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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第十四章 やりすぎなイタズラ
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プロローグ 任務はイタズラを止めること?

 時は早いもので、もう五月。スインは朝食を食べながら、去年の出来事を思い出した。この月は、ロスト団と戦った月だ。元々敵だったはずなのに、こうして仲間になったのは、ライト君の優しさなのだろう。そう思っていたら、1週間に一度に来るようになったギルド様は、

「ここからずれていったんですよ。庶民を助けるはずだった集団が、国を超えて活動しなければならなくなったのは。あの国王ももう少し考えて欲しいものです」

と不平をこぼした。最近、妙に不機嫌なのは、気のせいだろうか。

「ああ、そうそう。今日は庶民からの依頼を伝えに来たんですよ」

「へえ」

みんなは、そんなに難しくない任務かなあ、といった雰囲気を出していた。

「今回の任務は、容赦なし、全員で行ってください。最も、ソウマさんは行けませんが…」

ソウマ君は、怪我はほとんど治ったと言っても過言ではないくらいに回復したが、今までの無理が祟ったのか風邪を引いて、こじらせてしまった。とはいえ、最近は落ち着いて来たので、回復もそう遠くないと思う。

「そんなに重要な任務なんですか?」

「はい、もう野放しにしておくことは出来ません。このままでは、この辺りにも被害が及び、国としての機能が麻痺してしまう可能性があります」

重大な責任を感じ、場の雰囲気はピリッとしたものとなった。

「だから、テルルのイタズラを止めて下さい」

「イタズラ!?」

エント君が思わず、といった様子で声を張り上げた。

「馬鹿!あまり大きな声を出すな!ソウマが起きるぞ!」

すっかり家政婦になったコウがやって来た。

「イタズラと言っても、テルルの特殊能力は機械に入り込み、自由に操ることです。5歳児なのですが、最近イタズラの度が過ぎていて、トラクターを操って畑をめちゃくちゃにしたり、町内放送を使って夜中に騒音問題が起きたりで、その町は頭を抱えているそうです。イタズラなので、向こうに悪意はありませんしね」

ちなみに、農業に関する乗り物の使用は、効率の良い農業のために許可されているが、移動のための使用や改造は禁止されている。

「そこで、俺たちってわけか」

「よろしくお願いします。私は、少しストキ、様に用があるので、これで失礼しますね」

ギルド様の言葉に、一瞬違和感を感じたが、気のせいだろう。

「よし、早速出発だ!」

今回は幼い子を説得するという、ある意味難しい任務になりそうだ。なので、ツーハちゃんにもついて来てもらった。


 現場の街は、闇屋敷の近くの、畑や牧場があるような町だった。

「ここら辺は、初めて来たな」

「ほんとほんと!たんけん!」

ライトさんのつぶやきに、納得した。ツーハちゃんやイネイさんと知り合いだからこそ光屋敷や穀物屋敷の方向はよく行くが、闇屋敷の方向は行ったことがなかった。もちろん、遠いというのもある。闇狐といえば、あの時の約束を思い出す。

「シン、だったけ」

「どうしたん?」

「あ、いや、なんでもない」

結局、この約束は、誰にも言っていないのだ。突然、コンバインが動き出し、大通りに行き、店の商品を荒らし始めた。

「おい、やめろ!」

エントは力ずくでコンバインを止めようとしたが、逆に弾き飛ばされてしまった。

「ばーか。妖怪とはいえ生物が攻撃もせずに正面衝突で乗り物を止めようとしても、勝てる訳ないだろ」

フウワさんは呆れていた。ライトさんは、どうやって止めるかを考えていた。

「じゃあタイヤを外すぞ!」

「どうやってやるんだよ!回ってるタイヤを取るなんて出来ないぞ?」

「俺がコンバインより速く走って、素早く外せば行ける!」

という無理矢理な方法で本当にタイヤを外してみせた。

「す、すごい!本当に素早くタイヤを外しちゃった!」

「まあ、元々こういうの得意だしな。それに、妖気の力で簡単に開けられたしな」

おそらく、妖気を飛ばして外しやすいように調節したのだろう。この世界は、本当によくわからない事が集まって出来ている。

「おーい、出てこーい!いたずらっ子!」

すると、コンバインから小さな女の子が出て来て、素早くスピーカーに乗り移った。止めようとした瞬間、とんでもない音量で音楽が流れ始めて、全員耳をふさいで動けなくなった。あまりの音量に耐えかねた姉さんが思わず水の弾丸を出してしまい。スピーカーは壊れてしまった。

「あっ、やってしもた」

すると今度はガスコンロに乗り移り、その火を雑草につけ始めた。その日は燃え広がり、畑の作物に届きそうになって来た。

「消火は私に任せて!みんなはそっちをよろしく!」

そして、次々に機械から機械へと乗り移り続けるテルルに、なす術もなく、必死に民衆に被害が及ばないようにしていた。もしかしたら、向こうは鬼ごっこ的な遊びだと思っており、必死になっている自分たちを見て楽しんでいるのかもしれない。だからといって、そのままにしておくわけにはいかない。本当に、翻弄されてばかりだ。

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