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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第十三章 ライトの成長
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第四部 ギルドの夜

 その日の夜。ギルドはチーナに呼び出され、約束通りチーナの一時的な部屋に来た。ノックしようと思ったその時、ドアが開いた。

「時間通り。さすがね」

「その言葉、そっくりそのままお返しします。よく気づきましたね。こんなにも妖気を抑えているというのに」

「私があなたを呼んだ理由、分かる?」

「勘づいたのでしょう?私の秘密を。では、情報交換と行きませんか?」

「どうしようかしら。まあ良いわ、とりあえず入って」

チーナの部屋は、少し狭かったが、自室としては十分な広さだった。

「王宮暮らしのあなたは狭く感じる?」

「いえ、そもそも自分の部屋は持っていません」

「じゃあ聞くけど、あなたの生い立ちについて聞かせてくれない?」

「いや、先程答えたので私が質問する番です。いつまでこんな生活をしているのですか?マイさん?」

「本当に勘がいいのね。私はチーナであって、マイじゃない。マイの時の記憶と力があるだけよ。最近、ようやくこの力に慣れて来たの。だから、あの時は負けたけど、今は分からないわよ」

「やはりそうでしたか。あれほどの攻撃を受けて生きていられる所か、すぐに回復してしまう人は、マイしかいません」

「じゃあ、次は私の番よね。ずっと化けてたら窮屈じゃないの?キルラさん?」

「ついにバレてしまいましたか…」

「本当の姿見せてくれない?もちろん誰にも言わないから」

仕方ないので、正直にそうすることにした。化けていた姿より、こちらの方がやっぱりいい。

「本当にすごいよね。あなた。化けた状態であんな技出したら、普通壊れるよ?まあ、あなたは妖気じゃなくて、霊気で戦ってるけど。死者の恨みを使うなんて、私は死んでもしたくないわ。実際、一回死んで生まれ変わってるんだけどね」

「あまり冷やかさないで下さい。今はこの力は制御されていますが、怒りや恨みなどでいつ暴走してもおかしくないのですから」

「分かったわ。ストキと仲良くやるのよ。ようやく掴んだ幸せなんだったら」

そう言って、チーナは妖しく笑い、私を廊下に押しやった。私は、すぐに元の姿に戻り、玄関へ行き、外へ出た。星を眺めていると、足音が聞こえて来て、私の前で止まった。

「誰かにバレたのですか?」

ストキだった。すぐに駆けつけて来たのだろう。パジャマの上から羽織りを羽織っただけだった。

「マイの生まれ変わりだから、大丈夫」

「またそんなことを…。こっちはデレをずっと待っているのに」

「そう言われたって、余程のことがないとああはならない」

小さい頃から、親に甘えられなかった反動か、本当に行き詰まるとストキに甘えてしまうのだ。普段は、どうしても照れ臭くて塩対応になりがちだが。

「ストキ」

「はい」

「どうしたらいいと思う?このことを、フォニックスに伝えるべきか伝えないべきか」

「それは、時が来たら教えればいいと思います。無理に伝える必要はありません。そして、やっぱりあなたの不安そうな顔は可愛らしいですね」

「こっちは真剣に考えてるの!やめてよね!」

「ですが、1番可愛いのはやはり笑っている顔です。最近色々なことが始まって、その大変さにより、笑顔になることが全くありません。たまには、思いっきり笑うのも大切だと思いますよ」

「今日は私ここに泊まるけど、ストキは帰るの?」

「いや、ここにいたくなりました。でも、明日には一緒に帰って下さいね。4人が寂しがります。…なんですか、その嫌そうな顔は」

「なんでわざわざ泊まるの?ここから王宮まではそう遠くないし、フォニックスたちに迷惑が掛かる」

「まあまあ、いいじゃないですか…って、ドアを閉めないで下さいよ!」

ドアを引いて開けようとするストキに、私もドアを内側から引いた。

「謝りますから入れて下さい!」

「入れたら厄介なことになる!庭で寝てればいいじゃん!」

そうやって引き合いをしているうちにドアが外れた。私たちは顔を見合わせ、大急ぎで直す努力をし、なんとかつけることができた。結局、ストキを建物の中に入れてしまった。

「もうこんな時間…」

時計を見ると、朝の3時だった。

「今から寝ておいた方がいいでしょう。背中ぽんぽんしましょうか?」

「こんなのだから入れたくなかったのに!」

「でも、部屋は余っているのですか?」

「…余ってない。だから、私は図書室のソファーで寝るつもり」

「風邪ひきますよ?」

「掛け布団はあるから。ストキはこっちで寝て」

「はあい」

「もう、いっつもこんな調子なんだから…」

ちなみに、これらのやり取りすべては、昼間に寝て結局起きてしまったソウマに聞かれていたことは、全く気づいていなかった。それは、様々な秘密が明らかになった、いつもと少し違う夜だった。やがて寝息が聞こえ始め、隣をみると、ストキが布団をぬいでいたので、仕方なくかけてやった。そして、自分も眠りについた。翌朝、起きて来たフウワに驚かれ、こんな所で寝させてしまったことに対して、本気で謝られたのだった。

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