第三部 作戦実行!
まず、雷を鳴らす準備をした。
「雷の規模はこれくらいでいいかな?」
「うん、音を鳴らすのが目的だから、それくらいでいいと思うよ」
後は、火鼠が驚いて出てきてくれるかの問題だった。
「じゃあ、行くぞ!3、2、1、0!」
耳障りな大きな音が、辺りに響き渡った。火鼠は作戦通り出てきたので、私達は茂みから飛び出し、軽く技を出した。
「何者だ!」
砂埃が収まると、そこには1人の女がいた。
「お前か!火事を起こしてるのは!」
「はは、その通りさ。私はパキラ。他人の幸せほど見ていて不快になる物は無い」
「お前は間違ってるって証明してやる!エレキクラッシュ!」
雷が塊となり、パキラに降り注いだが、見事に避けられた。
「そんな技、誰でも避けられる」
「でも、相手は俺だけじゃないはずだ」
パキラが降り向こうとした時、
「おかげで技を充分ためれたわ」
とスインの強力な水の弾丸がパキラに当たった。さらに。
「これでもくらっといて」
巨大な氷塊がパキラに落ちた。アインも戦闘本能を制御出来るようになったようだ。
「こうなれば、森ごと全て燃やしてやる!」
パキラが火の玉を木に当てようとしたら、植物が遮ってきた。こんなことが出来るのは、この中で1人しかいない。
「イネイ!すまん!」
「ちょっとはお役に立ちたかったですし。気にしないでください」
パキラは既に2人によって拘束されていた。相変わらず抜け目のない姉妹だ。
「…どこにいったのかと思えば」
という呆れた声と共に、風が吹き荒れた。空を見上げると、翼のはえた狐が飛んでいた。
「すみません、オムギさん!では、私はこれで!」
「ありがとな、イネイ!助かったよ!」
こうして、俺たちはあっさりと任務を終えた。
一方、猫の国。向こうと違って最初から居場所はわかったのだが、氷山にいた。雪は深く積もり、吹雪は止む気配などない。ずいぶん戦いにくい場所だ。
「私はオスコ。何の用だ」
「子供を攫っているのはお前か!」
「攫っているのではない。奴らの意思でここにいる」
そう言ってオスコは1人の子供を連れてきた。しかし、その目に光はなく、意のままに操られているようだ。
「嘘つけ!操ってるだけじゃないか!」
「私を止めたいならば、倒してみることだ」
寒さが一段と増した。長期戦に持ち込まれると不利だろう。
「一気に勝負を決めてやるぜ!バーニングストーム!」
「エント君、気をつけて!」
俺の放った技はオスコに直撃し、雪は熱で少し溶け、地面が顔を出した。




