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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第六章 変わりゆく依頼
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第四章 幸せな午前と試練の午後

 鼠の国軍の戦いは、団結力があり、あっという間に敵を片付けてしまった。俺は、フウワたちの所へ向かおうとした。

「ヒノガ、フウワたち知らないか?」

「俺は知らん」

「フウワたちなら、王宮の研究所にいる…」

「ありがと!パキラ!なんでそんなに元気ないんだ?」

「さっさと行け!」

「分かった、分かった。どうしたんだ?ヒノガ?」

ヒノガは答えてくれなかった。しばらく走ると、王宮が見えて来たので、そのまま研究所に行った。

「フウワ!アイン!スイン!大丈夫か?」

「大丈夫だが、アインは大丈夫じゃない…」

「え?どういうことだ?」

奥に入ると、氷付けになった国王と、しゃがみ込んだアイン、それを宥めているスインがいた。それでなんとなく理解した。

「アイン、ライト君が来たで」

「アイン…」

「本当は、こんなことしたかった訳じゃないのに…」

「あなたは何も悪くないですよ」

この声は、間違いなくギーヨ様のものだった。

「ギーヨ様!」

「お久しぶりですね、ライトさん。アインさん、あなたは無意識にしていたんですよね?」

「はい…」

「突然変異の方は、何故か無意識に体が動くことがあるそうです。本人に聞きました」

「でも、またこんなことがあったら…」

「本人によると、それをなくす方法があるそうです。あってみたいですか?その方に」

アインの目に光が宿ったような気がした。


 その次の日。パキラはぼんやりと目を覚ました。ここはどこなのか分からないが、こんなに寝心地のいい所で寝たのはいつぶりだろう。

「ここは、フォニックスの本拠地ですよ」

「ヒノガ?どうして私ここにいるんだ?」

「ライトが、お礼に罪を帳消しにしてくれるそうです。甘いですね、あいつは」

「私も?」

「もちろんです」

その時、誰かがドアを叩いた。

「ヒノガ、パキラ起きたか?」

「ああ。今行く」

声の主は通り過ぎて行った。

「それでは、行きましょうか」

「ど、どこに?」

「行けば分かります」

階段を降りた先には、みんなが集まっていた。

「ハッピーバースデー!パキラ!」

みんなが一斉にクラッカーを鳴らした。

「どうして…」

知ってるの?と続けることは出来なかった。

「パキラさん。僕の特殊能力は“分析”ですよ」

「ヒノガ!なんでパキラと話す時だけ優しいんだよ!俺にも優しくしてくれたっていいじゃないか!」

「うるさい。おめでとうございます。21歳の誕生日」

分析されるのは、少し怖いが、話が早くていいと思った。彼は、何かの草を渡して来た。名前はさっぱりわからないが。

「アイビーだね。花言葉は色々あるけど、結婚だよ。ヒノガも面白いことするね」

聞き覚えのない声だった。しかし、ライトはその人に歩み寄っていた。

「ソウマ!もう大丈夫なのか?」

「うん。ライトく…」

「ヒノガ!お前そんなことする奴だったのか?」

エントが丁度被せて来た。

「黙れ」

私の頬は熱を持った。その後どうしたのかは、言うまでもない。


 幸せな雰囲気の午前が終わり、アインは緊張しながらも猫の国王宮へ向かった。近くまで来ると、キョウさんが出迎えてくれた。

「お待ちしておりました!ギーヨ様はこちらにいらっしゃいます!」

掃除の行き届いた廊下をまっすぐ進むと、キョウさんは一つのドアの前で立ち止まった。キョウさんに促され中に入ると、部屋の中心に大きなテーブルがあり、ギーヨ様とあと1人知らない人がいた。

「アインさん。こちらの方は、岩猫のストキさんです。どうぞ、おかけください」

席に座ると、紅茶が運ばれてきた。でも、緊張して飲む気にはなれなかった。

「アインさんですよね。確か、体が勝手に動くことを悩んでいらっしゃると」

「は、はい」

「僕も若い頃は、ずっとそれに悩まされていました」

ストキさんは、同情の目を向けてくれた。

「でも、それは簡単に防ぐことができます」

「ど、どうやって、ですか?」

「アインさんは、妖石を知っていますか?」

「なんですか?それ」

「妖石とは、使っていない妖力を貯めておくものです。それは意思によって取り出せるので、妖力を動力源とする私たちの体は無意識に動かない、という訳です」

「それはどこにあるんですか?」

「実は、もう持って来ているんです。でも、妖石に気に入られる必要があります。それでも、やりますか?」

「はい。絶対に持って帰ります」

「ではこれに触れて下さい」

私が妖石に触れると、勢いよく弾かれた。少し痛かったが気にするほどでもない。

「妖石さん!私は、あなたが必要なんです!」

頭の中で、謎の声が聞こえた。どうしてもというのなら、私に触れてみろ、と。その時、妖石の周りが電気に包まれた。近づくと、電気によってしびれてしまった。誰の言葉だっただろう。どんな時でも、活路はある。その時、気づいた。電気の壁は隙間が少しずつあり、うまくいけば通れる。何度も当たったが、止まってはいられなかった。ようやく辿り着き、私は妖石に触れた。

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