第四部 特訓の成果
午後6時。座学が終わり、私たちは帰路についた。ただ座って話を聞いていただけなのに、不思議と強くなった気がした。
「いやー、今日は大満足だー」
エントさんがのびをしながら言っていると、近くで悲鳴が聞こえた。慌てて行ってみると、そこには大勢の男の狐がいて、店を襲っていた。もう国境線を越えていたらしい。男達はおそらく盗賊だろう。最近、こういった人達が増えてきたような気がする。私たちが止めに入ろうとした瞬間、
「何をしているのですか?」
と女の声が響いた。女は大勢の男を怯みもせず見つめていた。
「女1人でこの人数を倒せると思っているのかい?」
女は何も言わず、男を見つめていた。すると、男の1人が、何かにあたって倒れた。まさか。
「姉さん!?」
振り向いたら、もうみんないなかった。前を向くと、もうみんな男達と戦いを始めていた。
「あ、アインはサポートしてもらっていい?」
「はい!」
みんなの動きが今までと比べて随分と無駄が無くなった。私は遠くからの遠距離攻撃でみんなをサポートした。
「そろそろやっもいいかな?」
ソウマさんは蔦を使って街灯をつかみ、飛び上がった。
「リーフボム!」
木の葉を相手に飛ばし、爆発させた。おそらく、自爆の応用だろう。
「おー、一気に減った!」
「エレキステップ!」
エントさんがそんなこと言っている間に、ライトさんはもう技を出していた。ライトさんは男達の間を走り抜け、その箇所から電気が出てきて、男達を痺れさせた。
「俺も!ファイアーフライ!」
エントさんは炎の翼で空を飛び、相手に突進して爆発を起こした。
「あれ?2人は?」
さっきから2人の姿を見ていない。辺りを見渡しても、どこにもいなかった。その時、奇妙な事が起こった。何もしていないのに、男が倒れだしたのだ。男達はバタバタと倒れていき、ついに残り1人になった。
「なかなかやるじゃねえか。だけど、これで勝てるかな?」
男は、誰かを突き出した。小さな女の子だった。
「ツムギさん!」
「イネイさん!すみません!捕まってしまいました!」
人質を取られてしまったら、身動きが出来ない。遠距離攻撃で倒すにしても、ツムギという火にあたったらいけない。どうしようとおどおどしていると、
「フラッシュ!」
という声と共に、辺りが光に包まれ、視界が真っ白になって、何が起こったのか分からなかった。ようやく視界が開けると、そこに誰かが立っていて、ツムギさんを抱いていた。




