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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第六章 変わりゆく依頼
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第五章 暖かな休日

 それから、妖石は虹色に光り、私の手のひらに入った。嬉しくて今からでも帰ってみんなに報告したかったが、体中の痺れで動けなかった。

「大丈夫ですか?今治しますから」

一瞬で体中の痺れが取れた。

「あ、ありがとうございます!ご迷惑を!」

「それより、帰ってあげてください。皆さんが待ってますよ。妖石は、後日渡すということです」

「はい!わざわざ、ありがとうございました!」

私が去った後。

「ふふふ。真っ直ぐな方ですね」

「ええ。そういえば、奥方はお元気ですか?」

「はい。今3人目と4人目を妊娠中です」

「そうですか。機会があれば、また会いましょう。狐の国先代国王、ストキさん」

「ええ。私も用事があるので、これで失礼致します」

なんて会話があったことは、私はもちろん知らない。


 「ただいまー」

アインの声だろう。ドアが開くと、やはりアインだった。

「どうだった?」

「うまく行ったよ」

「よっしゃ!コウ!用意は出来たか?」

「出来てる!運ぶから待ってろ!」

「あれ?コウまだいるの?」

「どうせ出ていっても就職先がないから、ここにいるって」

やがて、料理がテーブルに運ばれていった。

「よし!ソウマもエントも帰って来たことだし、今日は食べるぞ!」

「食べ過ぎも良くないぞ」

「分かってるよ!でも、ソウマとエントがいないと、なんか静かでさ」

「それは言えるな。騒ぎを起こすのは大体エントだ」

「料理冷めるで」

「あ、そうだった!いただきます!」

その後、みんなで楽しいひと時を過ごした。


 次の日。なぜかソウマがいなかった。

「あれ?ソウマは?」

「最近、必要最低限の手当は出来るようになりたいって病院で教えてもらってるんだ」

「へえ。今日は何するの?」

「パキラたちのとこに行こうと思って。ヒノガは嫌がるだろうけど」

「どうして?」

「行けば分かる。楽しみにしててくれ」


 早くに準備して、ライトさんの案内通りに道を歩くと、畑が広がっていた。

「パキラ!約束通り会いに来たぞ!」

「ありがとう!いつでもいいって言ったのに、こんなに早く来てくれるなんて!」

「農業?」

「そ。これからはお互い過去の事は忘れて、のんびり生きようって。人生まだまだこれからだし」

「来たのか」

「ヒノガ!そんな服着ると、まるで別人だな!」

「それは褒め言葉なのか?」

「それより、何か用があったの?」

「あーいや、畑耕して種蒔いたんだけど、ここら辺野生動物が多くて。どうしたらいいか、相談したくて」

「うーん、俺たちでも分からないな…農業なんてやったことないし」

「そうだよねえ。他の人にも聞いてみるよ。ありがと」

「それなら、パキラさんお得意の炎を使えばいいんじゃない?」

「ソウマ!」

「ごめんね。遅くなっちゃった」

「だが、炎は夜の間に消えてしまうぞ」

「それは、パキラさんの炎の性質を利用すればいいんだよ」

「性質?」

「うん。ヒノガさんも気付いてないみたいだけれど、火属性の炎は一人一人違って、パキラさんの性質は燃やす対象が無くても水をかけるまで、燃え続けることだよ」

「自分でも気づかなかった。でも、どうしてそんなこと知ってるの?」

「フォニックスに戻る前に、ライト君がどんな任務をしてたのか、気になってクミルさんに聞きにいったら、あいつの火は水をかけないと絶対に消えないから、厄介だって」

「そうだったのか…ありがとな!草狐!作物が出来たら分けてやるから!」

「お幸せに!」

俺たちは家に帰った。


 「ふう。とりあえず、依頼もひと段落したし、今日はゆっくりするか!」

「ライト君、ちょっといいかな?」

「え?なんだ?」

ソウマと空いている部屋に入った。

「ライト君、僕、どうしたらいいんだろ…」

「いきなりどうしたんだ?」

「昨日ギルド様に偶然会って、話しかけたんだけど…」

「だけど?」

「ソウマさん、あなたはフォニックスにいていいのですか?って言われて…僕のことをよく思ってないのかな…」

「そんなことないさ。考えすぎだよ。ソウマ。きっと怪我をしたソウマが心配だったんだよ」

「でも、そのあとすぐに消えちゃったんだよ!僕と話すの、そんなに嫌なのかなって…」

「ソウマ…」

「僕はフォニックスをやめたりなんかしたくない。でも、そんなにいたらダメなのかなって。ライト君は、僕がいていいと思う?」

「当たり前だろ。フォニックスは、ソウマもいてこそなんだから。自信持てよ。お前は、俺たちを体を張って守ってくれた。お前が助けなかったら、エントが生きてなかったかもしれない。周りの意見を聞くことだって大事だけど、時には自分の思いを貫き通すことだって大事だと思う」

「ありがとう、ライト君。また今度、ギルド様に聞いて見ようと思う。まあ僕の見解が正しくても、やめる気はないんだけどね」

そう言ったソウマは、話しかけて来た時とは打って変わって、明るい笑顔を見せていた。

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