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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第九章 スインの記憶
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第二部 脱出作戦

 「見張りは10分おきに来るから、それまでに上手く脱出するよ」

「分かった」

エムルが何者か分からないが、とりあえず今は協力することにした。丁度見張りが通り過ぎて行った。

「よし、行くよ」

エムルはオリを最も簡単に壊し、通路に出て、スインのオリも壊した。

「ほら、早く」

2人は姿を消して通路を横断し、出口を探した。見張りが来るのはもうすぐなので、自分たちがいないことに気づくだろう。だから、なるべく遠い所まで来た。

「うーん、せめて地図があったらいいのに」

スインは周りに1人のまだ入って間も無いような人を見つけた。

「えーっと、倉庫はこっちだよね」

その人は地図を見ながら言った。スインはある方法を思いついた。

「あれ?地図が消えた!」

スインは触れている物なら透明に出来る。しかも、声も消せる。だから、エムルと手を繋いでいるが、全く気になっていない。

「ありがと。気が利くねえ」

「現在地はここやな」

「うん。だから、出口はこっちだね」

2人は走り始めた。


 「本当にこっちで合ってんのか?ずいぶんと山奥だけど」

「分かんない。姉さんの妖気はこっちなんだけど」

「道があると思うんだけどなあ」

「あら、お困り?」

背後から聞いたことのある声が聞こえた。

「もしかして、チーナ?」

「おお、あたり。探し物でもしてるの?水狐さんはいないみたいだけど」

「その姉さんを探してるの!手伝ってくれない?」

「まあ、ちょっとだけね」

チーナは目を瞑り、意識を集中させた。

「あら、水狐さんのは感じられないけど、たくさんの人の妖気をあっちに感じるわ」

「チーナ、ありがとう!」

「お安い御用よ」

私たちは、そのまま進んだ。


 ようやく出口が見えた所で、例によってコウモリに見つかってしまった。

「逃げようとしても無駄だ。素直に牢屋に帰るんだな」

「やべっ、見つかっちゃった」

「いや、帰る訳には行かへん」

「俺に勝てると思っているのか?」

「何度も同じやり方に引っかかる程アホやない」

「じゃあ、それを行動で示してもらえるかな」

スインは透明になった。

「いくら透明になっても、俺は居場所が分かると言っているだろう。本当に馬鹿じゃないんだよな?ほら、こうやって」

相手は攻撃をしたが、それは水で作った囮だ。

「逆に超音波を利用された…?」

遠くからの攻撃なら、それなりに使える。

「ウォータースプラッシュ」

相手が体勢を整える前に攻撃出来て良かった。この隙に、スインはある技の準備をし始めた。

「ちっ。超音波だと引っかかるし、かと言って他に手段は無い」

「誰か忘れてない?スピンダッシュ!」

エムルはアルマジロのようだ。確か、アルマジロはネズミの国のある町に住んでいたはずだ。

「せめてこいつだけでも!」

「おかげで十分準備が出来たわ。ウェーブクラッシュ!」

「結構いい技だね」

相手は倒れたが、仲間が次々に来た。

「囲まれちゃったね。しかも、コウモリは9人も」

9人もいるとなると、分身もたくさん必要になってくる。勝算はほとんどないといえるだろう。いや、9人もいるのなら。スインは姿を消した。当然、9人一斉にやって来た。そこでだ。スインはそのうちの1人に触れ、透明にした。8人の動きが一瞬鈍くなった。おそらく、仲間を攻撃しないようにどこいいるのか調べているのだろう。狙い通りだ。

「頼むで、エムル」

「オッケー、雑魚ばっかじゃつまんないから。バウンドタッチ!」

エムルはボール状になり、壁や床、天井で跳ね返って相手にぶつかった。自分は掴んだ1人を投げた。この人は、さっき地図を持っていた人だった。その人は他の人に当たり、お互いの体勢を崩した。

「隙あり。ウォーターアロー!」

2人を攻撃すると同時に、壁に刺さった矢をエムルは上手く使った。

「後はそんなに強くないわ」

コウモリを含め、やって来た人を全て倒すことができた。

「僕たち、意外といいコンビかもよ?」

「どうやろな」

すると、拍手が聞こえた。

「いやあ、9人のコウモリを、そんな方法で倒してしまうとは。面白い戦いだったよ」

「誰なん?」

「私はここの中では最強の戦士だ。まさか私まで戦うことになるとは。部下の質が少々悪かったかな?」

今までの相手とは段違いな事がよく分かった。ぱっと見は犬だが、どんな攻撃を仕掛けてくるのか、全く分からなかった。

「わあ、強そうな人。戦うのは、こういう人じゃなきゃあ」

エムルはずいぶんと呑気だった。その呑気さ、半分でいいから欲しいと思ったが、そんなことを考えている場合ではない。

「ワイルドチェンジ!」

相手の体は大きくなり、牙が目立つようになり、爪もさらに伸びた。一番変わったのは、そもそも大きかった妖気がさらに大きくなった事だ。自分が戦って敵う相手なのか、少し不安になった。

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