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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第十二章 エントの戦い
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第四部 兄妹合同作戦

 「ほんとにいいんだね?いっくよー!」

思ったより勢いよく投げて来た。だが、動けなくなっている相手に対しては、問題ないはずだ。っていうかあったらヤバい。

「エン兄!てつだうよ!」

ツーハが一緒に落ちて来た。というか、下降して来た。

「ああ。威力はいくらあっても困らねえ」

「じゃあこれは?」

ツーハが耳打ちして来た。

「まあ、いいけどよ」

相手は自分たちが上空から近づいてきているのに気がついたようで、炎に包まれながらも上を向いて攻撃を溜め始めた。

「よし!行くよ!」

ツーハは手を繋いできて、足の長さはかなり違うがぴたりと合わせて来た。

「せーの!ダブルシャイニングキック!」

攻撃と攻撃がぶつかりあった。長い間押し合いをしていると、ツーハの威力がどんどん上がっていっているのに気がついた。もしかしたら、本当にフォニックスに入る日が来るかもしれない。ちょっと悔しいけど。やがて、こちらが有利になっていき、ついに相手を貫いた。大爆発と共に、炎は消え去ったが、問題ないだろう。なんとか、全員倒すことが出来た。

「かんぜんしょーり!」

「ありがとな。お前が来なかったら勝ててなかった」

「ね?言ったでしょ?」

「まだ警察呼んでなかった。ツーハはもう帰るのか?」

俺は電話をかけながらツーハの返事を待ったが、いう気配がないので、顔を上げると、ツーハが言いにくいことがあるような顔をしていた。

「ツーハ?」

その時、警察が丁度電話に出た。

「すまんな、後で」

俺は警察との会話を終わらせ、再びツーハの方を向いた。

「あのね、エン兄。もう一つのひかりぎつねの人たちがなにかたくらんでそうだからしらべに行くってみんな行くことになって、おせわの人も行っちゃうから、フォニックスのとこにちょっとだけきちゃだめかな?」

「そうか。いいぞ、全然。みんなも絶対いいって言うだろうし。着替えちゃんと持ってこいよ」

ツーハの目がキラキラし始めた。

「もうもってきた。ほら」

ツーハは大きめのリュックサックを俺に見せた。

「ねえ、にんむつれててくれる?」

「つれててってなんだよ。だめに決まってんだろ。お前はコウと留守番だ」

「えー、やさいどろぼうといっしょなんてやだー!」

「野菜泥棒じゃない、コウだ。もう足を洗って大事な留守番要員だ」

「じゃああぶなくないにんむはつれてて…じゃない、つれてって!」

「分かった分かった」


やがて、家に着いたが、途中でやはりツーハをおぶさって行くことになった。

「お前もう6歳なんだろ?自分の足で歩けよ!」

「いいじゃん。こんにちはー」

ドアを開けると、玄関を掃除していたコウとばったり会った。

「コウ。ただいま」

「やさ…じゃなくてコウ。こんにちは」

「バレてるぞ。野菜泥棒って言おうとしたの」

「誰かと思えば、ツーハじゃねえか」

「ライ兄!」

ツーハは兄者に抱きついた。

「ちょっと事情があって、他の所でしばらく過ごさなきゃいけないみたいで。泊めてやってもいいか?」

「いいに決まってる。コウ、覚悟しとけよ。こいつの食べる量はハンパないから」

「おう、任せとけ!すぐ晩飯にするからな!」

そう言ってコウは掃除道具を仕舞いふっと消えた。

「分身だったのか」

「コウも最近、分身でもあれこれできるようになったらしい」

廊下を歩いて食卓に向かうと、もうすでにみんな揃っていた。

「みんな!色々あってツーハがしばらく住むことになったから、仲良くしてくれ!」

「ツーハちゃん、久しぶりやね」

「今日もすごろくしようね」

スインとアインが喜んで出迎えているのを見ながら、左を見ると、やはりソウマとフウワが落ち込んだ雰囲気を出していた。朝よりマシにはなったようだが、いつもの2人との差はかなりある。

ツーハもそんな2人を不思議そうにちらっと見たが、何も言わなかった。

「兄者。やっぱ2人何かあったのかな」

「だろうな。まあ、これは2人の問題だ。俺たちが首を突っ込むのは良くない」

そうだと分かっているが、どうしても気になってしまう。やがて、料理が届き、食べ始めたが、なんとなくワイワイ話せる気分ではなかった。晩飯を食べ終わり、お風呂に入った、団らんの時間となったが、ソウマとフウワはずっと静かで、団らんの時間には、

「僕、もう寝るよ」

「私も」

と、すぐに自分の部屋に行ってしまった。その後、すごろくをしたが、全く集中できず、結局どべとなった。

「エント。心配しすぎてお前まで落ち込んだら、あの2人のことだ。きっと悪く思ってしまうだろ」

「…分かった」

俺はボードゲームを持って来た。

「第二回戦だ。次は負けないからな!」

確かに、2人のことは気になるが、今はあまり考えすぎないようにしよう。

「そのゲーム、ツーハちゃん出来るんやろか」

「だいじょうぶ。5さいからって書いてある」

そんなやりとりに、口許が緩んだ。ツーハが泊まりに来てくれて良かった。重たかった空気が、一気に軽くなった気がする。


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