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フォニックス 運命の始まり(年明けより大幅改稿予定)  作者: ことこん
第八章 今山、再び
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プロローグ 絆と幻の技

 もう今年も10月だ。今年は色々と充実していた。そろそろ、オスコが今山に来てくれる頃だろうと思っていたある日。

「ライトさん!大変です!」

イネイさんが庭にやって来た。

「どうした?近くで何かあったのか?」

「それが、今山の動物たちが暴れ出したんです!しかも、町まで降りて来て人を襲うなど、周辺ではトラブルになってるんです!」

「ソウマ?」

「僕、行くよ!」

「待てよ!」

「いや、みんなは理由も無しにそんなことはしない。だから、何か事情があるんだと思う。早く行かなきゃ!」

ライト君の気持ちも分かるけど、彼らを悪者にしたくない。だから、噂が広まる前に何としても止めなければならない。町に行くと、本当に牛が暴れていた。

「ギュー君!ソウマだよ。どうしたの?」

牛、ギュー君は嬉しそうな顔をしたが、僕に突進して来た。

「ギュー君?」

しかも、スピードが上がっているような気がする。そして、こんな妖気は感じなかったはずだ。

「操られてる…?」

でも、オスコの時とは違う感じで、ただ暴れるように仕向けているような気がする。どっちにしろ、人為的なものだが、手掛かりがない以上どうにもならなかった。

「ギュー君、ごめんね。ちょっと寝てて」

特製の眠りごなで眠らせておいた。

「ソウマ!」

「みんな!」

「何1人で背負おうとしてんだ!ちょっとは仲間を頼れ!そうした方が絶対早く解決できる!」

「ライト君…」

「それにしても、ギュー君って。まんまじゃねえか」

エント君が吹き出した。

「ちょっ、エント君!」

「今そんな事どうでもいい!分かったことはあるか?」

「うん。操られてる気がするんだ」

「オスコが怪しいぞ!あいつの特殊能力は操りだからな!」

「エント!んな訳あるか!」

フウワさんがエント君を襲った。

「わ、分かりました!許して下さいーっ!」

「うーん、でも、なんか違和感あるなあ。わざわざ、なんで今山の動物たちなんやろ?」

「登ってみたら分かるかも」

「よし、今山の2回目の事件も解決してやるぜ!」

「なら、これを使って。6個に分けてあるから」

「粉?なんだこれ」

「僕特製、眠りごなだよ。動物たちを傷つける訳にはいかないから」

「ソウマ!こんな怪しげな薬作ってたのか!」

「あくまで戦闘用だし、別に怪しくなんてないよ!」

今山の頂上に近づくにつれて、動物たちがたくさんいた。とりあえず眠りごなで眠らせているが、起きたら襲ってくるので、早めに決着をつけなければならない。

「ロル君、落ち着いて!」

狼、ロル君は僕の腕に噛みついて来た。なんだか出会った時のことを思い出す。

「ソウマ!」

「駄目だ!ソウマに当たったらどうする!」

「ロル君…懐かしいね。よくこうやって噛みついて来てさ。最初はどうしようかと思ったよ。でも、君は誰よりも僕を大切にしてくれた。君はこんなことなんてしたくないはずだ」

「ソウマ!離れろ!」

「いや、ロル君は大丈夫。こんな操り破れるから!」

ロル君、頑張って…そう思ったら、辺り一面が緑色になり、暖かな風が吹いて来た。

「な、なんだ、これ」

「グラスヒールです!確か、この技はもう500年前に使える人物はいなくなったはず…幻の技です」

「本当か?イネイ」

「はい!歴史書で見ました!」

「ソウマさん」

「ギルド様?」

「あなたはやはり、そういうことでしたか」

「えっ?」

「なんでもありません。それより、動物たちを見てみてください」

「す、すごい…」

暴れていたはずの動物は正気を取り戻し、ロル君に噛まれた跡も何事もなかったかのように消えていた。

「この技は一定の範囲内の治したいと思った対象だけ治せるという、優れた技なんですよ。でも、妖力を全体の30%消費するそうです」

視界にギーヨ様が見えた。どうやら、この技の気配を察知したようだ。

「他の技使わなくても3回だね。大切に使わなきゃ」

すると、

「待って下さい!ギーヨ様!仕事中です!」

というキョウさんの声がした。

「ソウマさん!素晴らしいです!歴史に残る偉業です!」

ギーヨ様がキラキラした目で見て来た。

「そ、そんなに?」

「ソウマすげー!どうやったらそうなったんだ?」

「そんなこと言われても…」

「エントさん。どいてください」

エント君の体が浮かび上がった。

「ぎゃあ!怖い怖い怖い!」

「お前、ホラー映画だけじゃなくて、高い所も苦手なのか…」

「それよりさ」

「ライト君が僕とギーヨ様の間に入ってきた。

「まだ解決した訳じゃないんだから。その話は後で」

「ほら!ギーヨ様!帰りますよ!」

キョウさんがギーヨ様を引き摺って帰って行った。山を登っていくと、妖気が強まってきた。頂上に黒幕がいるのだろう。ついつい速足になる。

「待ってくれえ。みんなあ」

「お前が遅いんだよ!さっさと来い!」

「昨日の特訓のせいで筋肉痛なんだよ!」

「もう!ちょっと待つから早く来い!」

フウワさんって、荒っぽいけど、世話焼きだと思う。弟がいるんだろうか?だとしたら少し羨ましい。

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