第五部 突然の救世主?
顔を上げると、そこに立っていたのは見覚えのある人だった。
「お怪我はありませんか?」
その声で誰か分かった。
「あーっ!入り口の人!」
「はい!キョウです!お怪我はありませんか?」
「大丈夫です!すみません、ご迷惑をおかけして…」
「いや、これは僕の暇つぶしにしているようなものですから。それに、フォニックスさん達が苦戦しているのは聞こえましたから」
「あの距離で?」
「僕の特殊能力は聴力ですから」
男は、キョウの妖力を感じとったのか、逃げようとしたが、すぐに捕まり、縄で縛られた。
「あの、ありがとうございます…」
そんなことをしていたら、ツムギという人が小さな声でお礼を言って来た。
「いやいや、1番すごいのはキョウさんだし」
「僕は不意打ちでしたし」
「お礼と言ってはなんですが、狐の国のことなら何でも聞いてください!大抵のことならお答えできます!穀物屋敷でお待ちしております!」
イネイさんはそう言ってツムギさんを連れて帰っていった。この出会いが、今後のライトの人生を大きく変えるとは、誰も想像していなかった。
家に帰ってから、ご飯を食べていた。
「いやー、やっぱ王族は強いんだなあ」
「当たり前だろ。しかも、ギーヨ様、一度山一つ吹き飛ばしたことがあるって聞いたことがあるぞ」
「本当に?いくらギーヨ様でも、流石に無理なんじゃ…」
「私も聞いたことあるで」
「俺もだ」
ちょうどご飯を運びにきていたコウが言った。
「ギーヨ様強すぎ…」
「ギルド様だって強いよ。技神とまではいかなくても、この国じゃあ五指に入るだろ」
「ていうか、さっきからソウマさん全然喋らなくない?」
「確かに」
みんなでソウマを見ると…寝ていた。
「ソウマ!こんなとこで寝たら風邪ひくぞ!」
ゆすってみても、全く起きる気配は無かった。
「よっぽど疲れとったんやな」
「ベットまで運んでやるか」
俺はソウマを持ち上げ、階段を上り、ソウマの部屋のドアを開けた。そこは大量の植木鉢で埋め尽くされていた。
「なんじゃこりゃ!」
とりあえず、ソウマを寝かせて、食卓に戻った。
「エントエントエント!」
「どどどうしたんだよ!」
「なんとなくポストをみたら、こんなに手紙が入ってた!」
「は?」
「何でだ!」
「知らんの?最近、フォニックスのチラシがよう貼られとるで」
「こんなに依頼来てたのか!」
前途多難を感じさせる、夕飯のひと時だった。




