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フォニックス 運命の始まり  作者: ことこん
第六章 変わりゆく依頼
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第二章 確信

 スインの直感を信じて、パキラに連絡し、探ってもらうことにした。

「あの、良いですか?」

「何でしょう」

「何で王宮が西より何ですか?」

「それは、西は太陽が沈む場所は神聖な場所だという信仰からきているのですよ」

アインはその言葉を注意深く聞いた。

「真っ赤な嘘だ。これで、違法な狼と何らかの接点があると見ることもできる」

瞬時に場の雰囲気が冷えた。そこで再びパキラに連絡し、もう少し探るように言った。

「素敵な信仰ですね。ですが、西側にある狼たちとは接点は何も無いのですか?攻め込まれたりとか」

これはライトが言うように言った言葉だ。これで相手を労わるふりができるだろう。

「ええ。今の所ないですね。交易もしていませんし」

「これも嘘だ。これでほぼクロだな」

「ええ。しかも、ここからは狼の気配がしている様な気がしましたが、やはりそうだったようですね」

妙な声を聞き振り返ってみると、チーナだった。

「お前、そんなことわかるのか!」

「私の特殊能力は“気配キャッチ”よ。ちょっとした気配や遠く離れた気配も感じ取れるの」

「他に何か分かるか?」

「王宮の辺りに、禍々しい気配を感じるわ。ドーピングか、人体改造してるのかもしれない」

「うーん、真っ向から勝負しても勝てるかな?」

「だったら、こうしたら良いのよ」

レイナが話に入り込んできた。


 しばらくして、パキラは帰って来た。

「色々聞けたわよ」

「詳しく教えてくれ!」

ライトたちは作戦会議に夢中で、パキラを見ていなかった。

「改造人間は、10人くらい。国軍はざっと一万人だって」

歴史が浅いとはいえ、やはり国家だ。人数はいる。

「どうやってそんなこと聞いたのか?」

「外交官さんも、国王のやってることを止めたいみたい。協力してくれるらしいよ」

「そうか。パキラ、今から作戦を決行する。言う通りに動け」

そして、作戦は決行された。


 まず盗賊とロスト団の下っ端に門前で暴れてもらい、そちらに気を取られているうちに侵入すると言う作戦だった。案外すんなりと侵入出来た。

「こっちです」

俺たちは外交官、シレフの言う通りに動いた。抜け道を通ると、ある部屋についた。物陰に隠れて様子を伺うと、やはり何者かが何かをしていた。その横には、10人の男達がいた。

「頼むぞ、パキラ」

「ああ。王宮を燃やすなんて初めてだ」

パキラは何故かウキウキしていた。こいつの性格はどうにかしている。

「あれに火をつけたら、爆発するだろう」

薬品に詳しいナノガが言った。とりあえずみんなはパキラを残し、王宮を出た。パキラ曰く、火の中を抜け出すなんて造作もない、ということだった。間も無く爆発が起こり、パキラが出てきた。

「これになんか意味あんのか?」

「ああ。次だ。頼むぞ、チーナ」

「ええ。お任せあれ」

今なら研究所らしきところに人が集まっているはずだ。その間に他のやつを捕らえて情報を得て、誰かに報告するという算段だった。本当はやりたくないが、やむを得ない。豪華な部屋があり、そこには女王らしき者がいた。

「死にたくないのなら、質問に答えろ」

やはり、ヒノガはこういうことに向いているようだ。

「は、はい」

「研究所で何をしている!」

「夫が人体実験をしています。最強の戦士をつくり、我が国の領土を広げると」

「その技術はどこで得た!」

「…狼の国です」

「やはりそうだったか」

そこまで聞き出したが、背後で

「お前ら何をしている!」

と声が聞こえた。どうやら見つかったようだ。

「逃げるぞ!」

みんなは一斉に逃げ出したが、追っ手が来ていた。

「ねえ、殺しても良いんなら、倒してあげるけど」

パキラが言った。

「なるべく殺すなよ」

その言葉を肯定と受け取ったらしく、パキラが攻撃を始めた。

「すごいのが来そうですね」

ドシンドシンと大きな足音が近づいて来た。

「ライト!」

「何だ?」

「この話を鼠の国に伝えろ!お前が一番速い!」

「でも、みんなを置いていくなんて…」

「ぐずぐずするな!これが最善の方法だ!」

「みんな!死ぬなよ!」

俺は後ろ髪を引かれながらも鼠の国へと急いだ。


 「こっからが正念場よ」

「ライトが来るまで、意地でも持ち堪えるぞ!」

おー!とみんなの声が揃った。敵同士だったはずなのに、こうやって力を合わせているなんて、少し不思議な感じだ。軍隊の中に、一際大きな男がいた。急に殴りかかって来たのを避けると、私の後ろにあった岩に当たり、粉々に砕け散った。

「すごいパワー…!」

「アイン、大丈夫?」

「うん。それより、こいつをなんとかしなきゃ」

幸い、パキラ達のおかげで自分たちの手は空いていた。姉さんは水の弾丸を打ち込んだが、全く効いてないようだった。

「威力が足りない…!」

改造人間、それは全ての能力が規格外だった。見た目の割にスピードもある。

「こうなったら、爆風拳!」

拳に風をのせる一見簡単そうな技だが、本人曰く調整が難しいらしい。この技はさすがに効いたようだ。少し希望が見えて来た。ライトさんが来るまでの辛抱だと、自分に言い聞かせた。


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