第三部 最初の依頼II
俺たちがその方向に目を向けると、さっきより数は少ないが強そうな大型動物たちがいた。
ちょうど5匹いたので、1人1匹で戦うことにした。俺は
「エレキキック!」
と叫びながら足に電気をまとわせ狼を蹴りあげたが、あまり効いていないようだった。それを見ていたエントが、
「パワーが必要なんだよ!」
と言いながら火炎砲という炎を相手に噴射する技を使ったが、トラにひらりと避けられた。他の3人も戦闘を始めたようだ。フウワの尻尾が一瞬で猫の様な尻尾の先に大きな手がついている形に変わった。スインは透明になり、妖気も感じられなくなった。
「俺たちも気合い入れて行くか!」
俺は電気を矢の形にし放つエレキアローの準備をし始めた。エントも何やら準備をし始めたようだ。その頃、スインはどこからか遠距離攻撃をしてライオンを追い詰めていた。フウワはゴリラを蹴り飛ばしていた。一方のアインは、まだ技が上手くできないのか、わしに当たっていないが繰り返すうちに当たるようになっていった。
「よし!行くぜ!」
俺はエレキアローを繰り出し見事に命中させた。エントも全身に炎をまとわせトラと互角に戦っていた。スインとフウワはもう倒したようだ。ちょうど狼も倒れ、トラも息が上がってきた。そこで俺たちはアインの援護に行くことにした。アインは息が上がっていたがワシは余裕の表情を見せていた。
「アイン!」
と言いながら俺たちは技の準備をした。スインとフウワがワシの翼に攻撃をしたらワシが墜落したので俺とエントでとどめを刺した。俺たちがふうと一息ついているとアインが申し訳無さそうに歩いてきた。
「すみません、技が上手く打てなくて…」
「いいんだよ。突然変異の人は技を真似する人がいないんだから。これから練習して行けばいいじゃん」
と笑いかけるとアインも少し笑ってくれた。
「ありがとうございます!頑張ります!」
「無理のない程度でな」
「そろそろ先へ進むか?」
さらに進むと、小さな小屋が見えた。明かりがついているので、誰かいるようだ。
「ここに、この事件の首謀者がいる訳だな」
「ノックするか?」
「ああ。みんな、油断するなよ」
「うん。一応、技の準備をしておくね」
スインも再び透明になった。他のみんなも、各自準備をしていた。
俺は緊張しながらも、覚悟を決めてドアをノックした。




