プロローグ チーム編成
7月。フォニックスには相変わらず大量の依頼が来ていた。しかし、それが真実とは限らなかった。
「はあ。これも嘘」
私の特殊能力である嘘見抜きを使って、それらを見抜いていた。世の中、誰かを陥れようとする人もいるものだ。特にこの世界ではその割合が高い気がする。
「でも、本当の依頼も多過ぎて、一件一件やっていたら追いつかないな」
「本当だね。6人だし、3人ずつに分かれてやるのはどう?」
アインは、みんなに敬語じゃなくていいよ、と言われたため、タメ口で話すようになった。
「それもありだな。みんなに相談してみるか」
「いいんじゃない?一件に6人は多すぎな気もしてたし」
みんなに相談すると、案外あっさりと承諾された。
「メンバーはどうするの?」
「そうだな…パワーバランスもある程度考えないといけないから…スインとフウワを別々にして、スインチームにソウマとアイン、フウワチームに俺とエントでどうかな?」
「うーん…そうすると、フウワチームが地属性に弱くなっちゃう」
「じゃあ俺とソウマを逆にするのは?」
「とりあえずそれでいいと思うよ。やってみなきゃわからないことだってあるだろうし」
「それじゃあ決定だな」
一応ホワイトボードに書いておいた。
「次は、どの依頼をするかだな」
「火鼠に関する依頼と、氷猫についてがいいんじゃないかな。スインチームは火鼠、フウワチームは氷猫で。属性も悪くないしね」
「そうと決まれば…」
「待って!トイレ行ってくる!」
「エント…」
「でも、準備したん?」
「あ」
「駄目じゃんかー」
とりあえず、準備をすることにした。
「いざ、出発!」
「待て!」
「今度は何!」
「弁当忘れんな!毎回言ってるだろ!」
「あ」
「何やってんの…」
弁当を鞄に入れた。
「今度こそ!出発だ!」
「頑張ってね!」
「そっちも!」
フォニックス初の分かれての任務が始まった。
スインチーム。こちらはずっと歩いていた。
「遠すぎるぞ!」
「もうすぐ出迎えがくるから我慢して」
急に風が吹き始め、やがて大きな鷹に乗った人が現れた。
「遠くからお越しいただき、ありがとうございます。この街に住んでいる、クミルと申します。実は、この街では火事が多発しているのですが、残った妖気から火鼠だと特定いたしました。それを皆さんに倒していただきたい」
「でも、どうやって探すんだ?」
「火事現場から探すしかありませんね…」
「うーん、ちょっと厳しいかな…だれか、匂いを辿れる人がいればいいんだけどなあ」
「それなら、イネイさんに聞いてみたら?もしかして、知っているかも知れないし」
なかなか骨が折れそうな任務だ。




