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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第九章 スインの記憶
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プロローグ スインの思い出に迫る影

 11月の夜。スインは何故か眠れなかった。

「もう12時や。明日6時に起きるのに」

そんな小さな独り言は、夜中の静寂に吸い込まれていった。とりあえず、目を閉じてゴロゴロしていても、全く眠気が来なかった。


 「スイン?大丈夫か?」

結局ほとんど眠れなかった。

「うん。昨日寝れなかっただけ」

スインはあくびをした。

「寝不足は体に悪いよ。姉さん」

分かっている。分かっているけど、寝られなかったのは仕方がない。

「今日やる任務は…」

ライトがそこまで言った時、バアンとドアが開き、キョウが入って来た。

「どうしたんですか?キョウさん」

キョウさんの姿を目の当たりにしたというのに、未ださん付けが抜けない。

「スインさん、あの海が大変なことに…」

一気に目が覚めた。朝ごはんを食べている場合ではない。

「行ってくる!」

「姉さん?」

スインはとりあえず海に向かった。


 スインが走って行った後。

「アイン、『あの海』って何かわかるか?」

「分からない。姉さんにとっては特別な場所なのかもしれない。ギーヨ様にも聞いてみる」

「ああ。俺たちは準備をするから、そっちはよろしくな」

早速電話をかけると、1分も経たずに出てくれた。

『どうしましたか?』

「姉さんがどこに行ったか、分かりませんか?」

『はい。住所を教えますので、そこに向かってください』

「はい!」

「決して無理はなさらずに」

ギーヨ様は住所を言って、電話を切った。

「アイン、行けるか?」

「うん!早く行かなきゃ!」


 スインがそこにつくと、10人程の集団が海岸の祠を壊そうとしていた。すかさず、スインは技を当てた。

「何しとるん?祠には触らんといて」

「フォニックスか。先月、1人倒したようだな。まあ、あいつは利用していただけだが」

「そっちは誰なん?」

「答えるかよ。まんまとおびき出されたな。こんな岩が大切なのか?それに、お前だけで俺たちに勝てる訳が無い」

「私は勝つために戦うんやない。大切な物を守るために戦うんや」

「へえ。お前の大切な物を守りたいなら、俺たちを倒してみろ」

スインは透明になったが、何故か居場所がバレてしまった。

「俺にかかれば、お前の居場所を突き止めることなんて造作もない」

「コウモリ…」

よりによって、コウモリと出会してしまった。キョウさんも他の用事が入って、一緒に来ていない。

「真っ向勝負で行けってことか」

スインは近接攻撃が苦手だし、相手は10人いる。不利な要素しか無い。

「ウォータータックル!」

練習中のこの技は極力使いたくなかったが、致し方ない。やっぱり、あまり効いていなかった。

「影撃ち」

スインはあっさりと捕まってしまった。


 アインはその住所通りに海岸に来たが、すでに姉さんの姿はなかった。

「ここで合ってるのか?」

「うん。もしかしたら、捕まっちゃったとか…」

「スインに限って、そんなことあるのか?」

「あるよ!姉さんの特殊能力には欠点があって、イネイさんみたいに五感の鋭い人や、超音波が使えるコウモリには居場所が分かっちゃうの…」

「この足跡は、コウモリのものじゃないか?」

「どうしよう…」


 スインは目を覚ました。ここは相手の基地なのかもしれない。スインのいる所は牢屋だった。牢屋の前には定期的に見張りがやって来た。一体、自分を捕まえてどうしようというのだろう。

「やあ」

隣から声が聞こえた。

「僕、エムル。君は?」

「私はスイン。ここはどこなん?」

「ここはブラックスっていう組織の牢獄らしいよ。ダサい名前だよね」

「なんか目的があるの?」

「うん。ある能力に長けた物を集めて、無理矢理引き込もうとしてるんだ。僕もうここに2ヶ月いるよ」

「それは困るなあ」

「ねえ。君の特殊能力は何?」

「透化やなあ。それがどうしたん?」

「ねえ、一緒に脱獄しない?僕、この檻なんてすぐ壊せるけど、そのあとすぐ見つかりそうだったから」

「本当に大丈夫かなあ」


 「うーん、何か手掛かりがあれば…」

みんなはいい方法がないか探していた。

「とはいえ、イネイは今日忙しいみたいだし」

「足跡はどれがスインのかなんて全く分からん」

「ああ、もう、いっそのこと、棒倒しで決めないか?」

「そんなので見つかるとでも?」

「それ以外なんかあんのか?」

「無いけど…」

「ん?足跡はわからなくても、妖気で分かるんじゃないか?」

「そうだな!でも、スインってどんな妖気だったっけ?」

「それなら、私が」

うっすらだけど、こっちに姉さんの妖気を感じた。

「こっちだと思う!」

「よし!そのまま進んで行ったら、スインに会えるかも!」

「敵地に入るんだ。しっかりと準備をしておけよ」

みんなは緊張した様子で、先へ進んだ。姉さんが何もされていない事を祈る。散々姉さんに助けられて来たのだから、少しは恩返ししたいとずっと思っていた。だから、姉さんの助けになれるよう、頑張ろうと思った。


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