてみろ!」
そして、コウはたくさんの分身を作った。
「何だこの技は!」
「厄介な技だ」
今日はライトとフウワが別の用事があっていない。
「ふふふ。この技を破れないのなら俺を倒せ無いぞ?」
「ひきょー!」
ツーハがプンプン怒り出した。スインが攻撃をしてみるが、分身だった。
「これじゃあ倒せやんやん」
思ったよりも苦戦しそうだ。俺は少し考え込んだ。
そんな時。僕は少し気持ちを落ち着かせた。妖気で見破れないかと思ったのだ。すると、それぞれに妖気を含んではいるが、際立って強い妖気があった。しかし、常に移動しているので、なかなか掴めなかった。だが、しばらく様子を見ていると、移動に規則性があることに気づいた。僕は目を開けて、タイミングを図った。ちょうど手前に来た時に、僕はつるで本体を掴んだ。
「なぬっ!?」
「妖気さえ掴めれば、これくらい簡単だよ」
「すげー!ソウマ!」
とエントくんが言ってくれたが、今は喜んでいる状況ではない。
「野菜泥棒くん、どうする?」
「ぐっ!まだ終わりじゃ無い!」
と言ったかと思うと、野菜泥棒はつるをなぎ払い、遠くに行ってしまった。
「面倒くさいやつだ」
「でも、絶対に逃がさないから!もう一度探そう!」
そして、僕たちは野菜泥棒を探し始めた。




