第三部 姉妹、兄弟、仲間の絆
「こっからは協力していこか」
「そうだね。姉さん」
自分には兄弟がいないので、2人が羨ましかった。そこからは息ぴったりの連携プレーだった。2人が交互に攻撃し、お互いの隙や弱点を補い合い、より速いペースで攻撃が出来るようになっていた。自分にも兄弟がいたら、こんな戦いが出来たのだろうか。ぼんやりしていたら、攻撃に気づかなかった。避ける暇も無く、しまったと思ったら、誰かが受け止めた。
「ぼんやりしてないで、帰るか戦うかどっちかにして、コウ」
「分かったよ。帰るからな!」
ソウマはチビなのに勇敢だなあと感心した。
「エント!いくぞ!」
「ああ。失敗するなよ」
まず俺が電気で相手を動けなくし、それからエントが攻撃するという感じだ。動かない的ならあの技が当てやすい。
「火炎砲8連射!」
見事に命中した。この技は当てにくいものの、威力はあるので、たいていの相手なら一撃で倒せるはずだ。それでも。
「数が多すぎ!キリがない!」
「こうなったら、エント!一気にいくぞ!」
「エレキブレイズアタック!」
敵はかなり倒せたようだが、流石に全員は無理があった。
「ライト君、エント君、こっちも結構減ったで」
「それにしても、なんでこんなにいるんだろ?」
「それはこいつらを全員倒してから考えることだ」
「確かに」
「ちょっと!ギーヨ様!置いて行かないでください!」
「置いて行ったのではありません。あなたが行くのは危険だと思ったからです」
「でも…」
「僕なら心配ないでしょう。僕はあなたの兄ですから」
「へっ?」
「気づきませんでしたか?歳の差はかなりありますが、僕たち兄弟ですよ?」
「だ、だから僕なんかを側近にしたんですか?」
「はい、そういうことです。あなたを睨んだという人は誰でしょうねえ。帰ったら即刻クビにしましょうか」
「いいですよ!嫉妬は誰でもするものでしょう!」
「冗談ですよ」
「また笑えない冗談言って…僕たち本当に兄弟なんですか?僕そんなこと言いません」
「小さい頃の僕にそっくりです」
「どこが!」
「見た目ですよ。あと、このことは誰にも言わないように。面倒なことになりますから」
そんな話をしている間に、どんどん倒れた人が増えていっているのは、見なかったことにしよう。
「ありがと。姉さん」
姉さんは咄嗟に私に向けた技を技で打ち消してくれた。
「当然やろ。アインにだけは怪我させたくないから」
「でも、私以外も助けてあげてね。特にソウマさんとか」
「そやなあ。気をつけやんと、飛び出していってまうからなあ」
「本当に」
数は多いが、一人一人の強さはそんなにだ。コウでも戦えるくらいだ。本人は帰ってしまったけど。キョウさんが捕まったのが不思議なくらいだ。さっきのも、上手くいけば抜け出せなくもない程度だ。その瞬間、ものすごい妖気を感じた。その妖気は禍々しく、他の者とは格が違うことが分かった。ズシーン、ズシーンという大きな足音と共に、気配が近づいて来た。ギーヨ様は自分たちで倒せると判断したのだろうか。
「やれやれ。お前ら、こんな奴らに易々とやられやがって」
そう言った男は、自分の体長の2倍はありそうな大男だった。体格差があり過ぎる。どう戦うか、考えなければならない。そう考えていると、相手が殴りかかって来た。大きな拳は、私に避ける暇も与えなかった。
「グラスシールド!」
ソウマさんが防いでくれた。
「あ、ありがとう、ソウマさん」
「当然でしょ。仲間なんだから」
「やったな!ソウマ!練習しといて良かったな!」
「ふん。そんなので俺の技を防げると思うなよ?グランドプレス!」
みるみる地面が近づいて来て、私たちを押しつぶしてしまう勢いだった。しかし、急に止まった。フウワさんが男をテールハンドで締め上げたのだ。でも、逆にフウワさんが投げ飛ばされてしまった。その隙に、私たちは脱出した。
「フウワさん!大丈夫?」
「これくらい、どうってことはない」
しかし、立ち上がる時に、痛そうに顔をしかめた。
「無理しないで!後は私たちがやるから!」
「僕は手当てをするよ!任せたよ!」
「ああ。頼んだぞ」
「どうだ?俺にかかれば、お前らなんてあっという間ということが分かったか?」
「どうかな?俺たちが協力したら、お前こそあっという間だ!」
「生意気な!もう一度分からせてやる!グランドスラッシュ!」
各々技を出し、技を跳ね返した。
「なにっ!」
「言っただろ?分かってないのはお前の方だ!」
男の足元からツルが生えて来て、また男は動きを封じられた。
「その通り。僕らの力をなめないで欲しいな」
「ソウマ!フウワは?」
「安静にしてもらってるよ。大丈夫。肩を痛めただけだから」
「よし、決めるぞ!」
「うん!」
みんなの声が重なった。
「ファイブトルネード!」
即興だったのに、不思議と上手くいった。戦いの中で強くなっていくということは、こういうことなのかもしれない。男はなすすべもなく倒された。




